脳死した娘は患者なのか、それとも死体なのか?「死」の定義とは?
《あらすじ》
薫子は、夫・和昌の浮気が原因で別居していた。
話し合いの末、娘・瑞穂の私立小学校受験が終わったら離婚することになっていた。
そんな中、娘・瑞穂がプールで溺れ、意識不明となる。
脳死の可能性が高く、医師から臓器提供の意思を確認された。
一度は臓器提供を決断した夫婦だったが、 ピクリと手が動いたことがきっかけで娘は生きているのだと思うようになる。
臓器提供を断り、離婚ぜすに娘と生きることを決断した。
薫子は、脳波の反応もなく寝たきりの娘を自宅に連れ帰り、手厚い看護をする。
自発呼吸ができる横隔膜ペースメーカーを装着し、人工神経接続技術で瑞穂の体を動かし、筋肉を鍛えたりと努力を続けていくが・・・
重たいテーマの小説である。
「色々な機器を装着させて無理矢理生かすのは、神への冒涜ではないか」
「臓器移植は、命をお金で買う行為だ」
脳死した娘は患者なのか、それとも死体なのか?
臓器提供を待つ人がいる中、生かしておくことは親の自己満足なのか?
答えを出せない問いが、次々と読者に投げ掛けられる。
例え自分では死後の臓器提供に同意していても、いざ家族がそうなったらどうだろうか?
心臓が動いている限り、
寝ているだけでもいいからそばにいてほしい、
奇跡があるかもしれない、
愛する者の死を認めたくない、
そう思うかもしれない。
色々考えさせられた物語だったが、
どうすればいいのか、
どれが正解なのか、
結論はどうであれ、悩んだ末に出した答えが一番なのだと言っているように感じた。
2017年2月18日土曜日
2014年5月10日土曜日
禁断の魔術 ガリレオ8
東野圭吾著
文藝春秋
やっぱり短編は面白い!!湯川教授が活躍するガリレオシリーズ第8弾。
警視庁捜査一課の刑事・草薙の大学時代の友人である物理学者・湯川教授が様々な事件を解決していくガリレオシリーズの第8弾。
透視す(みとおす)
湯川は、草薙に連れられ訪れた銀座のクラブで、透視ができると評判のホステス・アイに名前や職業を言い当てられ、驚く。
その直後、アイが何者かに殺されてしまう。
アイの殺害と透視は関係あるのだろうか?
曲球る(まがる)
プロ野球選手の妻が駐車場で死体となって発見された。
犯人はすぐに逮捕されたが、助手席にはプレゼント包装された置時計が残されており、誰に何のために用意したのか、湯川が解明していく。
念波る(おくる)
双子の姉が危険な目にあっているとテレパシーで感じた双子の妹。
連絡してみると、本当に姉は殺害されていた。
超常現象を信じそうもない湯川が、なんとテレパシーについて研究を始める。
テレパシーは本当にあるのだろうか?
猛射つ(うつ)
湯川の高校の後輩が、姉が死亡した恨みをはらそうと機械を使った殺害を計画しているらしい。
その機械とは、湯川がかつて後輩と一緒に作成したものだった。
計画を阻止しようと湯川が奮闘する。
以上4編が収められている。
相変わらず冴えまくっている湯川教授。
最後は全て解決してしまうのだろうとわかっていても、やっぱり面白い。
今回は湯川が、テレパシーや透視などの超常現象を目の当たりにしたり、プロ野球選手の投球フォームを科学的に分析しアドバイスしたりと、またまた多方面で活躍している。
やっぱりガリレオシリーズは、長編より短編の方が面白いな。
何でもお見通しの湯川教授だったら、STAP細胞についての騒動も鮮やかに解いてくれるのではないだろうか?
えっ!湯川教授は物理学の教授だから、分野が違う?
でも、きっと解決してくれると思うなぁ。
だって、天才・湯川教授なのだから。
文藝春秋
やっぱり短編は面白い!!湯川教授が活躍するガリレオシリーズ第8弾。
警視庁捜査一課の刑事・草薙の大学時代の友人である物理学者・湯川教授が様々な事件を解決していくガリレオシリーズの第8弾。
透視す(みとおす)
湯川は、草薙に連れられ訪れた銀座のクラブで、透視ができると評判のホステス・アイに名前や職業を言い当てられ、驚く。
その直後、アイが何者かに殺されてしまう。
アイの殺害と透視は関係あるのだろうか?
曲球る(まがる)
プロ野球選手の妻が駐車場で死体となって発見された。
犯人はすぐに逮捕されたが、助手席にはプレゼント包装された置時計が残されており、誰に何のために用意したのか、湯川が解明していく。
念波る(おくる)
双子の姉が危険な目にあっているとテレパシーで感じた双子の妹。
連絡してみると、本当に姉は殺害されていた。
超常現象を信じそうもない湯川が、なんとテレパシーについて研究を始める。
テレパシーは本当にあるのだろうか?
