2014年2月26日水曜日

室井滋のオシゴト探検 - 玄人ですもの

室井滋著
中央公論新社

女優の室井滋さんが聞き出したプロフェッショナルな方々の秘密。



自分が平凡な人生を歩んでいるからでしょうか、私は人の仕事の話を聞くのが好きです。世の中には様々な職業がありますが、一人の人間が経験できる仕事は限られています。
だからこそ、他の人はどんな仕事をして、それの何が彼らを惹きつけるのか興味があるのです。

この「玄人ですもの」は、女優の室井滋さんが、玄人たち27人から仕事の秘話を聞き出した対談集です。

日比野克彦さん、穂村弘さん、立川志の輔さんなどのアーティスト。
「昔話」「太陽観測」「遺体学者」などを研究している熱血研究者たち。
「地図マニア」「大相撲」「日本の名字」など小さい頃から好きだったことを突き詰めてプロになった方々。
など、登場する方は、それぞれその道のプロ・まさしく玄人であり、私の知らない世界が広がっていました。

中でも職人さんたちのワザは凄すぎて、ほぉ~とため息が出るばかりです。

金庫開けのエキスパート・鍵師の杉山泰史さんは、依頼の9割は同業者が手に負えない金庫だというのですから、驚きです。
よくドラマで金庫を開けるのに聴診器を当てる場面を見かけますが、実際には聴診器は全く必要ないのだそうです。
あれは、杉山さんのお父様が金庫開け名人としてテレビ出演した際、ただ静かにダイヤルを回しているだけじゃ面白くないからとディレクターに提案されて始めた演出なんだそうです。
「探偵もののドラマでやったことがある!」と室井さんが驚いていたので、おかしくなりました。

他にも
マグロの尻尾に指を入れ、感触から良し悪しがわかるマグロ仲買人。
自分では弾けないが、見た瞬間に価値がわかる中古ヴァイオリンのバイヤー。
など、スゴ技の職人さんたちがたくさん登場します。

でも、皆さんの仕事の話を興味津々でお聞きになっている室井滋さんだって、芝居で泣く時は「右目から泣きますか?左目から泣きますか?」というぐらい、いとも容易く涙を流せるのだそうです。
さすがプロの女優さん!まさしく職人技です。
ただし、空腹時に限るそうですが。

そうそう、先ほどの鍵師の杉山さんの話に戻りますが、ある日ご婦人から亡くなった夫の金庫を開けて欲しいとの依頼を受けたそうです。
開けてみると、中にはSMグッズがびっしりと詰まっていたそうです。
金庫には、見られちゃまずいものを入れないほうがいいですよ。

2014年2月23日日曜日

ペテロの葬列

宮部みゆき著
集英社

納得いかない!どうしてこうなっちゃったの?こんな結末、悲しくてやりきれない!




本書は、「誰か Somebody」「名もなき毒」に次ぐ杉村三郎シリーズの第3弾である。
主人公の杉村三郎は、一大グループ・今多コンツェルンの会長の娘と結婚した。
その際出された条件通り、勤めていた出版社を退職し、今多コンツェルンの一員となりグループ広報室で社内報の編集をしている。
お嬢様育ちの妻に寄り添い続け、人畜無害で飄々としている杉村三郎だが、なぜかいつも事件に巻き込まれ解決していく、というシリーズである。

そして今回は・・・
取材先からの帰りに、杉村三郎はバスジャックに遭遇した。
犯人は本物の拳銃を持ってはいるが、弱々しいおじいさんだった。
しかも、7人の人質たちに多額の慰謝料を支払うというのだ。
発生から3時間余りで事件は呆気なく解決するのだが、慰謝料問題などで人質たちは事件後も翻弄されてしまう。
そして、犯人を調べていくうちに過去に起こった悪徳商法の事件が絡んでいることが明らかになっていく。

豊田商事など、ネズミ講まがいの詐欺事件は昔からあるが、その中で被害者と加害者の線引きは難しい。
その組織の幹部たちが一番悪いのは間違いないのだが、会員たちはどうだろうか。
口車に乗せられ虎の子の貯金を失ってしまった末端の会員は?
友人知人を誘いまくり、儲けようと必死になっていた会員は?
純粋にいい組織と信じ込み、親切心から知人に勧めていた場合は?
善意と悪意が入り乱れて、ハッキリしないグレーゾーンがあるのだと突きつけられ、悩んでしまった。

