「本」はどのようにして作られるのだろうか?本にかける情熱を知り、本のありがたみ、読める幸せを噛みしめる。
稲泉連著
筑摩書房
誰かが、文章を書き、印刷し、製本する。
それが書店に並び、手に取り、読むことによって、私たちは読書を楽しむことができる。
当たり前のように毎日手にしている本だけれど、本をつくっている方々の仕事ぶり、彼らの熱い思いにどれだけ気づいていただろうか?
本書は、本づくりに携わる方々の仕事ぶりを追ったノンフィクションである。
大日本印刷のオリジナル書体で、明治時代に作られた活字「秀英体」。
職人たちが作り上げた滑らかで抑揚があり、力強い活字。
その温かみを現代に取り戻そうというプロジェクトに携わった伊藤さんは言う。
「こんなに幸せなことはない、という思いで働いていた。」
製本所の4代目である青木さんは、ドイツで製本技術を学んでいた頃を思い出して、言う。
「一つひとつの技術を身に付けていくことが本当に楽しかった。」
活版印刷の持つ歴史や世界そのものに魅了された活版印刷工房の方は、「とにかく活版で本をつくれる環境を残して、次の世代に渡したかったんです。」という。
他にも、校閲者、製紙会社、装幀家、翻訳書の版権仲介者、児童文学作家が登場し、仕事について熱く語っている。
本をつくるには、ここまで多くの人が関わっているのかと驚き、感動する。
1冊の本の背後には、プロフェッショナルなたくさんの人たちの工夫と熱意があるのだ。
読んでいる私は、彼らの思いを少しでも受け止めているだろうか?
もっと装丁や紙の質感、フォントを味わおう。
読みたいと思い買ったものの、後回しにして積んでいる本だって、多くの情熱が注がれているはずだ。
積んでばかりいないで、手に取ろう。
本好きたちが多くの本を購入し、読んで楽しむことが、「本」にとって一番幸せなことなのだと思う。
※本書を読んで、新潮社の創設者・佐藤義亮氏に興味をもった。
「佐藤義亮伝」は1953年出版で手に入らないが、「出版の魂:新潮社をつくった男・佐藤義亮」「出版巨人創業物語」を読もうと思う。積まずに。
※製紙会社の章で興味深い話をみつけた。
1900年前後に製本された作品は、硫酸バンドという使い勝手の良い素材が使用され、紙が酸性だった。
そのため、酸化により紙の繊維が切れやすかった。
20世紀半ばに、世界中の図書館に収められたその時期の本が一斉に劣化し、ボロボロと崩れていくことが社会問題化されていた。
酸性紙以前の本は無事だったのに。
その後、中性紙が開発され、解決されたのだという。
2017年4月20日木曜日
2014年2月26日水曜日
室井滋のオシゴト探検 - 玄人ですもの
室井滋著
中央公論新社
女優の室井滋さんが聞き出したプロフェッショナルな方々の秘密。
自分が平凡な人生を歩んでいるからでしょうか、私は人の仕事の話を聞くのが好きです。世の中には様々な職業がありますが、一人の人間が経験できる仕事は限られています。
だからこそ、他の人はどんな仕事をして、それの何が彼らを惹きつけるのか興味があるのです。
この「玄人ですもの」は、女優の室井滋さんが、玄人たち27人から仕事の秘話を聞き出した対談集です。
日比野克彦さん、穂村弘さん、立川志の輔さんなどのアーティスト。
「昔話」「太陽観測」「遺体学者」などを研究している熱血研究者たち。
「地図マニア」「大相撲」「日本の名字」など小さい頃から好きだったことを突き詰めてプロになった方々。
など、登場する方は、それぞれその道のプロ・まさしく玄人であり、私の知らない世界が広がっていました。
中でも職人さんたちのワザは凄すぎて、ほぉ~とため息が出るばかりです。
金庫開けのエキスパート・鍵師の杉山泰史さんは、依頼の9割は同業者が手に負えない金庫だというのですから、驚きです。
よくドラマで金庫を開けるのに聴診器を当てる場面を見かけますが、実際には聴診器は全く必要ないのだそうです。
あれは、杉山さんのお父様が金庫開け名人としてテレビ出演した際、ただ静かにダイヤルを回しているだけじゃ面白くないからとディレクターに提案されて始めた演出なんだそうです。
「探偵もののドラマでやったことがある!」と室井さんが驚いていたので、おかしくなりました。
他にも
マグロの尻尾に指を入れ、感触から良し悪しがわかるマグロ仲買人。
自分では弾けないが、見た瞬間に価値がわかる中古ヴァイオリンのバイヤー。
など、スゴ技の職人さんたちがたくさん登場します。
でも、皆さんの仕事の話を興味津々でお聞きになっている室井滋さんだって、芝居で泣く時は「右目から泣きますか?左目から泣きますか?」というぐらい、いとも容易く涙を流せるのだそうです。
さすがプロの女優さん!まさしく職人技です。
ただし、空腹時に限るそうですが。
そうそう、先ほどの鍵師の杉山さんの話に戻りますが、ある日ご婦人から亡くなった夫の金庫を開けて欲しいとの依頼を受けたそうです。
開けてみると、中にはSMグッズがびっしりと詰まっていたそうです。
金庫には、見られちゃまずいものを入れないほうがいいですよ。
中央公論新社
女優の室井滋さんが聞き出したプロフェッショナルな方々の秘密。
