2011年11月22日火曜日

ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験

ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験
大鐘良一 小原健右著
光文社新書

究極の「人間力」を試される宇宙飛行士。具体的にはどのような試験で選ばれるのだろうか。そんな興味を満たしてくれる一冊。




NHKスペシャル「宇宙飛行士はこうして生まれた ~ 密着・最終選抜試験」(2009年3月放送)を制作したNHKスタッフ2人が、取材した様子を書いた本。
応募者963人 → 書類審査・英語試験で230人 → 一般教養・専門試験・医学心理検査で48人
→ 医学検査・面接試験で10人。
その絞られた10名の最終試験にスポットを当て、課題をこなす10名・それを見守る審査員たちを
第三者の目から客観的に描いていく。

試験と名のつく物は数多くあれど、これほど「人間力」を試される試験は他にないのではないか。
もし宇宙に出て宇宙人と出会ったら、その宇宙飛行士が地球の人類代表となるのだから
厳しい選抜試験があって当たり前であろう。
でも、具体的にはどんな試験をくぐりぬけてきたのだろうか。
興味がわいてこの本を手にとった。

宇宙に対する憧れだけではやっていけない世界---それが宇宙飛行士。
もし合格したら、それまでの輝かしいキャリアを捨て、新人として一から修業しなければならない。
収入も公務員並らしい。アメリカに行かなければならない。
それでも宇宙飛行士になって宇宙へ行きたい、という強い信念がなければやっていけない。

では、どんなことがこの試験で問われるのであろうか。
ストレスに耐える力
リーダーシップとフォロワーシップ
チームを盛り上げるユーモア
危機を乗り越える力

それらが宇宙飛行士に求められる資質だという。

挑戦者たちは閉ざされた空間に一週間閉じ込められ、監視カメラで見られながら、
次から次へと与えられた課題をこなしていく。
食事の量が増減していないか?睡眠はちゃんと取れているか?など24時間監視されている上に、
候補者たちを多忙にしてストレスをかけ続ける。
ここまで残った優秀な人たちなんだから全員合格にしようよ!と、思わず言いたくなるほど過酷な状況の連続。

その後NASAに移動し、また試験の連続。
果たして選ばれるのは誰か?と挑戦者には申し訳ないが推理を楽しんでしまった。

同じ目標を持つ10名の固い絆も心をうつ。

奇しくも今日、古川さんが国際宇宙ステーションの長期滞在から帰還した。
この本を読んでそのニュースを見ると感動もひとしおだった。
子供たちの夢・大人の憧れ・国家の期待を一身に背負った宇宙飛行士。
高所恐怖症の私は、地球上から見守りたい。

興味を満たすだけでなく、感動をも与えてくれたこの本に出会えたことを幸せに思う。

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