685ページという長編で、中盤辺りで中だるみというか、退屈する部分もあった。
強引すぎるなぁと思う箇所も多々あった。
しかし、犯人の老人はなぜこんな事件を起こしたのか知りたくて読んでいると、話が二転三転しどんどん予測のつかない方向へと進んでいく。

そして、納得いかないのである。
私が納得いかないのは、事件についてではなく、主役の杉村三郎の身辺についてである。


以下ネタバレ。



会長の娘である妻が今多コンツェルンの社員と不倫し、二人は離婚することになったのだ。
妻は浮気をするようなタイプじゃないと思っていたのに。
浮気相手だって、神のような存在である会長の大切な娘と不倫するとは!
そんな大胆なことするだろうか!
かわいい一人娘を傷つけることになるのに!
これじゃあ、妻に尽くし続けた杉村があまりに可哀想じゃないかっ!!

なんでこうなるの!とこのシリーズのファンとしては納得いかない。
もしかしたら「まぁまぁ、落ち着いて。この先を見届けてちょうだいな。」という戦略なのだろうか。

2014年2月19日水曜日

海賊女王 上下

皆川博子著
光文社

これぞ読書の醍醐味!!16世紀のアイルランドを舞台に活躍した、誇り高き海賊女王の物語。



(上下巻あわせて)

夢中になれる小説が好きだ。
先を知りたい、早く続きが読みたいと、時を忘れて読みふけるような。
読んでいる間は、嫌なことも忘れて本の世界にどっぷり浸っていられるような。
そんな小説に出合えた時、ささやかな幸せを感じるのだ。

そして今回、この「海賊女王」を読み、読書の醍醐味を味わうことができた。
本書は、16世紀に実在した女海賊・ グラニュエル・オマリー をモデルにした壮大な物語である。
海賊女王の波瀾万丈の生涯を、従者であるアランの視点から描いていく。

16世紀のアイルランドで生まれたグラニュエル・オマリー、通称 グローニャ は、幼い頃から活発で、クラン(氏族)の族長である父と共に海賊船に乗り、その後自ら船団を率いて「海賊女王」と呼ばれるようになる。
グローニャは、イングランドの支配に抵抗し、クラン同士の争いに巻き込まれながらも、自分のクランを守るために戦い続けていく。
私利私欲のためではなく、クランのために率先して戦う強い女なのである。
騙し騙され、ときには女を武器に妖艶な魅力を振りまきながら、命をかけて戦い続け、荒くれ男たちから絶大な信頼を得ていく。

一方、もう一人の女王・イングランドのエリザベス女王もまた、煌びやかな宮廷で、噂や陰謀・老いと戦っていた。

同じ年に生まれた二人の女王。
女王という孤独な鎧を身につけている女。
そんな女の波乱に満ちた物語である。

なんという瑞々しさだろうか。
荒々しい男たち、波しぶきや血しぶきが飛び交う戦場、苦しくても逞しく生きる人々。
生き生きと描かれている彼らの中に、私も飛び込んでしまったような気になってくるのだ。
そして、歴史の渦に巻き込まれながらも芯を貫き通した海賊女王に「どこまでもあなたについて行きます。」とひれ伏したくなってくる。

皆川博子さん(83歳)は、現存しているアイルランド・クレア島にあるグローニャの城まで、取材のため足を運んだのだという。
そのバイタリティと少女のような想像力には、驚きを禁じ得ない。

もしかしたらあなたは、本書を手に取り、上下巻で1000ページ超の分厚さに怯んでしまうかもしれない。
冒頭の登場人物一覧を見て、73人という人数の多さに驚き、読むのを躊躇するかもしれない。
読み始めて、見慣れない単語や地名、複雑な人間関係に戸惑い、放り出したくなるかもしれない。
でも、それはもったいないことだ。
もう少し進めば、読むのを止められなくなってしまうのだから。
極上の物語、そして大人の愉しみが待っているのだから。

2014年2月15日土曜日

本を愛しすぎた男: 本泥棒と古書店探偵と愛書狂

アリソン・フーヴァー・バートレット著
築地誠子訳
原書房

「本を愛しすぎる」とはどういうことだろうか?稀少古書を盗む男と追う者たち。古書を巡るノンフィクション。





本書は、稀少な古書を数百冊も盗み続けた男と、彼を追う者たちを取材したノンフィクションである。

著者は、あるきっかけからジョン・ギルギーという本泥棒とその男を追う古書店主のことを知り、取材し始める。
このジョン・ギルギーという男が、とんでもない奴なのである。
彼は、読むことが目的で古書を盗むのではない。
古書をコレクションに加え、自分を裕福で学識のある人間に見せたいと願い、人から称賛されることこそが喜びであるという、なんとも自分勝手な男なのである。
そして、カード詐欺など巧妙な手口で古書を盗み、刑務所を出たり入ったりしているにもかかわらず、反省するどころか、自分の犯罪を誇らしげに正当化し、自己陶酔するような最低男なのだ。