自分が平凡な人生を歩んでいるからでしょうか、私は人の仕事の話を聞くのが好きです。世の中には様々な職業がありますが、一人の人間が経験できる仕事は限られています。
だからこそ、他の人はどんな仕事をして、それの何が彼らを惹きつけるのか興味があるのです。
この「玄人ですもの」は、女優の室井滋さんが、玄人たち27人から仕事の秘話を聞き出した対談集です。
日比野克彦さん、穂村弘さん、立川志の輔さんなどのアーティスト。
「昔話」「太陽観測」「遺体学者」などを研究している熱血研究者たち。
「地図マニア」「大相撲」「日本の名字」など小さい頃から好きだったことを突き詰めてプロになった方々。
など、登場する方は、それぞれその道のプロ・まさしく玄人であり、私の知らない世界が広がっていました。
中でも職人さんたちのワザは凄すぎて、ほぉ~とため息が出るばかりです。
金庫開けのエキスパート・鍵師の杉山泰史さんは、依頼の9割は同業者が手に負えない金庫だというのですから、驚きです。
よくドラマで金庫を開けるのに聴診器を当てる場面を見かけますが、実際には聴診器は全く必要ないのだそうです。
あれは、杉山さんのお父様が金庫開け名人としてテレビ出演した際、ただ静かにダイヤルを回しているだけじゃ面白くないからとディレクターに提案されて始めた演出なんだそうです。
「探偵もののドラマでやったことがある!」と室井さんが驚いていたので、おかしくなりました。
他にも
マグロの尻尾に指を入れ、感触から良し悪しがわかるマグロ仲買人。
自分では弾けないが、見た瞬間に価値がわかる中古ヴァイオリンのバイヤー。
など、スゴ技の職人さんたちがたくさん登場します。
でも、皆さんの仕事の話を興味津々でお聞きになっている室井滋さんだって、芝居で泣く時は「右目から泣きますか?左目から泣きますか?」というぐらい、いとも容易く涙を流せるのだそうです。
さすがプロの女優さん!まさしく職人技です。
ただし、空腹時に限るそうですが。
そうそう、先ほどの鍵師の杉山さんの話に戻りますが、ある日ご婦人から亡くなった夫の金庫を開けて欲しいとの依頼を受けたそうです。
開けてみると、中にはSMグッズがびっしりと詰まっていたそうです。
金庫には、見られちゃまずいものを入れないほうがいいですよ。
2014年1月8日水曜日
西荻窪の古本屋さん 音羽館の日々と仕事
広瀬洋一著
本の雑誌社
「古本屋」というと、昔は暗くホコリっぽい店内の奥に気難しそうなおじさんが座っている・・・そんなイメージでしたが、ブックオフ以降そういった店舗は少なくなっているようです。
でもそんなブックオフだって、遠い昔に行ったことがある1号店2号店は、狭くて暗いホコリっぽいお店だったのです。
ブックオフが今のようになる前、三浦しをんさんが働いていたことでも有名な 高原書店 がPOPビルに移転したときは、広くて明るい店内に驚き、よく通っていたものでした。
そんな高原書店で働き、その後独立したのが、この本の著者・広瀬洋一さんです。
本書で「ブックオフのやり方は高原書店がモデルになったのかな?」とおっしゃっていますが、私もそうだと思っています。
広瀬さんは、大学時代高原書店にアルバイトとして入り、その後正社員になって10年間勤務します。
そこで古本を商うことの面白さ、接客の楽しさに目覚め、一緒に働いていた奥様と共に、2000年に西荻窪で古本屋「音羽館」をオープンしました。
新刊書店でも個人経営のお店はなかなか厳しい時代なのに、古本屋さんで人を雇いながら14年も続いているのはすごいことではないでしょうか。
しかも、古本屋を始める多くの若者が、この「音羽館」をモデルにしているというのですから。
万引きや嫌な客の対応に疲れ、ネット通販専門の古本屋さんになる方も増えているそうですが、この広瀬さんは「お客さんと対面することが販売の醍醐味」だと言い切って、店売りにこだわりながら頑張っているのです。
本書は、広瀬さんが高校時代に出会った恩師との思い出、高原書店時代の仕事ぶり、独立してからの苦労、古本屋さんの業界事情などが綴られています。
なので、本好きの方が楽しめるのはもちろんのこと、古本屋開業を目指す方にも参考になるのではないでしょうか。
また、三浦しをんさんから「由佳子ねえさん」と呼ばれている奥様は、女子美の絵画科のご出身だそうで、音羽館のキャラクター「おとわちゃん」や本書の可愛らしい挿絵を担当されています。
御夫婦二人三脚で楽しそうに働いている様子がこちらにまで伝わって来て、なんだか温かい気持ちにもなりました。
「音羽館を語る」というコラムでは、「女子の古本屋」 などを執筆されている古本ライター・岡崎武志さん、歌人の穂村弘さんらが音羽館の魅力について語ってらっしゃいます。
読んでいるうちに、行ったことがない私でもすっかりファンになってしまいました。
すぐにでも行ってみたいけど、我が家から西荻窪は、とてもとても遠いのです。
現在近所に古本屋さんはないのですが、近くにこんな古本屋さんができたら通い詰めちゃうだろうなぁと夢をみるしかなさそうです。
本の雑誌社
「古本屋」というと、昔は暗くホコリっぽい店内の奥に気難しそうなおじさんが座っている・・・そんなイメージでしたが、ブックオフ以降そういった店舗は少なくなっているようです。
