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2013年2月5日火曜日

毛沢東の赤ワイン 電脳建築家、世界を食べる

毛沢東の赤ワイン 電脳建築家、世界を食べる
坂村健著
角川書店(角川グループパブリッシング)

 
セレブの食生活、海外編。



「世界各地の食の話だ、面白そう」と思い、本書を手にとった。

電脳建築家--コンピュータ・アーキテクトとはどんな仕事なのか、
著者の坂村健氏(Wikipedia )とはどんな方なのか、
恥ずかしながら全く知らなかった。
あの「TRON」を開発した有名な方だったのに。
(いや、TRONって何かは正直よくわからないのだが。)
本書は、その坂村氏が世界各地で食べてきた食とワインについてのエッセイである。

フィンランドでコース料理を皆で作って食べるというゴルフ接待ならぬ「キッチン接待」を受けたり、故宮(紫禁城)での講演を依頼されたりと、世界中から招待される立場の方なので食事は一流レストラン、料理もそしてワインも、まぁ高そうなものばかり。
多数の写真が掲載されているのだが、豪華な料理の数々に思わず見入ってしまう。
機内食だって、テーブルクロスの上に陶器の器という、エコノミー専門の庶民とは違うクラスにご搭乗されている。
これだけいいものを食べていたらさぞかし舌も肥えるだろうなと思いながら、こちらは指をくわえて写真を眺めるばかりだ。

また、インドの大富豪の家に招待され、召使たちがプールに大量のエビアンをドバドバ注ぐ「エビアンプール」を楽しんだりと、食だけでなく私が一生体験できないようなエピソードも満載だ。

その他
・上海で一番売れているペットボトルはサントリーの烏龍茶。
・『神の雫』(Wikipedia) は、韓国・中国のワイン消費を加速し、パリのワインショップにも仏語版が置かれている。
・スペインでは日本食といえば「ソース焼きそば」が代表的。
といった情報と共に、各地の文化や食の背景について語っている。

ミシュランガイドの星の話や、ヌーベル・キュイジーヌと昔ながらのクラシックな料理の話などは、なるほどと思わず聞き入って(読み入って)しまう。
いや、縁遠い話なのだが。

ただ、著者は「アジアの屋台で食べるのには心理的な抵抗がある」という方で、衛生事情の悪い国では食器をアルコールティッシュで拭くのだという。
気持ちは分かるのだが、あんな美味しい屋台料理が食べられないなんてかわいそうにと負け惜しみを言いたくなってしまった。

ワイン好きの方、高級レストランや海外によく行かれるセレブの方におすすめの一冊だ。

※題名の「毛沢東の赤ワイン」とは、「毛沢東が我が国ならワインでも自国でできるだろうと言って、その命令により造られた中国最初の赤ワインの1本」と言われて飲んだワインのことである。

2012年7月22日日曜日

やんごとなき姫君たちの食卓

やんごとなき姫君たちの食卓
桐生 操著
TOTO Books

古今東西、食にまつわる雑学コラム集。やっぱり我が家の食卓が一番なのかも。




姫君たちの、どれだけ絢爛豪華な食事が書かれているのだろうと、よだれを堪えながら読み始めた。
上流社会のパーティーの様子、ワイン、銀器や陶磁器の話、料理やレシピなど、飲食にまつわる幅広いトリビアが70以上掲載されていた。
これは、中世ヨーロッパを中心とした食にまつわるエピソードを集めた雑学本だったのだ。

ルイ14世の好みのレシピと言われても、耳慣れない材料と大雑把すぎる分量でとても作る気になれない。
しかし読めばなんとなく想像がつく。
バター、生クリーム、ラード・・・あぁ、なんとこってり料理なんだろうと、こってり好きの私でも胸やけがしそうであった。

古代エジプトでは酒宴の最中に、模造ミイラを見せながら「みんないつかはこうなる。だから、今のうちに飲食を楽しもう」と言って回ったという。
気持ちはわかるが、わざわざ見せなくても・・・かえって食欲が落ちる気がするのだが。

ルイ14世の時代、バスティーユの監獄の様子。
囚人たちは、愛用品を持ちこみ、召使いや料理人を雇い、食べきれないほどの贅沢な食事を与えられていた。
あまりに居心地がいいので、刑期の延長を申し出る者や、自分から進んで入った者もいたという。