「本を愛しすぎる」とはどういうことだろうか
寝食忘れて、読書に没頭する・・・私は、そんなちょっと憧れてしまうような生活を思い浮かべてしまう。
だから、この題名には違和感を覚えるのだ。
「自分を愛しすぎて本泥棒になった男」といった方が、しっくりくると思うのだが。

ただ、何かを集めたいというコレクター魂のようなものは理解できる。
私自身特に何かを集めているわけではないが、アジアン雑貨や絵本など、広い空間と豊富な資金さえあれば、買いまくりたいと願っているからだ。

ある教授が90t(!)にも及ぶ大量の本を購入し、自宅の最大荷重をオーバーしてしまった話や、古書店や古本市の話、古書コレクターの世界など、本に関するエピソードも満載で、本好きといっても様々なのだなと思い知らされた。
世の中には、読むことが目的ではなく、収集することが目的の本もたくさんあるようだ。

それにしても、ここまで古書が高騰し、投機の対象になっているとは驚いた。
稀少な本は個人で所有するのではなく、人類の共通財産としてずっと残しておいて欲しいと思うのだが、それは無理なのだろうか。

2014年2月12日水曜日

えーっ!これ、言い間違い!?

かおり&ゆかり著
飛鳥新社

笑っていられるのも最初だけ!?過去を思い出しては赤くなったり青くなったり・・・ああ!日本語って難しい。



「にやける」って思わず顔が緩んでしまうことではなく、「男が女のように色っぽい様子をしたり変にめかしこんだりすること」だって知っていましたか?
えっ!知っていた!
常識ですか。そうですか・・・
私は恥ずかしながら、「えーっ!これ、言い間違い!?」を読んで初めて知ったのです。
本書は、間違えやすい日本語について漫画で解説してくれる楽しい本です。

でも、初めは笑いながら読んでいたのですが、今まで知らなかった・気付かなかった日本語の間違いを知り、過去を思い出して顔が赤くなったり青くなったり・・・
恥ずかしくてたまらなくなりました。

言い間違いなんてしょっちゅうしています。
恥の多い人生なのです。
「なおざり」と「おざなり」がごっちゃになって、どっちだっけ?とわからなくなってしまうこともあります。

なかなか漢字の変換ができず、初めて「自分の読み方が間違っていたんだ!」と気付くこともよくあります。
「自転車」のことを「じでんしゃ」だとずっと思い込んでいました。
でも、いざ漢字変換しようとすると「自電車」「次電車」としか出てこないので、おかしいなと思い初めて間違いに気づいたのです。

他にも「シミュレーション」だとわかっていても、口にするときはと「シュミレーション」と言ってしまいます。
ああ、日本語ってなんて難しいんでしょう。
ネイティブスピーカーのはずなのに。

でも、少しだけ言い訳じみたことを言わせていただくと、言葉って変化していくものだと思うのです。
自分は正しく使っていても、相手が正しい意味を知らずに誤解してしまうこともあると思います。
ペットに餌を与えるときは「やる」だということは知識として知っていますが、知り合いが可愛がっているペットに「餌やってもいい?」とはなかなか言えず、「餌あげていい?」と言ってしまいます。
日本語の知識が乏しい私がいうのも何ですが、正しい意味を知った上で時代の変化にも柔軟に対応するのが一番いいのだと思います。

今は本書を読んだ直後ですから内容を覚えていても、またすぐに忘れてしまうかもしれません。
だから、何度も読んで覚えた方がよさそうです。
赤っ恥をかくのは私自身なのだから。

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【問題】次の文章が正しければ○、間違っていたら×をつけなさい。
①教室で生徒全員にプリントを配布した。
②いらない部分を割愛した。
③テレビを見ながら一人で爆笑した。





【解答】
すべて×です。
①配布は不特定多数に配ることなので、正解は配付。
②割愛は惜しいと思うものを手放すこと。
③爆笑は大勢が一度にどっと笑うことなので、一人でいくら笑っても爆笑にはならない。