でもそんなブックオフだって、遠い昔に行ったことがある1号店2号店は、狭くて暗いホコリっぽいお店だったのです。
ブックオフが今のようになる前、三浦しをんさんが働いていたことでも有名な 高原書店 がPOPビルに移転したときは、広くて明るい店内に驚き、よく通っていたものでした。
そんな高原書店で働き、その後独立したのが、この本の著者・広瀬洋一さんです。
本書で「ブックオフのやり方は高原書店がモデルになったのかな?」とおっしゃっていますが、私もそうだと思っています。
広瀬さんは、大学時代高原書店にアルバイトとして入り、その後正社員になって10年間勤務します。
そこで古本を商うことの面白さ、接客の楽しさに目覚め、一緒に働いていた奥様と共に、2000年に西荻窪で古本屋「音羽館」をオープンしました。
新刊書店でも個人経営のお店はなかなか厳しい時代なのに、古本屋さんで人を雇いながら14年も続いているのはすごいことではないでしょうか。
しかも、古本屋を始める多くの若者が、この「音羽館」をモデルにしているというのですから。
万引きや嫌な客の対応に疲れ、ネット通販専門の古本屋さんになる方も増えているそうですが、この広瀬さんは「お客さんと対面することが販売の醍醐味」だと言い切って、店売りにこだわりながら頑張っているのです。
本書は、広瀬さんが高校時代に出会った恩師との思い出、高原書店時代の仕事ぶり、独立してからの苦労、古本屋さんの業界事情などが綴られています。
なので、本好きの方が楽しめるのはもちろんのこと、古本屋開業を目指す方にも参考になるのではないでしょうか。
また、三浦しをんさんから「由佳子ねえさん」と呼ばれている奥様は、女子美の絵画科のご出身だそうで、音羽館のキャラクター「おとわちゃん」や本書の可愛らしい挿絵を担当されています。
御夫婦二人三脚で楽しそうに働いている様子がこちらにまで伝わって来て、なんだか温かい気持ちにもなりました。
「音羽館を語る」というコラムでは、「女子の古本屋」 などを執筆されている古本ライター・岡崎武志さん、歌人の穂村弘さんらが音羽館の魅力について語ってらっしゃいます。
読んでいるうちに、行ったことがない私でもすっかりファンになってしまいました。
すぐにでも行ってみたいけど、我が家から西荻窪は、とてもとても遠いのです。
現在近所に古本屋さんはないのですが、近くにこんな古本屋さんができたら通い詰めちゃうだろうなぁと夢をみるしかなさそうです。
2013年8月13日火曜日
長く働いてきた人の言葉
北尾トロ著
飛鳥新社
普通の人の普通の仕事。普通ってなんだろう?
「職業は、普通のサラリーマンです」
よく聞くセリフだが、普通のサラリーマンってどんな職業だろうか。
たとえ同じ会社の隣同士に座っている同僚であっても、仕事内容は全く同じではないだろうし、仕事に対する姿勢・仕事に対して抱いている思いもそれぞれ違う。
そう考えると自分では「普通」と思っていても、人から見たらへぇ〜と思うようなこともたくさんあるのではないか。
この「長く働いてきた人の言葉」は、北尾トロさんが10人の長く働いてきた人にインタビューし、まとめたものである。
特殊な仕事に就いているわけでもなく、有名人でもない。
大成功し大金持ちになった方でもない。
「本当にこんな話でいいのかなぁ、こんな普通のことばかりで」と言いながら、自分の言葉で仕事や人生について語る人々ばかりである。
そんな「普通」の話がとても面白いのである。
弁護士ひとすじ33年のマチ弁の方は、依頼人はお金が欲しいのか、それとも相手に謝らせたいのか、本当は何を求めているのかよく掘り下げて考えるのが重要だという。
脱サラして喫茶店のマスターとなった男性は、「成功してやるぞというほどの意気込みでもなくて、しばらくやってみようかなぁ」という軽い気持ちでお店を始めたのだという。
31年間船員しかやったことがないという男性は、海の上では本や雑誌は本当に貴重で、ある時沖ですれ違ったマグロ船に読み終わった少年ジャンプをビニール袋に入れてポーンと投げて渡したら、後日マグロを一本お礼にもらったという逸話を披露する。
偶然遊びに行った映画撮影所で頼まれてお手伝いしてから、半世紀も続けている女性映像編集者。
印刷会社で社長経験がありながら降格し平社員となり、70歳になる今でも現役営業マンとして働く男性。
タクシー運転手、コンビニオーナー、床屋さん・・・
彼らはその職業に就きたくて就きたくて、努力して就いたというわけではない。
肩肘張らず、ゆるゆるとのんびり語る彼らの話に、「がむしゃら」「ど根性」という言葉は似合わない。
しかし、それなりに苦労と努力を積み重ねなければその仕事を長く続けていくことはできないだろう。
劇的な人生や過酷な体験ではないけれど、彼らなりに真剣に仕事と向き合ってきたことが伺えるのである。
登場する方々は皆さん素敵な方で、幸せそうな充実した生活をしているように見受けられる。
彼らのその魅力を引き出せたのは、北尾トロさんの「聞く力」「喋らせる力」によるものだと思う。
楽しいと感じるか、不快に思うかは、自分の気持ち一つで変わるものだから。
普通や平凡なんてない。
一人一人違っているのだから。
えっ!私?