その他、チョコレートブランドの「ゴディバ」の名前の由来となった「ゴダヴィア伯爵夫人」にまつわる話、アフタヌーンティーやカフェの話と本当に盛りだくさんな内容であった。

一つのコラムが短いので、深い考察はないのだが、気軽に楽しめる本であった。

2012年5月28日月曜日

地上の飯 皿めぐり航海記

地上の飯 皿めぐり航海記
中村和恵著
平凡社

比較文学論の研究者が世界中を回って体験したこと、考えたことを綴ったエッセイ。



1966年生まれの著者は、現在明治大学教授、比較文学論の研究者。

題名から、世界中で珍味を食べ歩く抱腹絶倒エッセイなんだろうなと勝手に思い込み、読み始めた。
しかし、そんなお気軽な内容ではなかった。
食と、文学・文化・冒険譚を絡ませたエッセイで、知的好奇心を刺激してくれるような、そんな本だった。
ただ、素材は大変面白いのだが、ご本人が真面目な方なのか、文章が少々読みづらい。
ときに哲学的になったり、修飾過多の長文になったり。
いや、それでも結構。なかなか興味深い内容なのだから。

幼い頃憧れていた外国の本の中に出てくる「パンの実」を食べたり、
お粥から幸田露伴やチェーホフに言及したり、
各国のタクシードライバーとの困ったやり取りなど、
興味深い体験談が載っている。
そうかと思えば、捕鯨問題、ふりかけの存在意義について考察したりと、あちこちに話題が飛んでいく。

私が興味を持ったのは、「虫の栄養価」。
よく、「貴重なタンパク源」で栄養価が高いとは言われているが、芋虫(ウィチティ・グラブ)は400㎉/100gで、タンパク質のみならず、脂肪・炭水化物・鉄分・カルシウムも豊富だという。
ちょっと食べてみたくなるではないか。
いや、成長期は過ぎ去り、横へと成長中の私には、高い栄養価は必要ないのかもしれないが。

そして、ドイツの人類学者の本に「日本人の味」について触れているのを、著者は発見する。
人食い人種へのインタビューで、「白人の肉は匂いがきつすぎるし、塩辛い。日本人の肉の方がおいしい。」と書かれていたのである。
そうでしょ、そうでしょ、日本人は勤勉で優秀だからと、読みながら鼻が高くなりかけたが、それって喜んでいいものなのか?検証はできないが。

色々な場所へ行かれる方なので、これからも是非、武勇伝をお聞かせ願いたいと思った。

2011年9月25日日曜日

拙者は食えん!サムライ洋食事始

拙者は食えん!サムライ洋食事始
熊田 忠雄著
新潮社



江戸時代末期・日本人がアメリカ・ヨーロッパに行ったとき、見慣れない洋食を見て・食べてどう思ったのか?そんな観点から書かれた「洋食事始」



江戸時代末期・一般の武士たちは、とても質素だった。
一汁一菜か一汁二菜。
ご飯も玄米か麦混じり。
魚も月に3回。
お侍さんたちでそうであったら、庶民は推して知るべし。

そんな彼らが、外国に行ったら?
そんな興味から生まれたこの本。

日本食食べられないだろうから、船に山と日本食を積もうとして、断られる日本人。
獣の肉や油・脂のニオイに閉口する彼ら。
初めて見るフォーク→熊手の小さいものと表現する。
汚したり、こぼしたり、マナーも悪い。

残ったものをなんでも紙に包み、懐にしまっちゃう。
国賓級で接待されて、一流料理を供されても、食べられないお侍続出。

そんな想像すると笑ってしまうマンガチックな話が満載の本でした。

そんな彼らも、果物は味付けもせずそのまま食べるからか、大好評だったようです。
ジュースにして氷を浮かべれば、のどが渇いた彼らは大満足。
帰国後も後々まで語り合ったという。

私も、東南アジアに住んでいた時、ドリアンに何度も挑戦した。
でも、胃が沸騰するようで、寝込む始末。
フィジー大使館に行ったとき、地面に穴を掘って色々蒸し焼きにしてくれた。
わくわくしたが、食べたら、いまいち。
タロイモは、アレルギーなのか、喉が腫れてしまった。

アフリカの奥地の料理や、ゲテモノ系は食べる自信がない。

笑って読んでいたけど、彼らのことを笑う資格ないかもしれない。

「~御座候」文がたくさん出てくるところを除けば、読みやすい本でした。