猛射つ(うつ)
湯川の高校の後輩が、姉が死亡した恨みをはらそうと機械を使った殺害を計画しているらしい。
その機械とは、湯川がかつて後輩と一緒に作成したものだった。
計画を阻止しようと湯川が奮闘する。
以上4編が収められている。
相変わらず冴えまくっている湯川教授。
最後は全て解決してしまうのだろうとわかっていても、やっぱり面白い。
今回は湯川が、テレパシーや透視などの超常現象を目の当たりにしたり、プロ野球選手の投球フォームを科学的に分析しアドバイスしたりと、またまた多方面で活躍している。
やっぱりガリレオシリーズは、長編より短編の方が面白いな。
何でもお見通しの湯川教授だったら、STAP細胞についての騒動も鮮やかに解いてくれるのではないだろうか?
えっ!湯川教授は物理学の教授だから、分野が違う?
でも、きっと解決してくれると思うなぁ。
だって、天才・湯川教授なのだから。
2014年3月15日土曜日
夢幻花
東野圭吾著
PHP研究所
黄色いアサガオだけは追いかけるな。追い求めると身を滅ぼす夢幻花だから。
この「夢幻花」を読むまで全く知りませんでしたが、アサガオほど形態が多種多様に変化した植物は他にないそうです。
それから、江戸時代にはあったとされる黄色いアサガオは、現在再現できず、幻のアサガオとも呼ばれているそうです。
そんなアサガオを題材とした東野圭吾さんのミステリーです。
かつて植物を研究していた祖父の家で、孫の 梨乃 は黄色い花の写真を見かけました。
でも、なぜかこの花の事は二人だけの秘密にして欲しいと祖父に言われるのです。
そしてその祖父が、自宅で殺害されてしまいました。
その上、黄色い花の鉢植えもなくなっていたのです。
梨乃は、家庭で疎外感を抱いている大学院生の蒼太と知り合い、二人で「黄色い花」の謎を追いかけていきます。
昭和30年代に起きた無差別殺人事件、中学時代の淡い初恋、人気バンドのメンバーだった従兄弟の自殺、そして黄色い花。
一見無関係なそれぞれの事柄が、読み進めるにつれ少しずつ繋がっていきます。
そして偶然と思えたことが、必然だったのだとわかるのです。
あれがここに繋がるのか。
だから、ああだったのか。
そう気づいてスッキリするとともに、やっぱり万人受けするエンターテインメントミステリーだと思いました。
東野圭吾さんの小説って、気軽に読めてあまり余韻を引きずらないんですよね。
大人気なのは納得します。
でも、東野さんの小説だからきっと面白いに違いないとハードルを上げて読み始めると、「あれれ??」と残念に思うときもよくありますが(笑)、この本は私にとって当たりだったのでした。
PHP研究所
黄色いアサガオだけは追いかけるな。追い求めると身を滅ぼす夢幻花だから。
この「夢幻花」を読むまで全く知りませんでしたが、アサガオほど形態が多種多様に変化した植物は他にないそうです。
それから、江戸時代にはあったとされる黄色いアサガオは、現在再現できず、幻のアサガオとも呼ばれているそうです。
そんなアサガオを題材とした東野圭吾さんのミステリーです。
かつて植物を研究していた祖父の家で、孫の 梨乃 は黄色い花の写真を見かけました。
でも、なぜかこの花の事は二人だけの秘密にして欲しいと祖父に言われるのです。
そしてその祖父が、自宅で殺害されてしまいました。
その上、黄色い花の鉢植えもなくなっていたのです。
梨乃は、家庭で疎外感を抱いている大学院生の蒼太と知り合い、二人で「黄色い花」の謎を追いかけていきます。
昭和30年代に起きた無差別殺人事件、中学時代の淡い初恋、人気バンドのメンバーだった従兄弟の自殺、そして黄色い花。
一見無関係なそれぞれの事柄が、読み進めるにつれ少しずつ繋がっていきます。
そして偶然と思えたことが、必然だったのだとわかるのです。
あれがここに繋がるのか。
だから、ああだったのか。
そう気づいてスッキリするとともに、やっぱり万人受けするエンターテインメントミステリーだと思いました。
東野圭吾さんの小説って、気軽に読めてあまり余韻を引きずらないんですよね。
大人気なのは納得します。
でも、東野さんの小説だからきっと面白いに違いないとハードルを上げて読み始めると、「あれれ??」と残念に思うときもよくありますが(笑)、この本は私にとって当たりだったのでした。
2013年11月3日日曜日
祈りの幕が下りる時
東野圭吾著
講談社
一気読みでした!「加賀恭一郎シリーズ」の10作目
養護施設で育ち、苦労しながら、夢見ていた大きな舞台を成功させた女性演出家。
彼女を訪ねてきた幼馴染みが、数日後遺体で発見された。
同時期にホームレスが河川敷で殺害され、テントが燃やされる事件があった。
二つの事件を追ううちに、過去の悲しい出来事、複雑に絡み合った人間模様が徐々に明らかにされていく。
本書は、東野圭吾氏による「加賀恭一郎シリーズ」の10作目である。
「新参者」「麒麟の翼」で出てきた場所や出来事があちこちに登場したり、加賀が子供の頃に突然失踪した母親のことも次第に明らかになっていく。