私はいたって普通で平凡な毎日を送っています。
飛鳥新社
普通の人の普通の仕事。普通ってなんだろう?
「職業は、普通のサラリーマンです」
よく聞くセリフだが、普通のサラリーマンってどんな職業だろうか。
たとえ同じ会社の隣同士に座っている同僚であっても、仕事内容は全く同じではないだろうし、仕事に対する姿勢・仕事に対して抱いている思いもそれぞれ違う。
そう考えると自分では「普通」と思っていても、人から見たらへぇ〜と思うようなこともたくさんあるのではないか。
この「長く働いてきた人の言葉」は、北尾トロさんが10人の長く働いてきた人にインタビューし、まとめたものである。
特殊な仕事に就いているわけでもなく、有名人でもない。
大成功し大金持ちになった方でもない。
「本当にこんな話でいいのかなぁ、こんな普通のことばかりで」と言いながら、自分の言葉で仕事や人生について語る人々ばかりである。
そんな「普通」の話がとても面白いのである。
弁護士ひとすじ33年のマチ弁の方は、依頼人はお金が欲しいのか、それとも相手に謝らせたいのか、本当は何を求めているのかよく掘り下げて考えるのが重要だという。
脱サラして喫茶店のマスターとなった男性は、「成功してやるぞというほどの意気込みでもなくて、しばらくやってみようかなぁ」という軽い気持ちでお店を始めたのだという。
31年間船員しかやったことがないという男性は、海の上では本や雑誌は本当に貴重で、ある時沖ですれ違ったマグロ船に読み終わった少年ジャンプをビニール袋に入れてポーンと投げて渡したら、後日マグロを一本お礼にもらったという逸話を披露する。
偶然遊びに行った映画撮影所で頼まれてお手伝いしてから、半世紀も続けている女性映像編集者。
印刷会社で社長経験がありながら降格し平社員となり、70歳になる今でも現役営業マンとして働く男性。
タクシー運転手、コンビニオーナー、床屋さん・・・
彼らはその職業に就きたくて就きたくて、努力して就いたというわけではない。
肩肘張らず、ゆるゆるとのんびり語る彼らの話に、「がむしゃら」「ど根性」という言葉は似合わない。
しかし、それなりに苦労と努力を積み重ねなければその仕事を長く続けていくことはできないだろう。
劇的な人生や過酷な体験ではないけれど、彼らなりに真剣に仕事と向き合ってきたことが伺えるのである。
登場する方々は皆さん素敵な方で、幸せそうな充実した生活をしているように見受けられる。
彼らのその魅力を引き出せたのは、北尾トロさんの「聞く力」「喋らせる力」によるものだと思う。
どんな仕事を選ぶかということよりめぐりあった仕事とどのように向き合うかなんだろうと思います。ああ、その通りだ。
楽しいと感じるか、不快に思うかは、自分の気持ち一つで変わるものだから。
普通や平凡なんてない。
一人一人違っているのだから。
えっ!私?
