2012年8月25日土曜日

崖っぷち「自己啓発修行」突撃記 - ビジネス書、ぜんぶ私が試します!

崖っぷち「自己啓発修行」突撃記 - ビジネス書、ぜんぶ私が試します!
多田文明著
中央公論新社


自己啓発書を読みながら、著者自身の自己啓発も同時進行する体験ルポ。果たして著者は、本を読んで変わり、仕事を獲得することができるのか?
 
 


「自らを成長・変革させる糧として自己啓発書・ビジネス書を体験取材するルポルタージュを執筆してみませんか?」
悪徳商法の潜入ルポ『ついていったらこうなった』が2003年にベストセラーになってから、仕事が減ってきた著者の元に、そんな依頼が舞い込んだ。

本書はそんな著者が、『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)からなぜか『成りあがり』(矢沢永吉)まで、古今東西50冊の自己啓発書・ビジネス書を読んで実践し、新しい仕事を獲得するというドキュメントである。

「崖っぷちに立つダメ中年から抜け出したいあなたに、これらの古典を読破して、身も心も新しく生まれ変わっていただきたい。」とひどい事を編集者に言われた著者は、50冊もの本を前にどこから手をつけていいのか戸惑う。
普段あまり本を読まないため、読み進めるのも苦労してしまうのだ。

多読のすすめやペンで印や書き込みを薦める「読書論」に関する本をペンで線を引きながら読んでいると、ある本に「線を引くなどと愚かな行為をする人はいないと信じたい」と書いてあり、赤線を引くのをためらう。

これだけの本を短期間に読むには速読が必要と「速読法」に関する本を読むが、本により様々な方法があり迷う。
書き手として読者には飛ばし読みをして欲しくないと思う著者は、「本は一字一句落とさず読むべきで、飛ばし読みはしてはならない」という本に出会い、自分にあった速読法を発見していく。

子供の頃から整理が苦手で母親から「ゴミ男」と呼ばれた著者は「空間と時間の整理法」に関する本を読み、ゴミ男からの脱却を目指す。

秋元康著『企画脳』などを読み、今まで自分から積極的に企画を考えて来なかった著者は、ヒット企画を生み出すため「発想法」を身につけようと努力する。

「会話術」に関する本を読み、成果が上がらなかった売り込み電話に再度挑戦し、プレゼン能力を向上させる。

こうして著者は様々な本を読みながら、いいと思った方法を試していく。
そして取捨選択しながら、自分のスタイルを構築していくのだ。

あの人にはベストの方法でも、自分にとってベストとは限らない。
ベストの方法であっても自分の頭で考え微調整を繰り返して、初めて実になるのだと教えてくれる。
著者は自分のダメっぷりや落ち込んだ様子もそのまま書いているので(実際は才能ある方だと思うが)、ビジネス書を書いている方々のようなスーパーマン・スーパーウーマンではないところに好感が持て、自分も努力すればできるのではと思わせてくれる。

そういう意味で、楽しく読める本なのだが本書自体がいいビジネス本になっている。

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