普段あまり感情をあらわにしないクールな加賀だが、彼の中にある温かみや情熱をも感じさせてくれる、加賀シリーズのファンには見逃せない一冊である。
ストーリー的にも、冒頭から惹きつけられ、一気読みせずにはいられない。
前作「麒麟の翼」をご本人が「自己最高傑作」とおっしゃっていたが、正直とてもそんな風には思えなかった。
本書の方がよっぽど面白く、加賀シリーズの中では一番読み応えがあるように感じた。
「麒麟の翼」より活字量が多く、人物の心情が細やかに描かれていたからだろうか。
親が子を想う気持ち、追い詰められていく犯人・・・確かに今までどこかで読んだことのあるような題材なのだが、読者を夢中にさせるのだから人気がある作家だというのは頷ける。
これぞエンターテインメントだなぁ。
講談社
一気読みでした!「加賀恭一郎シリーズ」の10作目
養護施設で育ち、苦労しながら、夢見ていた大きな舞台を成功させた女性演出家。
彼女を訪ねてきた幼馴染みが、数日後遺体で発見された。
同時期にホームレスが河川敷で殺害され、テントが燃やされる事件があった。
二つの事件を追ううちに、過去の悲しい出来事、複雑に絡み合った人間模様が徐々に明らかにされていく。
本書は、東野圭吾氏による「加賀恭一郎シリーズ」の10作目である。
「新参者」「麒麟の翼」で出てきた場所や出来事があちこちに登場したり、加賀が子供の頃に突然失踪した母親のことも次第に明らかになっていく。
普段あまり感情をあらわにしないクールな加賀だが、彼の中にある温かみや情熱をも感じさせてくれる、加賀シリーズのファンには見逃せない一冊である。
ストーリー的にも、冒頭から惹きつけられ、一気読みせずにはいられない。
前作「麒麟の翼」をご本人が「自己最高傑作」とおっしゃっていたが、正直とてもそんな風には思えなかった。
本書の方がよっぽど面白く、加賀シリーズの中では一番読み応えがあるように感じた。
「麒麟の翼」より活字量が多く、人物の心情が細やかに描かれていたからだろうか。
親が子を想う気持ち、追い詰められていく犯人・・・確かに今までどこかで読んだことのあるような題材なのだが、読者を夢中にさせるのだから人気がある作家だというのは頷ける。
これぞエンターテインメントだなぁ。
2013年8月18日日曜日
虚像の道化師 ガリレオ 7
東野圭吾著
文藝春秋
帝都大学の物理学科准教授・湯川が、学生時代の友人で捜査一課の刑事・草薙が持ち込んでくる事件を解き明かすガリレオシリーズの第7弾。
「幻惑す(まどわす)」
宗教法人で儀式の最中、信者が建物から飛び降り、脳挫傷で死亡した。
「念」を送ったため、指一本触れていないが突き落としたのと同じだと、教祖が自首してきた。
「偽装う(よそおう)」
湯川と草薙は、学生時代の友人の結婚式に出席し、近くの別荘地で有名作詞家夫妻の殺人事件に遭遇する。
その他、人工的に耳鳴りを起こすことができるのか(「心聴る」)、劇団内の殺人事件のアリバイを覆す(「演技る」)など、4編が収録されている。
読んでいるとどうしてもメガネをかけた福山雅治を想像してしまう。
いやぁ、湯川と草薙もよく事件に遭遇するもんだと思うが、東野圭吾氏もよくトリックのネタが尽きないなぁと感心する。
正直、このシリーズはもう卒業しようかなと思っていた。
映像のイメージが強すぎるのだ。
しかし、読み始めるとやっぱり面白くて一気に読み終えてしまった。
「心聴る」では、OLの耳鳴り、不倫の上での自殺、幻聴による暴力事件と、一見関係なさそうな3つの事件がどのように繋がるのか、先が気になって仕方なかった。
だから止められないんだなぁ。
個人的には、このシリーズに限っては長編より短編の方が好みである。
登場人物の心理を細かく追うよりも、純粋にトリックが面白いと思うからだ。
もうすでにガリレオシリーズの8が発売されている。
またきっと読むんだろうな。
文藝春秋
帝都大学の物理学科准教授・湯川が、学生時代の友人で捜査一課の刑事・草薙が持ち込んでくる事件を解き明かすガリレオシリーズの第7弾。
「幻惑す(まどわす)」
宗教法人で儀式の最中、信者が建物から飛び降り、脳挫傷で死亡した。
「念」を送ったため、指一本触れていないが突き落としたのと同じだと、教祖が自首してきた。
「偽装う(よそおう)」
湯川と草薙は、学生時代の友人の結婚式に出席し、近くの別荘地で有名作詞家夫妻の殺人事件に遭遇する。
その他、人工的に耳鳴りを起こすことができるのか(「心聴る」)、劇団内の殺人事件のアリバイを覆す(「演技る」)など、4編が収録されている。
読んでいるとどうしてもメガネをかけた福山雅治を想像してしまう。
いやぁ、湯川と草薙もよく事件に遭遇するもんだと思うが、東野圭吾氏もよくトリックのネタが尽きないなぁと感心する。
正直、このシリーズはもう卒業しようかなと思っていた。
映像のイメージが強すぎるのだ。
しかし、読み始めるとやっぱり面白くて一気に読み終えてしまった。
「心聴る」では、OLの耳鳴り、不倫の上での自殺、幻聴による暴力事件と、一見関係なさそうな3つの事件がどのように繋がるのか、先が気になって仕方なかった。
だから止められないんだなぁ。