私はいたって普通で平凡な毎日を送っています。
2012年11月15日木曜日
自由でいるための仕事術
自由でいるための仕事術
森永博志著
本の雑誌社
好きなことを仕事にし、自由に生きる・・・そんな素敵な男性たちが登場する一冊。
本書は、楽器製作者・ステンドグラス製作者・バーガーマン(ハンバーガー料理人)など、12人の男性の働き方・生き方について著者がインタビューした一冊である。
三浦しをんさんの「ふむふむ―おしえて、お仕事!」は、好きな事を仕事にしている16人の女性たちが掲載されていたが、こちらは男性たちがときに熱く仕事について語っている。
祖父の代からの立川印刷所を引き継ぎ、地元・立川の写真集に衝撃を受けたことから、地元に根付いた写真集やフリーペーパーを発行している印刷所経営者。
人と付き合わず、一日中作業場で一人ミシンを踏みながらひたすらパッチワークに没頭しているパッチワーク職人。
宮大工の棟梁として寺社などの建築を請負いながら、スケートボードの製作販売もしている方は、木に触れるのが何より好きだという。
100年前のアメリカに魅せられて、当時の広告の絵や文字の雰囲気で看板を制作しているNUTSさんは、趣味でもやっぱり100年前のNYの店の看板を制作している。
など、どなたも紆余曲折しながら好きな事を見つけ、努力を重ねてきた。
回り道をしながらも今の仕事に就いた彼らは、その回り道も「無駄ではなかった」「今につながる」のだという。
「いいものを作りたい」
「人に喜んでもらいたい」
「本当の仕事は学校じゃ習えないものだ」
そうつぶやく彼ら。
自由に生き、自分の仕事に本気で夢中になっているやんちゃな少年のような彼ら。
そんな彼らはとても魅力的でカッコいい。(写真は掲載されていないが)
しかし、好きな事を仕事にできたらいいなとは憧れるが、現実的には生活していくだけのお金を稼ぐのは難しい。
私の好きなことといったら、ダンス・読書・食べること。
ダンスはレッスンについていくのが精一杯。
読書は読みたいものを気ままに読んでいる。
食べることは好きだが、繊細な味の違いなんてわからない。
残念ながら、そのどれもが仕事には結びつきそうにないなぁ。
森永博志著
本の雑誌社
好きなことを仕事にし、自由に生きる・・・そんな素敵な男性たちが登場する一冊。
本書は、楽器製作者・ステンドグラス製作者・バーガーマン(ハンバーガー料理人)など、12人の男性の働き方・生き方について著者がインタビューした一冊である。
三浦しをんさんの「ふむふむ―おしえて、お仕事!」は、好きな事を仕事にしている16人の女性たちが掲載されていたが、こちらは男性たちがときに熱く仕事について語っている。
祖父の代からの立川印刷所を引き継ぎ、地元・立川の写真集に衝撃を受けたことから、地元に根付いた写真集やフリーペーパーを発行している印刷所経営者。
人と付き合わず、一日中作業場で一人ミシンを踏みながらひたすらパッチワークに没頭しているパッチワーク職人。
宮大工の棟梁として寺社などの建築を請負いながら、スケートボードの製作販売もしている方は、木に触れるのが何より好きだという。
100年前のアメリカに魅せられて、当時の広告の絵や文字の雰囲気で看板を制作しているNUTSさんは、趣味でもやっぱり100年前のNYの店の看板を制作している。
など、どなたも紆余曲折しながら好きな事を見つけ、努力を重ねてきた。
回り道をしながらも今の仕事に就いた彼らは、その回り道も「無駄ではなかった」「今につながる」のだという。
「いいものを作りたい」
「人に喜んでもらいたい」
「本当の仕事は学校じゃ習えないものだ」
そうつぶやく彼ら。
自由に生き、自分の仕事に本気で夢中になっているやんちゃな少年のような彼ら。
そんな彼らはとても魅力的でカッコいい。(写真は掲載されていないが)
しかし、好きな事を仕事にできたらいいなとは憧れるが、現実的には生活していくだけのお金を稼ぐのは難しい。
私の好きなことといったら、ダンス・読書・食べること。
ダンスはレッスンについていくのが精一杯。
読書は読みたいものを気ままに読んでいる。
食べることは好きだが、繊細な味の違いなんてわからない。
残念ながら、そのどれもが仕事には結びつきそうにないなぁ。
2012年7月9日月曜日
プロフェッショナルな修理
プロフェッショナルな修理
足立紀尚著
中公文庫
修理して大切に使い続ける、それこそが究極の贅沢なのだ!!
「物を大切に」「リサイクル」
わかってはいても、今は買った方が安い場合が多い。
私もお気に入りのものを修理しながら大切に使って・・・と憧れるのだが、そもそもそんな高級品を所有していない。
この本は様々な「物の修理」にスポットを当てて取材したドキュメントである。
どのようなプロセスを経て再生されるのか、これに係わる職人の仕事ぶりを子細に見ていくことで浮き彫りにしていく。
一本500万~1000万円もするという京仏壇。
それを「お洗濯」する。
丁寧に分解し、一つ一つ点検する。
メッキをし直し、欠けたパーツを補充し、損傷している箇所を補う。
そんな気が遠くなるような作業を繰り返す「お洗濯」が、定価の半分程のコストが掛かるのは仕方のない事だろう。
一つのものをずっと何代にもわたって使い続けようとする伝統、素晴らしいではないか。
伝統工芸品だけではなく、ピアノ、鞄、自動車部品、スクーターのべスパ、絵画・・・様々なものが修理され、再生されていく。
たかだか物の修理だと、侮ってはいけない。
新品を買うより高くついても、修理して長く使う事を選択した持ち主の気持ちを汲んでニーズに合わせる。
新品同様、美しく仕上げるだけでなく、修理した箇所だけが浮いてしまわないように使い古した風合いを作る場合もある。
プロの仕事というのはこれほど奥が深く、厳しい水準が求められるのである。
いっそのこと新品に買いかえれば良いのではないか。
いやいや、修理しながら使い続けるうちに自分にとってはなくてはならない逸品になっていくのだ。
これこそが、最も贅沢な道具の使い方である。
真剣な表情で仕事に邁進する職人さん達の横顔は本当に美しい。
腕と知識と経験が重要な職人の世界、その熱意こそが日本の宝だと思う。
ほぉ、と感嘆したり、えっと驚き読み返したりしながら読んだ。
何か一つ、子孫に伝えられるような究極の逸品を所有したくなる、そんな本であった。
先立つものを貯めるのが先決なのだが。
足立紀尚著
中公文庫
修理して大切に使い続ける、それこそが究極の贅沢なのだ!!
