2014年3月15日土曜日

夢幻花

東野圭吾著
PHP研究所

黄色いアサガオだけは追いかけるな。追い求めると身を滅ぼす夢幻花だから。



この「夢幻花」を読むまで全く知りませんでしたが、アサガオほど形態が多種多様に変化した植物は他にないそうです。
それから、江戸時代にはあったとされる黄色いアサガオは、現在再現できず、幻のアサガオとも呼ばれているそうです。
そんなアサガオを題材とした東野圭吾さんのミステリーです。

かつて植物を研究していた祖父の家で、孫の 梨乃 は黄色い花の写真を見かけました。
でも、なぜかこの花の事は二人だけの秘密にして欲しいと祖父に言われるのです。
そしてその祖父が、自宅で殺害されてしまいました。
その上、黄色い花の鉢植えもなくなっていたのです。
梨乃は、家庭で疎外感を抱いている大学院生の蒼太と知り合い、二人で「黄色い花」の謎を追いかけていきます。

昭和30年代に起きた無差別殺人事件、中学時代の淡い初恋、人気バンドのメンバーだった従兄弟の自殺、そして黄色い花。
一見無関係なそれぞれの事柄が、読み進めるにつれ少しずつ繋がっていきます。
そして偶然と思えたことが、必然だったのだとわかるのです。

あれがここに繋がるのか。
だから、ああだったのか。
そう気づいてスッキリするとともに、やっぱり万人受けするエンターテインメントミステリーだと思いました。

東野圭吾さんの小説って、気軽に読めてあまり余韻を引きずらないんですよね。
大人気なのは納得します。
でも、東野さんの小説だからきっと面白いに違いないとハードルを上げて読み始めると、「あれれ??」と残念に思うときもよくありますが(笑)、この本は私にとって当たりだったのでした。

0 件のコメント:

コメントを投稿

閲覧ありがとうございます。コメントしてくださったらうれしいです。