個人的には、このシリーズに限っては長編より短編の方が好みである。
登場人物の心理を細かく追うよりも、純粋にトリックが面白いと思うからだ。
もうすでにガリレオシリーズの8が発売されている。
またきっと読むんだろうな。
2013年2月1日金曜日
ナミヤ雑貨店の奇蹟
ナミヤ雑貨店の奇蹟
東野圭吾著
角川書店
♪ 現在(いま)がどんなにやるせなくても、明日は今日より素晴らしい♪ ~「月光の聖者達~ミスター・ムーンライト」(桑田佳祐作詞作曲)より
映画「エイリアン」が公開され、サザンの「いとしのエリー」が流行っていた頃。
郊外にあるナミヤ雑貨店では、ふとしたきっかけからお悩み相談を始めることになった。
回答するのは店主。
相談者が雑貨店の郵便口に相談内容を入れておくと、翌朝勝手口の牛乳箱に回答が入っているというシステムだ。
当初は「生協の白石さん」のようだった相談も、だんだんと深刻な内容になっていく。
親身の回答が評判となり、「どんな悩みも解決してくれる雑貨店」として雑誌にまで取り上げられた。
そして時は流れ、もう誰も住んでいない雑貨店に逃げ込んだ3人組の男たちは、なぜかお悩み相談の手紙を受け取った・・・
様々な登場人物が、過去と未来を交差しながら「ナミヤ雑貨店」を中心に関わっていく。
本書は
・逃走中の3人組の男たちが雑貨店に忍び込む「回答は牛乳箱に」
・ミュージシャン志望の魚屋の息子の悩み「夜更けにハーモニカを」
・雑貨店の店主である父と息子の苦悩「シビックで朝まで」
・両親が夜逃げしたビートルズファンの「黙祷はビートルズで」
・児童養護施設で育ちその後成功した女社長の「空の上から祈りを」
以上5章からなる連作短編集である。
身近な人には相談しにくいこと、見ず知らずの第三者だからこそ打ち明けられること。
相談者たちのそんな深刻な悩みに、店主は正面から向き合い、苦悩しながら考える。
その回答内容が、素晴らしい。
そして、ちょっとした出来事が、時空を越えて行き交う手紙により雑貨店や児童擁護施設の「丸光園」とどんどん結びついて、最後の章ではうまくまとまり、明るい未来を予感させて終わる。
点と点が繋がって行くたびに「おぉ〜」と感心し、心がじんわり温かくなる。
「殺人事件が起こらない小説」ということで、今までの東野作品とはひと味違うのだが、入り組んだ人間模様や人々の深刻な悩みが描かれていて深みがあり、じっくり堪能させてもらった。
著者から「明日が今日より素晴らしくなりますように」と前向きになるメッセージを受け取った気がする一冊だった。
※著者が桑田佳祐さんの大ファンということで、相談の回答に歌詞が織り込まれていたり、章のタイトルも桑田さん風で、私もサザンファンの一人としてなんだか嬉しくなった。
東野圭吾著
角川書店
♪ 現在(いま)がどんなにやるせなくても、明日は今日より素晴らしい♪ ~「月光の聖者達~ミスター・ムーンライト」(桑田佳祐作詞作曲)より
映画「エイリアン」が公開され、サザンの「いとしのエリー」が流行っていた頃。
郊外にあるナミヤ雑貨店では、ふとしたきっかけからお悩み相談を始めることになった。
回答するのは店主。
相談者が雑貨店の郵便口に相談内容を入れておくと、翌朝勝手口の牛乳箱に回答が入っているというシステムだ。
当初は「生協の白石さん」のようだった相談も、だんだんと深刻な内容になっていく。
親身の回答が評判となり、「どんな悩みも解決してくれる雑貨店」として雑誌にまで取り上げられた。
そして時は流れ、もう誰も住んでいない雑貨店に逃げ込んだ3人組の男たちは、なぜかお悩み相談の手紙を受け取った・・・
様々な登場人物が、過去と未来を交差しながら「ナミヤ雑貨店」を中心に関わっていく。
本書は
・逃走中の3人組の男たちが雑貨店に忍び込む「回答は牛乳箱に」
・ミュージシャン志望の魚屋の息子の悩み「夜更けにハーモニカを」
・雑貨店の店主である父と息子の苦悩「シビックで朝まで」
・両親が夜逃げしたビートルズファンの「黙祷はビートルズで」
・児童養護施設で育ちその後成功した女社長の「空の上から祈りを」
以上5章からなる連作短編集である。
身近な人には相談しにくいこと、見ず知らずの第三者だからこそ打ち明けられること。
相談者たちのそんな深刻な悩みに、店主は正面から向き合い、苦悩しながら考える。
その回答内容が、素晴らしい。
そして、ちょっとした出来事が、時空を越えて行き交う手紙により雑貨店や児童擁護施設の「丸光園」とどんどん結びついて、最後の章ではうまくまとまり、明るい未来を予感させて終わる。
点と点が繋がって行くたびに「おぉ〜」と感心し、心がじんわり温かくなる。
「殺人事件が起こらない小説」ということで、今までの東野作品とはひと味違うのだが、入り組んだ人間模様や人々の深刻な悩みが描かれていて深みがあり、じっくり堪能させてもらった。
著者から「明日が今日より素晴らしくなりますように」と前向きになるメッセージを受け取った気がする一冊だった。
※著者が桑田佳祐さんの大ファンということで、相談の回答に歌詞が織り込まれていたり、章のタイトルも桑田さん風で、私もサザンファンの一人としてなんだか嬉しくなった。