「物を大切に」「リサイクル」
わかってはいても、今は買った方が安い場合が多い。
私もお気に入りのものを修理しながら大切に使って・・・と憧れるのだが、そもそもそんな高級品を所有していない。
この本は様々な「物の修理」にスポットを当てて取材したドキュメントである。
どのようなプロセスを経て再生されるのか、これに係わる職人の仕事ぶりを子細に見ていくことで浮き彫りにしていく。
一本500万~1000万円もするという京仏壇。
それを「お洗濯」する。
丁寧に分解し、一つ一つ点検する。
メッキをし直し、欠けたパーツを補充し、損傷している箇所を補う。
そんな気が遠くなるような作業を繰り返す「お洗濯」が、定価の半分程のコストが掛かるのは仕方のない事だろう。
一つのものをずっと何代にもわたって使い続けようとする伝統、素晴らしいではないか。
伝統工芸品だけではなく、ピアノ、鞄、自動車部品、スクーターのべスパ、絵画・・・様々なものが修理され、再生されていく。
たかだか物の修理だと、侮ってはいけない。
新品を買うより高くついても、修理して長く使う事を選択した持ち主の気持ちを汲んでニーズに合わせる。
新品同様、美しく仕上げるだけでなく、修理した箇所だけが浮いてしまわないように使い古した風合いを作る場合もある。
プロの仕事というのはこれほど奥が深く、厳しい水準が求められるのである。
いっそのこと新品に買いかえれば良いのではないか。
いやいや、修理しながら使い続けるうちに自分にとってはなくてはならない逸品になっていくのだ。
これこそが、最も贅沢な道具の使い方である。
真剣な表情で仕事に邁進する職人さん達の横顔は本当に美しい。
腕と知識と経験が重要な職人の世界、その熱意こそが日本の宝だと思う。
ほぉ、と感嘆したり、えっと驚き読み返したりしながら読んだ。
何か一つ、子孫に伝えられるような究極の逸品を所有したくなる、そんな本であった。
先立つものを貯めるのが先決なのだが。
2011年11月29日火曜日
鷹匠の技とこころ
鷹匠の技とこころ 鷹狩文化と諏訪流放鷹術
大塚紀子著
白水社
大学の卒業論文で鷹匠を取り上げたことがきっかけでその道に進んだ著者が、数百年間門外不出とされてきたその伝統の技とこころを後世に残すべく書いた本。
1971年生まれの著者は、早稲田大学人間科学部の卒業論文「鷹狩と日本文化」を書いたことをきっかけに、鷹の魅力に魅せられてその道に進むことを決意した。徳川将軍家・天皇家に仕えてきた諏訪流の女性鷹匠となった著者がその伝統を詳細に語った。
まず、鷹狩の鷹とは、猛禽類のワシ・タカ・ハヤブサの中で、生きた獲物を捕食する習性のあるものをいう。
一度だけ見たことがあるが、翼を広げて飛ぶ鷹(ワシだかタカだかハヤブサだか定かでないが)のあまりの大きさと威厳のある飛び方に慄いたことがある。
その獰猛というイメージの鷹を女性が操るのだから、興味を持ってこの本を手にとった。
・放鷹の歴史・発展
およそ6000年前から鷹を調教してきたという説もあるらしく、鷹狩は現在でも70カ国以上で積極的に行われているという。
日本でも「日本書紀」に仁徳天皇の鷹狩の話が載っているらしい。
・鷹の飼育・道具など
ふんだんな写真と図を用い、微に入り細に入り鷹の習性から、餌や小屋などの飼育方法、
伝統的な道具などを説明している。
覚悟があればすぐにでも鷹を飼えそうなほどである。
・狩りの現場・調教の仕方
具体的な調教の仕方と実践を事細かに説明している。
昔から口頭で受け継がれてきた秘伝の技を、惜しげもなく披露してくれている。
・これからの鷹狩
アラブでの鷹狩の研修の様子や文化の継承にかける著者の思いなどが綴られている。
獰猛だと思っていた鷹は知能が高く、繊細で気位の高い生きものであることにまず驚きを感じた。
そして、「神の化身であったとされる鷹を敬うこころ」「鷹に仕えさせていただく」という鷹匠の鷹への尊敬の念に感動させられた。それがあるからこそ、鷹とこころを通わせ初めて「人鷹一体」の素晴らしい感覚を得られるのだろう。
