2012年8月7日火曜日

昆虫食入門

昆虫食入門
内山昭一著
平凡社新書

今年の夏は、夏バテ防止に虫を食べてみませんか?


人口増加による食糧危機の対策として、貴重なタンパク源である昆虫が見直されている、とはよく聞く。
食文化について外野がとやかく言うのはよくない、と思う。
それはわかっているのだが、表紙を開けていきなり目に飛び込んでくる虫料理の数々。
しかもカラー写真であり、そのインパクトにはのけぞった。

いや、私だって自分から虫を食べたことはないけれど、アジアの不衛生極まりない屋台で散々飲み食いしてきたのだから、知らない間に何匹も口に入れていると思う。
顔をしかめているあなただって、大口開けて寝ている間や、サラダや果物についている虫を知らず知らずのうちに食べているかもしれないのだ。


著者は、昆虫料理研究家で、ほぼ毎日虫を食べているという。
また、「バッタ会」「セミ会」「虫菓子を食べる女子会」など定期的に昆虫料理の例会を主催している。

大正8年の報告書によると、当時55種類もの昆虫が食用とされていたという。
今でもイナゴやハチの子は食品成分表にも記載されている立派な食品である。

甘くてクリーミーなウナギの味がするハチの子、病みつきになる川海老のようなザザムシ。
マグロのトロのようなカミキリムシの幼虫、ナッツの味がするセミ。
そう言われると美味しそうに思えてくるが、言葉だけではやっぱりよくわからない。
自分で調理する勇気はないが、安全なものなら食べてみたくなる。

本書は新書の割にボリュームがあり、日本だけでなく世界各国の昆虫食事情、歴史、心理的・科学的考察、そして昆虫食の未来についてと、内容的にも盛りだくさんの真面目な良書であった。
そして読み終わると、衝撃的だった冒頭のカラー写真の料理に挑戦したい気持ちになってくる。
さすがに美味しそうには見えないが。

昆虫は古くから漢方薬の成分として重用されてきたが、食品としてはほとんど研究されていないため、まだまだ未知の領域だという。
ということは、若さ・美しさ・ダイエットなどに役立つ嬉しい成分がこれから発見される可能性が高いのではないか。

今の季節、外で鳴いているセミの声が「美味しそう」に聞こえる日が来るかもしれない。

参考画像
本書の冒頭に載っているカラー写真です。
苦手な方はご注意ください。
虫寿司
虫ミックスピザ

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