官能教育 私たちは愛とセックスをいかに教えられてきたか

植島啓司著
幻冬舎新書

ヒトはなぜ浮気をするのか?同時に複数の愛を確かめられるのか?一夫一婦制は崩壊してしまうのか?男と女のこれからを考える。



本書「官能教育」は刺激的なタイトルだが、内容は過去の歴史や文学作品を紐解きながら、これからの男女の関係について考える真面目な考察本である。

・イヌイットには、相手を交換して長く暗い冬を楽しむ「明かりを消して」というゲームがある。
・ウリシ島に住むミクロネシアの漁民は、祭りの際、男女が連れ立って森に出かけ関係を持つ。その際、夫婦や恋人同士で一緒に行ってはならない。

など、地上に存在した多くの社会の中には、「愛人」「不倫」「複数交際」が上手く社会に組み込まれていたのだと、多数の例が挙げられている。
平凡な人生を歩んできた私は、男女の関係はここまで多様なのかと驚くばかりだ。

また、
・ビクトリア朝の時代に乱脈な性関係を楽しんでいたメイベル・ルーミス・トッドという女性。
・フローベルの「ボヴァリー夫人」など文学作品や映画に出てくる奔放な女性。
など、過去の肉食系女子たちについても多数解説されている。

・「一人の異性を選んだら他の相手を拒絶しなければいけない」という方が、むしろ不自然だったのではないか。
・いまや3組に1組が離婚する世の中なのだ。結婚そのものについて考え直さなければならない。
・一夫一妻や貞節という義務を課すと、不寛容・嫉妬・羨望・疑念といった弊害が生まれてくる。
と、著者は一貫して「ヒトは異性に目移りするものだ。」という前提のもと、未来の男女関係について考えていく。

本書を読んでいると、どうして不倫はいけないのか?という問いになかなか上手く答えられないことに気づかされた。
「家族はじめみんなが不幸になるから、ゴニョゴニョ・・・」となってしまう。

でもやっぱり私は、著者のそういった考えに違和感を持ってしまうのだ。
奔放な恋愛をしてきた有名な女たちの影に、一人の男を穏やかな愛で一生愛し続けた女がそれ以上の数いたのではないだろうか。
男や性に興味がない女性もたくさんいたのではないだろうか。
平凡すぎて表に出ていないだけで。
また、男たちの中にも、目移りすることなく一人の女を想い続ける者が多数いると思うのだ。

そう考えてしまうのは、私が既婚者であるという立場だからだろうか。
そういう考えを持つように教育されてきたからだろうか。
それともやっぱり男たちは日々目移りし、隙あらば複数の女性と関係を持とうとしているのだろうか。

えっ!
芸能人に憧れたり、イケメンと出会ってときめいてしまうことも目移りの一種?
そう言われると、返す言葉もありませんが。
ゴニョゴニョ・・・

2014年2月5日水曜日

いとみち

越谷オサム著
新潮社 

「おがえりなさいませ、ごスずん様」津軽弁のメイドさんが迎えてくれるメイド喫茶。こんなお店があったら行ってみたい!!



かわいいメイドさんに会いたくて、メイド喫茶に行ったことがある。
そこは、観光客や冷やかしの客など一人もいない、お一人様の男たちで満員な、だけどとても静かな異次元の空間だった。
時折ベルでメイドさんを呼んで、注文すると同時に一言話しかける。
それが終わると、じっと机を見つめる。(美少女フィギュアを見つめている人もいた!)
彼らはゆっくり飲食しながら次に何て話しかけようと考えていたのだろう、しばらくするとまたベルを鳴らして・・・・
そんな光景が静かに繰り返されていて、場違いな私はいたたまれなくなってしまった。

しかも、メイド服を見たかったのに、キャンペーン中でメイドさん達は巫女さんの扮装だった。
それ以外なんの趣向もなく、これじゃぁただのちょっとお高い喫茶店だ!とがっくり来てしまった。
メイドさんに「萌え萌えキュン」とLOVE注入してもらいたかっただけなのに。
やっぱり本場秋葉原の観光客向けメイド喫茶に行かないとダメなのかもしれない。

秋葉原からは遠く離れているけれど、ぜひ行ってみたいと思うのが本書「いとみち」に出てくるメイド喫茶「津軽メイド珈琲店」だ。

主人公の いと は、高校1年生。
津軽三味線の名手でもある祖母に、修正不可能な古典的な津軽弁を刷り込まれているため、濃厚な津軽弁を話す今どき珍しい女の子である。
いとちゃんは、人見知りで口下手で引っ込み思案。
そんな性格を変えたいと思い(ついでにメイド服にちょっぴり憧れて)、青森市にあるメイド喫茶でアルバイトを始めた。
ところが、メイドさんの決め台詞「お帰りなさいませ、ご主人様」がどうしても言えず、「お、おがえりなさいませ、ごスずん様」と訛ってしまうのだ。