2012年5月17日木曜日
真夏の方程式
真夏の方程式
東野圭吾著
文藝春秋
湯川博士と草薙刑事。おなじみのコンビが活躍するガリレオシリーズ第6弾。 「これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは。」
やっと図書館の順番が回ってきた。
私が借りている今でも127人待ちである。
さすが東野圭吾氏、乗りに乗っている。
作家さんのために購入した方がいいのは理解しているのだが、雑誌も相当買っている私は、なかなか単行本にまで手が出ない。
東野さん、文庫本は何冊か購入しているので許してほしい。
夏休み中である小学5年生の恭平は、親戚が経営する玻璃ヶ浦の旅館で何日かを過ごすことになった。
この町では、海底鉱物資源開発か、美しい海の保存か、という問題がわき上がっていた。
帝都大学物理学准教授の湯川もまた、説明会に出席するためこの町に来て、恭平がいる旅館に泊まることになった。
そして、もう一人の宿泊者・塚原が、翌朝海辺で変死体となって発見された。
誤って転落した事故死なのか、それとも・・・
どうしても、このシリーズを読んでいると湯川が福山雅治に思えてくる。
というか、それ以外には考えられない。
初めは佐野史郎をイメージして作られたキャラクターだったと思うのだが。
「それと、論理的でない相手と付き合うのは疲れる」という理由から子供が苦手だったはずの湯川が、恭平ととてもいい関係を築いていく。
どうも、ドラマが放映されてから少しずつ軌道修正されているように感じた。
湯川博士が恭平に花火の仕組みを説明する場面や、数学の宿題を解説する場面があるのだが、
ふんふん、なるほどと思わず聞き入って(読み入って?)しまった。
こんな人が子供時代にそばにいてくれたら、もっと理科が好きになっていただろうと羨ましく感じる。
しかも、こんなイケメンに!!
さすが東野作品!王道のエンターテイメント作品!と思いながら読んでいたのだが、ラストで違和感というか腑に落ちないことがあった。
でも、福山博士がイケメンだから、何でも許されるのかもしれない。
東野圭吾著
文藝春秋
湯川博士と草薙刑事。おなじみのコンビが活躍するガリレオシリーズ第6弾。 「これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは。」
やっと図書館の順番が回ってきた。
私が借りている今でも127人待ちである。
さすが東野圭吾氏、乗りに乗っている。
作家さんのために購入した方がいいのは理解しているのだが、雑誌も相当買っている私は、なかなか単行本にまで手が出ない。
東野さん、文庫本は何冊か購入しているので許してほしい。
夏休み中である小学5年生の恭平は、親戚が経営する玻璃ヶ浦の旅館で何日かを過ごすことになった。
この町では、海底鉱物資源開発か、美しい海の保存か、という問題がわき上がっていた。
帝都大学物理学准教授の湯川もまた、説明会に出席するためこの町に来て、恭平がいる旅館に泊まることになった。
そして、もう一人の宿泊者・塚原が、翌朝海辺で変死体となって発見された。
誤って転落した事故死なのか、それとも・・・
どうしても、このシリーズを読んでいると湯川が福山雅治に思えてくる。
というか、それ以外には考えられない。
初めは佐野史郎をイメージして作られたキャラクターだったと思うのだが。
「それと、論理的でない相手と付き合うのは疲れる」という理由から子供が苦手だったはずの湯川が、恭平ととてもいい関係を築いていく。
どうも、ドラマが放映されてから少しずつ軌道修正されているように感じた。
湯川博士が恭平に花火の仕組みを説明する場面や、数学の宿題を解説する場面があるのだが、
ふんふん、なるほどと思わず聞き入って(読み入って?)しまった。
こんな人が子供時代にそばにいてくれたら、もっと理科が好きになっていただろうと羨ましく感じる。
しかも、こんなイケメンに!!
さすが東野作品!王道のエンターテイメント作品!と思いながら読んでいたのだが、ラストで違和感というか腑に落ちないことがあった。
でも、福山博士がイケメンだから、何でも許されるのかもしれない。
2012年3月25日日曜日
マスカレードホテル
マスカレードホテル
東野圭吾著
集英社
高級ホテルを舞台にした東野圭吾小説家25年記念作品第3作。これぞ本領発揮の東野作品であった。
「犯人について何も手がかりがなくて、誰が狙われているのかもわからないのに、次にこのホテルで事件が起きることだけはわかってるんですか。」
「あなたはホテルマンの鑑だ。」
一流ホテル「ホテルコルテシア」。
連続殺人事件の次の舞台はそのホテルで起きるはずだという。
そこで、事件を未然に防ぐため、警視庁の刑事たちが従業員に扮する潜入捜査が始まった。
優秀なフロントスタッフの山岸尚美とコンビを組んだのが刑事新田浩介。
最初はお互い印象が悪かったが、時が経つにつれ信頼関係が芽生えていく。
果たして、本当に殺人事件は起こるのか・・・?
