さよなら、韓流
北原みのり著
河出書房新社
「冬ソナ」から10年。韓流にハマった女の記録。
私の周りにも韓流にハマっている友人がいる。
彼女たちに「すごくいいから観て」と言ってDVDを押し付けられることもあった。
でも、時間がないからといって丁重にお断りしている。
だってハマったら怖いではないか!
彼女たちは韓流のどこに魅力を感じているのだろうか。
本書は「毒婦。」の著者が韓流にハマった記録である。
また、自称「モテない無名のオカマ」の少年アヤちゃん、牧野江里さん、上野千鶴子さんらとの対談も掲載されている。
「宮廷女官チャングムの誓い」を見て韓流に「落ちて」しまったという著者によると、
韓流の男は「エロ」であり、女が自分の欲望をストレートに出せる対象なのだという。
魅力は「端正な顔立ち」「男らしい肉体美」「優しい言葉」「エンターテインメントの質が高い」などらしい。
「端正な顔立ち」や「優しい言葉」はともかく、「肉体美」はその通りだと思う。
日本人の男性アイドルは、薄い胸板と細面の青白い顔でどうしてあんなに中性的なんだろうと思っていた。
見ていると好きとかカッコいいとかより、「体にいいものいっぱい食べて運動しようよ」と大きなお世話を口にしたくなってしまう。
(私の好みは、インパルス堤下や中山きんに君のようなタイプなので)
「少女漫画の中にしかいない人が実写で出てきた」という言葉はなるほどと思った。
友人も同じようなことを言っていたのだ。
実在するバーチャルなアイドルという感じなのだろうか。
韓流の聖地・新大久保では、「老若女女」がK-POPで身体を揺らし、
イケメンにハグやハンドマッサージをしてもらって満足するのだという。
男に比べてどれだけ単純で安全な遊びだろうか。
しかも女性ホルモンが活性化し、語り合う友人が増え…といいことづくめのように書かれている。
(家族よりも韓流を優先し、今日はファンミ、週末は韓国にと飛び回っている方もいると思うのだが。)
かわいそうに思ったのが、韓流男を好きな日本人男性ファンだ。
お目当て以外の男がイヤでしょうがなく、自分たちの世界を邪魔する日本の男は、完全無視されるか白い目でみられるという。
同じファンなんだからもう少し優しい目で見てあげてほしい。
ただこの韓流を取り巻く空気は、急速に変わりつつあるという。
フジテレビ前のデモや領土問題も関係あるのか、著者のもとには「9cmがいいのか」「非国民」などの罵りの言葉が送られ、叩かれているらしい。
そこには「韓国男にハマる日本人の女」と「それを許したくない日本の男」という単純な構図ではない、深い溝がありそうだ。
前のめりに熱く語られ、「はぁ、そうなんですか…」と思う場面が何度もあったが、知らない世界の話なので興味深く一気読みした。
ただ、これだけ韓国男の魅力について熱く語られると、なおさら韓流のDVDを観るのが怖くなってくる。
ハマったら読書の時間もなくなってしまいそうだし。
これから彼女たちはどこへ向かって行くのだろうか。
2013年3月27日水曜日
2012年7月4日水曜日
毒婦 木嶋佳苗100日裁判傍聴記
北原みのり著
朝日新聞出版
(本書に倣い、被告の事を佳苗と呼ばせて頂きます。)
この事件を最初に知った時は、「あんな顔で男を騙せるの?」という論調の報道に「人の好みは色々だから」とそれほど興味は持たなかった。
その後過熱気味の報道で、
「シミ一つない、絹のような滑らかな美肌」「落ち着いたかわいい美声と上品な口調」
「ゆったりした優雅な動作」「ナマ佳苗十分イケる」
「高校の卒業文集に書いた『嫌いなタイプ:不潔、貧乏、バカ』」・・・
そんな記事を読んで、だんだん興味がわいてきた。
佳苗の上から目線はどこからきているのか、そして何が彼女をそうさせたのか、それらを知りたくてこの本を手に取った。
「男から金を引き出す」と聞けば、同情や憐みをを誘うのかと思ってしまう。
ところが佳苗は援助を頼む立場でありながら、あくまでも上から目線で「働くと私と会えなくなりますがそれでもいいのですか?」と卑屈になることなく、攻撃的に強引に催促する。
裁判中の佳苗は、堂々として皆の視線を釘付けにした。
証人の他、検事や裁判官、弁護士までが感情を露わにする中で、被告人席にいる佳苗が一番冷静で、他人事のように座っていたという。
そしてクライマックスの「女性性」自慢。
売春や、ベッドの上での事を語ることで裁判が有利になるとは思えないのに、ドヤ顔で自慢する佳苗。
理解しようと傍聴していながら、佳苗の事が掴めない著者の戸惑いがよくわかり、私も同じように戸惑ってしまう。
佳苗被告の他にも、驚いたことがいくつかあった。
初めてメールでやり取りしてから10日程で470万円を渡す男性。
初めて会った次の日に245万円を振り込む男性。
佳苗の逮捕直前に、警察に忠告されても聞く耳を持たず、さらに200万円渡す男性。・・・
そんなにも簡単に大金を渡せることにびっくりする。
佳苗がそれだけ上手いのだろうか。
婚活サイトで、ガラスの靴を持たないのに、シンデレラに出会う事を夢見る男性たちにも戸惑いを覚えた。
白馬の王子様を夢見るのは女性だけではないのだ。
この事件の動機や、佳苗の事を知りたいと思って読んだのだが、余計にわからなくなってしまう。
貧困、虐待といった悲惨な成育歴があるわけではない。
ただ、田舎の町でセレブ感を味わっていた佳苗が、東京に出たら単なる庶民であった事にショックを受けて変貌したのだろうか。
それとも、小学生のうちから通帳を盗む等の行為をしていた佳苗は、生まれつきの毒婦なのであろうか。
佳苗の事をこんなにも考えてしまう私も、佳苗の毒にやられてしまったのかもしれない。
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