2012年8月13日月曜日

僕はお父さんを訴えます

僕はお父さんを訴えます
友井羊著
宝島社

「リクは大切な家族だから、警察には任せたくない。僕の手で仇打ちをしなくちゃダメなんだ。」 中学生が民事で父を訴える物語。



中学1年の 光一 は、母を亡くし父と二人で暮らしている。
小3の時に自分で買った愛犬「リク」が死んでしまった。
ある疑いを持った 光一 は、民事訴訟を起こすことにする。
「リクを殺した罪で、僕はお父さんを訴える」
ところが、未成年者は裁判を起こせない事がわかり---。
第10回「このミステリーがすごい」優秀賞受賞作。


解説で「ラノベのよう」と書かれているように、軽く読めるのだが、内容的には重く深い。
そして、中学生が父親を裁判で訴える話、と聞くと現実味に乏しいのではと思えたが、読んでいてもあまり違和感を感じなかった。
それは、所々に出てくる主人公の心の描写に、納得するからなのだろう。

難しい法律用語や裁判の進め方も、司法浪人である年上の友人 の口を通してわかりやすく解説してくれる。

これは伏線だろう、何か複雑な事情が裏にあるのだろう、と読者がすぐ気付くようにわかりやすく書かれているのだが、それでもラストの展開には驚いてしまう。

読後感が決していいわけではないが、希望のある終わり方をしている所に救いがある。
しかし、主人公の行動を受け入れられるかどうかによって、好き嫌いのはっきり別れる物語だろうなと感じた。

0 件のコメント:

コメントを投稿

閲覧ありがとうございます。コメントしてくださったらうれしいです。