マスカレード----仮面舞踏会ということで、表紙には仮面がデザインされている。
著者はインタビューで
大人が大人らしくいられる最後の砦であるホテルそのものが主役であるような小説を書いてみたかった。
刑事とホテルマン二人の目線から、訪れる客たちを描くことでホテルという世界を伝えよう。
テーマは、「プロフェッショナリズムとは何か」である。
と語っている。
東野長編作品ということで読む前から期待してしまうが、さすがであった。
これだけ量産しているのにもかかわらず、一気に読ませてくれる、エンタメミステリーの王道のような小説だった。
フロントの尚美がとにかくかっこいい。
様々な客がやってくるホテルで、時にはクレーマーの様な客もいる。
「お客様がルール」と言って、見事な対応をする尚美にこれがプロの仕事だと喝采を送りたくなった。
それに引き換え、シリーズ化されるという主役の刑事・新田が子供じみている。
プライドが高く、すぐ顔に出たり、手柄を立てようと焦ったり・・・
でも、やはり彼もプロなのである。ホテルマン姿も様になっていき成長していく。
そして、キーマンとも言える冴えない中年警官・能勢の、優秀だが人をたて裏役に徹する姿勢にまたプロを見た。
私にとってこの本の魅力は、
それぞれの「仕事」に対するひたむきさと成長していく様子
お客様が一番と考えるホテル側と、まず疑ってかかる警察側の対比
そしてホテルを舞台にした人間模様、であった。
それにしても、接客業は大変だなぁと思う。
東野圭吾著
集英社
高級ホテルを舞台にした東野圭吾小説家25年記念作品第3作。これぞ本領発揮の東野作品であった。
「犯人について何も手がかりがなくて、誰が狙われているのかもわからないのに、次にこのホテルで事件が起きることだけはわかってるんですか。」
「あなたはホテルマンの鑑だ。」
一流ホテル「ホテルコルテシア」。
連続殺人事件の次の舞台はそのホテルで起きるはずだという。
そこで、事件を未然に防ぐため、警視庁の刑事たちが従業員に扮する潜入捜査が始まった。
優秀なフロントスタッフの山岸尚美とコンビを組んだのが刑事新田浩介。
最初はお互い印象が悪かったが、時が経つにつれ信頼関係が芽生えていく。
果たして、本当に殺人事件は起こるのか・・・?
マスカレード----仮面舞踏会ということで、表紙には仮面がデザインされている。
著者はインタビューで
大人が大人らしくいられる最後の砦であるホテルそのものが主役であるような小説を書いてみたかった。
刑事とホテルマン二人の目線から、訪れる客たちを描くことでホテルという世界を伝えよう。
テーマは、「プロフェッショナリズムとは何か」である。
と語っている。
東野長編作品ということで読む前から期待してしまうが、さすがであった。
これだけ量産しているのにもかかわらず、一気に読ませてくれる、エンタメミステリーの王道のような小説だった。
フロントの尚美がとにかくかっこいい。
様々な客がやってくるホテルで、時にはクレーマーの様な客もいる。
「お客様がルール」と言って、見事な対応をする尚美にこれがプロの仕事だと喝采を送りたくなった。
それに引き換え、シリーズ化されるという主役の刑事・新田が子供じみている。
プライドが高く、すぐ顔に出たり、手柄を立てようと焦ったり・・・
でも、やはり彼もプロなのである。ホテルマン姿も様になっていき成長していく。
そして、キーマンとも言える冴えない中年警官・能勢の、優秀だが人をたて裏役に徹する姿勢にまたプロを見た。
私にとってこの本の魅力は、
それぞれの「仕事」に対するひたむきさと成長していく様子
お客様が一番と考えるホテル側と、まず疑ってかかる警察側の対比
そしてホテルを舞台にした人間模様、であった。
それにしても、接客業は大変だなぁと思う。
2011年11月24日木曜日
麒麟の翼
麒麟の翼
東野 圭吾著
講談社
2012年1月公開の映画「麒麟の翼」の原作。東野圭吾氏本人も認める自己最高傑作・・・らしい。
日本橋の中ほど、二体の麒麟像が置かれた装飾柱の下で建築部品メーカの製造部長・青柳武明55歳の死体が見つかった。刃物で胸を刺されていた。現場近くで交通事故にあい意識不明の重体になっている無職の八島冬樹が、青柳の財布を持っていた。八島は派遣社員として青柳の会社で働いていたことがあった。果たして犯人は青柳なのか?
