2012年8月1日水曜日

英国大使の御庭番

駐日英国大使館専属庭師の孤軍奮闘25年日記
英国大使の御庭番 傷ついた日本を桜で癒したい!
濱野義弘著
光文社

日本で最後の英国大使館の専属庭師として働いた著者の25年。



町の植木屋さんとして働いていた25歳の青年が、「英国大使館住込庭師募集」という新聞広告を見つけた。
Tシャツにジーンズ姿で気軽に面接を受けに行き、その後25年にわたって大使館の御庭番として働いた著者の自伝である。

大使館の敷地1万坪のうち、大使公邸の1千坪を任された著者の目に飛び込んできたのは、荒れ果てた庭だった。
それを見た著者は、元の美しさを取り戻したいと俄然やる気になるのだった。

英国大使館は武家屋敷跡に建てられたためか、人骨・古銭など様々なものが出土したり、大使夫人に「周りから丸見えになるからあまり木を切るな」と言われながら、著者は孤軍奮闘していく。

日本の企業と違い、ゆるい雰囲気の中一人で働いているため、サボろうと思えばいくらでもサボれるような状況で、著者は懸命に働く。
夜は夜で、花の管理の本を読み漁る。
もともと生真面目な方なのだろう。

かつて弟子として働いていた頃の回想で、「師匠が行く現場なら、賃金がもらえなくても一緒に仕事をしたい。この人とやれば腕が上げられると心から思える人でした」と著者は言う。
その文章を読んだ時、私は心を鷲掴みにされてしまった。
職人の鑑ではないか!!

10年かけて満足いく庭になったと思ったら新しい大使夫人に、「今あるもの全て引っこ抜いて、新しいバラの花壇をすぐに作ってください」と言われてしまう。
自分の思い通りの庭造りができないジレンマの中、著者は精神的にも成長していく。

私生活でも苦労されたが、「庭師は年中無休の仕事だ」と言いながら、都会のど真ん中にある「自然の王国」を維持してきた著者に感動する。

この本を読んで、著者の魅力にとても惹かれてしまったのだが、やはり私は「男の髪の毛は短ければ短い方がいい。ベストは禿頭」と考える。
表紙でにっこりほほ笑む著者の長髪が、坊主頭であったら、もっとかっこいいのにと思う。

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