何もないところで転び、オムライスにケチャップで絵を描く「萌えオム」は緊張してなかなか上手くできず、お客様との交流もまともにできない。
そんな いとちゃん だけど、おばあちゃん仕込みの津軽三味線はなかなかの腕前で、津軽人らしく「じょっぱり」(頑固で負けず嫌い)な面もある頑張り屋さんだ。

おばあちゃん、お父さん、やっとできた高校の友達、それぞれ事情を抱えているバイト仲間、そしてメイド喫茶にやってくる消極的な男性客たち。
たくさんの人たちに見守られながら いとちゃん は成長していく。

初々しい いとちゃん に、冒頭から萌え萌え状態になってしまった。
こんなに愛らしくて、笑えてじーんときて楽しめる小説。
このまま終わってしまうのはもったいないと思ったら、既に「二の糸」という第2作が出ているらしい。
またぜひ いとちゃんに会いに行かなくちゃ!!
「おがえりなさいませ、ごスずん様」の決め台詞練習しながら待ってってね♪
あっ、私は女だから「ごスずん様」とは言ってもらえないんだった(><)

※おばあちゃんの言葉を正確に理解できる者は10人に満たないそうで、おばあちゃんのセリフは「◇ω◆=?」といった記号で表され、巻末に五十音対応表までついていた。
後に続く返事などから意味は推察できるのだが、この楽しい心遣いにニヤリとしてしまった。

※もっと若かったらメイド喫茶で働きたいなぁと憧れてしまった。
それでふと思ったのだが、世のお父様方は娘が「健全なメイド喫茶」で働きたいと言ったらどう思うのだろうか? 

2014年2月2日日曜日

クロワッサン特別編集 なんだかんだの病気自慢

クロワッサン編集部
マガジンハウス

意外!!人の病気自慢を延々と聞かされて、こんなに勇気づけられるなんて!!





  
ノロウイルスやインフルエンザが猛威を振るう季節ですが、皆様お元気ですか?
私は今のところ元気に暮らしています。
でも長年生きてきたのですから、病気自慢ならたくさんあります。
内臓系の持病があるので、月に一回検査に通っています。
ジャンプに失敗して首を痛め、今でも調子が悪い時があります。
他にも花粉症ですし、目も悪いです。
最近は記憶力も衰えてきました。
あっ、それは歳のせいかもしれませんが。

そして、体の調子が悪くなると、いつも悪い方に悪い方に考えてどんどん心が沈んでいき、そんな自分の心の弱さが情けなくて嫌になり・・・とネガティブループにはまり込んでしまいます。

友人たちとも、「腰が痛い」「肺炎で入院した」と病気の話をすることが多くなってきました。
歳をとって弱ってきたのは私だけじゃないんだと、仲間意識が強くなるような気がします。ただ、病気の話が延々と続くと一緒に辛くなってしまうこともあるのです。

でもこの「なんだかんだの病気自慢」は、違うのです。
安藤優子さん、荻野アンナさん、柴田理恵さん、野口健さん、穂村弘さん、米良美一さん・・・など、様々な分野で活躍されている方が、ご自分の病気について語っているのですが、読んでいるとどんどん元気になっていく自分がいたのです。

うつ、糖尿病、アレルギー、潰瘍性大腸炎、めまい、肉離れ、交通事故、そしてがんと病気の種類や重症度は人それぞれ違いますが、みなさん明るく病気自慢をして笑い飛ばしているのです。
 
あせって救急車を呼ぼうと「109」にかけていた妻の話、ホテルのトイレで脱糞してしまった話・・・笑える話もたくさんあります。

ご本人は明るく語っていますが、激痛に苦しんだ方、深刻な病気の方、想像を絶する辛い経験をされた方もいらっしゃいます。

「暫くは自分を襲った悲劇を受け止められぬまま」
「病気に怯えたり、治療がどうしても嫌で抵抗したり」・・・
そんな辛かった気持ちを正直に告白している方もいらっしゃいます。

でも、「一病息災で気をつけるようになったからよかった」など、みなさん明るく前向きなのです。
面白おかしく病気自慢を語ってくれるのです。
たくさんの辛いことを乗り越えてきたからこそなのでしょう。

これだけたくさんの病気の話を聞かされて、勇気づけられるとは自分でも意外でした。
また、辛くなったらこの本のことを思い出して一歩前へ進んでいけたら。
そして、いつか元気にピンピンコロリと逝けたら。
思い悩むことの多い私の背中を押してくれたのでした。