冒頭、物語は主人公の加賀と同じように淡々と進む。
殺人事件が起き・登場人物が出そろい・状況がわかってきた中盤あたりから、
あとは一気に最後まで進み、目が離せなくなる。
最後はきちんとまとめてくれていて、読者の立場として欲求不満にならずありがたい。
今回のテーマは「父と息子の絆」。
加賀と亡父、殺された青柳と高校生の息子、それぞれに「絆」ある。
舞台は東京・日本橋周辺。
実際にある麒麟の像があることは気がつかなかった。
翼を広げて空を見上げる麒麟の像――読み終わった後に表紙を見るとまた違った印象を受ける。
ってここまで書いたけれど、やっぱり私らしくない。
だから、本音でいこう。
「自身最高傑作」との呼び名の高い作品だし、東野圭吾だしということで、こちらの期待も高まるばかり。
最近の長編大作は考えさせられる重たいテーマが多く、さすがと思って今回もそのつもりで読んでいた。
でも、肩すかしを喰らったようだった。
「上手い」というのが今の率直な感想である。
最後も上手くまとめてあるし、「絆」というテーマもいい。
でも、期待度が高かっただけにいまひとつ胸をうつものがないような気がする。
なぜだろうと考えてふと、登場人物の内面がよくわからないからだと思い当たった。
それぞれの心理描写があまりなく、細かい心の変化は読者それぞれが想像するしかないのだが、
殺された青柳の妻・娘キャラクター設定もよくわからず、誰にも感情移入ができない、
大げさに言うと長いあらすじを読んでいる印象すらある。
「最高傑作」とかの謳い文句を頭から消して、過度の期待をせずに素直に読んだら楽しめた作品だったと思う。
東野 圭吾著
講談社
2012年1月公開の映画「麒麟の翼」の原作。東野圭吾氏本人も認める自己最高傑作・・・らしい。
日本橋の中ほど、二体の麒麟像が置かれた装飾柱の下で建築部品メーカの製造部長・青柳武明55歳の死体が見つかった。刃物で胸を刺されていた。現場近くで交通事故にあい意識不明の重体になっている無職の八島冬樹が、青柳の財布を持っていた。八島は派遣社員として青柳の会社で働いていたことがあった。果たして犯人は青柳なのか?
冒頭、物語は主人公の加賀と同じように淡々と進む。
殺人事件が起き・登場人物が出そろい・状況がわかってきた中盤あたりから、
あとは一気に最後まで進み、目が離せなくなる。
最後はきちんとまとめてくれていて、読者の立場として欲求不満にならずありがたい。
今回のテーマは「父と息子の絆」。
加賀と亡父、殺された青柳と高校生の息子、それぞれに「絆」ある。
舞台は東京・日本橋周辺。
実際にある麒麟の像があることは気がつかなかった。
翼を広げて空を見上げる麒麟の像――読み終わった後に表紙を見るとまた違った印象を受ける。
ってここまで書いたけれど、やっぱり私らしくない。
だから、本音でいこう。
「自身最高傑作」との呼び名の高い作品だし、東野圭吾だしということで、こちらの期待も高まるばかり。
最近の長編大作は考えさせられる重たいテーマが多く、さすがと思って今回もそのつもりで読んでいた。
でも、肩すかしを喰らったようだった。
「上手い」というのが今の率直な感想である。
最後も上手くまとめてあるし、「絆」というテーマもいい。
でも、期待度が高かっただけにいまひとつ胸をうつものがないような気がする。
なぜだろうと考えてふと、登場人物の内面がよくわからないからだと思い当たった。
それぞれの心理描写があまりなく、細かい心の変化は読者それぞれが想像するしかないのだが、
殺された青柳の妻・娘キャラクター設定もよくわからず、誰にも感情移入ができない、
大げさに言うと長いあらすじを読んでいる印象すらある。
「最高傑作」とかの謳い文句を頭から消して、過度の期待をせずに素直に読んだら楽しめた作品だったと思う。
2011年10月29日土曜日
鳥人計画
鳥人計画
東野圭吾著
角川文庫
東野圭吾の1989年の作品。スキージャンプ競技のエースが殺された。犯人はジャンプ関係者なのか?
日本のジャンプ界を担うエースの楡井が大会で優勝した次の日、
毒殺された。
ライバルの選手たち、コーチ、恋人、彼を取り巻く人々の中に犯人はいるのか?
何のために殺したのか?
まずびっくりしたのが、犯人が最初の方でわかってしまうこと。
えっ!と思わず声を出してしまった。
犯人わかっちゃったら、残りの分厚いページは何について書いてあるの?
それとも、この犯人はフェイクなのか?
でも、そこは人気作家の著者。
読者をいい意味で裏切ってくれていた。
ジャンプ競技は、冬のスポーツニュースでチラッと見る程度の私。
そんなほとんど知識ゼロの私には、ジャンプ業界もとても興味深く感じた。
飛び方も、昔は手を前に出していたとか、
今は板をV字にするが、ちょっと前までまっすぐだったとか
知らなかったことがいっぱいあって面白かった。
ストーリーとは別に、そういう事を知るのも読書のだいご味。
ただ、「K点越え」という言葉は聞いたことあっても正確な意味はわからない、
飛型点や採点方法などはお手上げ。
そんなど素人のためにも、無知な警察官に説明する形とかで、解説が欲しかった。
選手やコーチたちの「勝ち」にこだわるひたむきさ、
それも魅力の本だった。
東野圭吾著
角川文庫
東野圭吾の1989年の作品。スキージャンプ競技のエースが殺された。犯人はジャンプ関係者なのか?