全体的に専門家から、これから鷹を飼いたい人、また、私のような素人まで興味深く読める貴重な本であった。
「まだまだ鷹匠としては未熟ながら、日本だけでなく世界の鷹狩文化の保存と伝承のため、何ができるのか、どのような貢献ができるのかを考え続けている。」という著者の思いは揺るぎなく、心をうつ。
鷹匠という職業を選択した著者の生き方にも興味を覚え、その半生を本にして欲しいと願う。
大塚紀子著
白水社
大学の卒業論文で鷹匠を取り上げたことがきっかけでその道に進んだ著者が、数百年間門外不出とされてきたその伝統の技とこころを後世に残すべく書いた本。
1971年生まれの著者は、早稲田大学人間科学部の卒業論文「鷹狩と日本文化」を書いたことをきっかけに、鷹の魅力に魅せられてその道に進むことを決意した。徳川将軍家・天皇家に仕えてきた諏訪流の女性鷹匠となった著者がその伝統を詳細に語った。
まず、鷹狩の鷹とは、猛禽類のワシ・タカ・ハヤブサの中で、生きた獲物を捕食する習性のあるものをいう。
一度だけ見たことがあるが、翼を広げて飛ぶ鷹(ワシだかタカだかハヤブサだか定かでないが)のあまりの大きさと威厳のある飛び方に慄いたことがある。
その獰猛というイメージの鷹を女性が操るのだから、興味を持ってこの本を手にとった。
・放鷹の歴史・発展
およそ6000年前から鷹を調教してきたという説もあるらしく、鷹狩は現在でも70カ国以上で積極的に行われているという。
日本でも「日本書紀」に仁徳天皇の鷹狩の話が載っているらしい。
・鷹の飼育・道具など
ふんだんな写真と図を用い、微に入り細に入り鷹の習性から、餌や小屋などの飼育方法、
伝統的な道具などを説明している。
覚悟があればすぐにでも鷹を飼えそうなほどである。
・狩りの現場・調教の仕方
具体的な調教の仕方と実践を事細かに説明している。
昔から口頭で受け継がれてきた秘伝の技を、惜しげもなく披露してくれている。
・これからの鷹狩
アラブでの鷹狩の研修の様子や文化の継承にかける著者の思いなどが綴られている。
獰猛だと思っていた鷹は知能が高く、繊細で気位の高い生きものであることにまず驚きを感じた。
そして、「神の化身であったとされる鷹を敬うこころ」「鷹に仕えさせていただく」という鷹匠の鷹への尊敬の念に感動させられた。それがあるからこそ、鷹とこころを通わせ初めて「人鷹一体」の素晴らしい感覚を得られるのだろう。
全体的に専門家から、これから鷹を飼いたい人、また、私のような素人まで興味深く読める貴重な本であった。
「まだまだ鷹匠としては未熟ながら、日本だけでなく世界の鷹狩文化の保存と伝承のため、何ができるのか、どのような貢献ができるのかを考え続けている。」という著者の思いは揺るぎなく、心をうつ。
鷹匠という職業を選択した著者の生き方にも興味を覚え、その半生を本にして欲しいと願う。
2011年10月23日日曜日
日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人
三輪 康子著
ダイヤモンド社
不夜城・歌舞伎町。そこにあるビジネスホテルの支配人になった女性の奮闘記。ヤクザに屈することなくお客様や従業員たちを守る姿勢はドラマよりドラマチック。
新宿・歌舞伎町。
私の個人的なイメージは、風俗とアウトローたちの魑魅魍魎の町、そう思っていた。
でも、最近は警察官がたくさんいて、それなりに秩序のある町だという。
そこに、東横インというビジネスホテルがある。
かつて、建築基準法に違反する改造工事をしたホテルである。
そのビジネスホテルの支配人になった著者。
客室係やフロント業務からステップアップして支配人になったわけではない。
銀座の画廊や、アパレル関係の仕事をしていて、いきなり歌舞伎町の問題ホテルの支配人に抜擢。
って、著者も凄いけど、配属決めた会社人事も凄い。
そこで著者が見たものは・・・
長期滞在のヤクザ達。
ロビーでカツアゲする、薬物の横行etc.
