2012年7月2日月曜日

和菓子のアン

和菓子のアン
坂木司著
光文社

 和菓子屋さんで働くことになった女の子の成長物語。読んだら必ず和菓子が食べたくなって困る一冊。



高校を卒業して、デパ地下の和菓子屋でアルバイトを始めたアンちゃんこと杏子。
個性豊かな同僚と様々なお客様に出会いながら成長していく物語。

東京下町の商店街に住んでいるアンちゃんは、明るく愛嬌があり皆に好かれている。
そして、本人曰く「太っている」。
これだけで、とても好感が持てるではないか。
美人だけど自分ではその美しさに気付いていないとか、童顔で小柄で巨乳でとか、ちょっとそれは願望入りすぎでしょのヒロインばかりでは、私は白けて(ひがんで)しまうのだ。

イケメンの同僚が出てきて、どうせアンちゃんとくっつくのだろうと思ったら「オトメン」 だったりと、軽く楽しく読める本だった。

「腹切り」(皮が破れて中身が出ている豆)等の和菓子の業界用語、
ダジャレや言葉遊び・歴史的背景のあるお菓子の名前、
「兄」(昨日作ったもの)等の食品業界用語や、デパートの内部など、
楽しいトリビアがたくさん出てくるのも楽しい。
日本の風物詩と結びついている和菓子の奥深さを再認識した。

個人的には、「砂糖と油の奇蹟の出会いが魅惑の味になる」と思っているので、洋菓子の方が好きなのだが、大福や草餅などの和菓子も守備範囲である。
ただ、上生菓子の美しさには惹かれても、自分では買ったことがなかった。
この本を読んだら、デパ地下でちょっとお高めの上生菓子を買ってみたくなる。
でも、その前に近所のお店で大福を買ってこなくちゃ。

最後にあとがきを読んでびっくりした。これは「ミステリ」だというのだ。
言われてみたら、困ったお客さんが出てきたり、ちょっとした問題を解決したりしてたなぁ。
でも、ぽちゃぽちゃ小太り称賛、&和菓子業界活性化の話だと思って最後まで読んでいた。
こんな読者で申し訳ないっ。 

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