日本のジャンプ界を担うエースの楡井が大会で優勝した次の日、
毒殺された。
ライバルの選手たち、コーチ、恋人、彼を取り巻く人々の中に犯人はいるのか?
何のために殺したのか?
まずびっくりしたのが、犯人が最初の方でわかってしまうこと。
えっ!と思わず声を出してしまった。
犯人わかっちゃったら、残りの分厚いページは何について書いてあるの?
それとも、この犯人はフェイクなのか?
でも、そこは人気作家の著者。
読者をいい意味で裏切ってくれていた。
ジャンプ競技は、冬のスポーツニュースでチラッと見る程度の私。
そんなほとんど知識ゼロの私には、ジャンプ業界もとても興味深く感じた。
飛び方も、昔は手を前に出していたとか、
今は板をV字にするが、ちょっと前までまっすぐだったとか
知らなかったことがいっぱいあって面白かった。
ストーリーとは別に、そういう事を知るのも読書のだいご味。
ただ、「K点越え」という言葉は聞いたことあっても正確な意味はわからない、
飛型点や採点方法などはお手上げ。
そんなど素人のためにも、無知な警察官に説明する形とかで、解説が欲しかった。
選手やコーチたちの「勝ち」にこだわるひたむきさ、
それも魅力の本だった。
2011年9月6日火曜日
分身
東野圭吾著
集英社文庫
北海道に住んでいる鞠子。幼い頃から母の愛に違和感を感じていた。
東京に住んでいる双葉。生まれた時から母と二人暮らし。
性格は全く違うが、なぜかそっくりな二人。
双葉のテレビ出演を機に、様々な渦に巻き込まれていく・・・
だいぶ前の医療サスペンスといえば、普通、医療の進歩に伴って古臭く感じてしまうもの。
でも、この本はそんなこと感じさせず、面白かった。
(専門家にはどうかわからないが)
最初から、暗く、薄気味悪いベールが一枚かかっているような気持ち悪さが最後まで続いていた。
自分と双子以上にそっくりな人がいたら?
まずは親の浮気を疑うかな?
でも、そんな話ではなかった。
東野作品の初期のいくつかは、終わり方が中途半端で納得できないものがあったが、
この作品は、余韻を残しつつも、とりあえずうまくまとまっていた。
考えさせられる点も多々あり、読み終わった後も、本能的な嫌悪感は尾をひいていた。
あと、一貫して「親の愛情」がテーマとして流れていた。
それが、気持ち悪さの中、救いだった。
改めて、昔の作品を読んでみたくなった。
東京に住んでいる双葉。生まれた時から母と二人暮らし。
性格は全く違うが、なぜかそっくりな二人。
双葉のテレビ出演を機に、様々な渦に巻き込まれていく・・・
だいぶ前の医療サスペンスといえば、普通、医療の進歩に伴って古臭く感じてしまうもの。
でも、この本はそんなこと感じさせず、面白かった。
(専門家にはどうかわからないが)
最初から、暗く、薄気味悪いベールが一枚かかっているような気持ち悪さが最後まで続いていた。
自分と双子以上にそっくりな人がいたら?
まずは親の浮気を疑うかな?
でも、そんな話ではなかった。
東野作品の初期のいくつかは、終わり方が中途半端で納得できないものがあったが、
この作品は、余韻を残しつつも、とりあえずうまくまとまっていた。
考えさせられる点も多々あり、読み終わった後も、本能的な嫌悪感は尾をひいていた。
あと、一貫して「親の愛情」がテーマとして流れていた。
それが、気持ち悪さの中、救いだった。
改めて、昔の作品を読んでみたくなった。
2011年6月27日月曜日
手紙
東野圭吾著
文春文庫
二人暮らしの兄が、強盗殺人を犯し、服役する。
弟・直貴のもとに、兄から月に一回手紙が届く・・・。
懸命に生きていく直貴だが、進学・恋愛・就職と事あるごとに「強盗殺人犯の弟」というレッテルが邪魔をする。
直貴を支える白石由実子が献身的。
重いテーマです。
誰でも差別はいけない・みな平等ですと小学校の道徳の時間に繰り返し習ったはず。
差別が歴然とあるからこそ、何度も教え込まれたのだと思う。
でも、はたして、自分の恋人のお兄さんが服役していたら、娘の結婚相手のお兄さんが服役していたら、息子のお嫁さんのお兄さんが服役していたら、どうするだろうか?
自分が好きになってしまったら、愛は盲目でそんなの関係ないと結婚したかもしれない。
だけど、子供の結婚相手の身内が強盗殺人を犯していたら、きっと結婚に反対すると思う。
後ろめたい感じを持ちながら許さないと思う。
理由はこじつけて色々言うかもしれないけど、反対する。
この本は、加害者家族の立場からだが、被害者の立場から見たら、犯人のことは一生許せないと思う。
その家族は関係ないかもしれないが、一緒くたに憎むと思う。
加害者家族も一緒に罪を償わなければ。
でも、本人は悪いことしてないのに一生償い続けるの?
結論は出ない、考えさせられる本でした。
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