抜き身の日本刀を出され脅されても一歩前に出て
「お客様に、私は殺せません!」
カツアゲの最中、ド真ん中まで入って行って梃子でも動かない。
「死にてぇのかよぉ、コラァァァァ!」
「いいえ、死にたくはございませんっ!」
著者は女性である。
ドラマでは、あるかもしれない。
いつの間にかヤクザを諭して、仲良くなって、
最後はお涙ちょうだいの大団円。
しかし、これは現実である。
私だったら、まず無理。
日本刀を見る以前に、その筋の方には近づきたくない。
なぜここまでできるのだろう。
彼女も支配人とはいえ、雇われている身である。
著者は、人生をかけて人助けをする医者の父を見て育ったからというが、
それだけではないだろう。
スタッフたちが、上司である支配人を慕う気持ちが伝わってきて、感動ものだった。
それだけ、慕われる上司ってなかなかいないだろう。
体を張って自分たちを守ってくれているのを間近で見てそう思っているのだそう。
接客業の参考にというスタンスの本だが、生半可な気持ちでは真似できないのでは?
根性ある女性の生き方を見せてもらって、やるなぁと唸ってしまった。
・・・でも、私にはやっぱり無理。
2011年9月16日金曜日
仕事の話 日本のスペシャリスト32人が語る「やり直し、繰り返し」
木村 俊介著
自動車開発者・陶芸家・心臓外科医・グラフィックデザイナー・脚本家・・・
多種多様な職業の、スペシャリスト32人。
世間的には、有名な人・無名な人様々だが、その世界では有名な方たちばかり。
一人称の口語体で、読みやすい。
小さい頃から憧れてた仕事に就いた人もいるが、そんな人ばかりではない。
世間と同じように、スペシャリストたちの中にも、嫌だけれどなってしまったという人も
いた。
親の職業(会社)を継いだ人もいた。
スペシャリストたちの共通点を挙げるとしたら・・・
若い時の体験---遊びであれ、苦労であれ、失敗・成功であれ、重要なんだなということ。
みなさん、寝る暇を惜しんでとか、才能だけではない努力がうかがえる。
あと、自分の頭でよく考えて、自分なりの工夫をするということ。
当たり前のようでいて、なかなかできることじゃないと思う。
また、研究者やデザイナーが、人に伝えるというプレゼンテーション能力が重要ということを
言っていたのが、印象的だった。
一人一人一冊の本にできるくらいの人生をギュッと凝縮した、お得な本なのでは?
まとめあげた著者(インタビュアー)もすごいと思った。
今度は一人一人の半生記をじっくり読んでみたい。
多種多様な職業の、スペシャリスト32人。
世間的には、有名な人・無名な人様々だが、その世界では有名な方たちばかり。
一人称の口語体で、読みやすい。
小さい頃から憧れてた仕事に就いた人もいるが、そんな人ばかりではない。
世間と同じように、スペシャリストたちの中にも、嫌だけれどなってしまったという人も
いた。
親の職業(会社)を継いだ人もいた。
スペシャリストたちの共通点を挙げるとしたら・・・
若い時の体験---遊びであれ、苦労であれ、失敗・成功であれ、重要なんだなということ。
みなさん、寝る暇を惜しんでとか、才能だけではない努力がうかがえる。
あと、自分の頭でよく考えて、自分なりの工夫をするということ。
当たり前のようでいて、なかなかできることじゃないと思う。
また、研究者やデザイナーが、人に伝えるというプレゼンテーション能力が重要ということを
言っていたのが、印象的だった。
一人一人一冊の本にできるくらいの人生をギュッと凝縮した、お得な本なのでは?
まとめあげた著者(インタビュアー)もすごいと思った。
今度は一人一人の半生記をじっくり読んでみたい。
2011年8月21日日曜日
大泥棒 「忍びの弥三郎日記」に賊たちの技と人生を読む
清水 賢二著
東洋経済新報社
警視庁科研室長出身の著者が、実在の賊(単なる盗人とは違うらしい)である「忍びの弥三郎」が書いた獄中日記を解説。
同じく賊である「猿の義ちゃん(まししらのぎちゃん)」の裏から見た解説を加えた貴重な本。
著者は、「興味本位に読んでほしくない」というが、こんな面白そうな本興味持たずにいられるかと、興味しんしんで読み始めた私。
義ちゃんの忍び込み実験(写真入り)の人間離れした技に感嘆し、驚愕した。
泥棒に関してど素人の私は単に、玄関は避けて、リビングの掃き出し窓や、鍵をかけ忘れたお風呂やトイレの窓から入って行くんだろうなと漠然と考えていたら、甘い甘い。
隣家の屋根から飛び移る・・・などなど、オリンピック選手かと思うほどの身体能力。
そして、高度な知恵。
こんなプロの賊に狙われたら、素人さんの家なんかひとたまりもない。
へぇー、すごいなぁ、なるほど、と気楽に読んでいたけれど、だんだん、怖くなり、最後には戦慄。
今までも戸締りはちゃんとしていたつもりだけど、今まで以上に注意深くなりそう。
「研究書」と銘打っているだけあって、最初は定義等にページを費やしていて、退屈な人もいるかも。
また、獄中日記は、文体が読みにくい。
だけど、内容的には読みごたえがあり、面白い。
ぜひ「猿の義ちゃん」の自伝を出版してほしい。
ただ、犯罪防止のため、肝心なところ(おカネの隠し場所など)が伏せ字になっているのは、仕方ないが、惜しい。
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