2012年11月29日木曜日

静おばあちゃんにおまかせ

静おばあちゃんにおまかせ
中山七里著
文藝春秋

隠していてもおばあちゃんには全部お見通しよ。



警視庁捜査一課の 葛城刑事 は、およそ警察官らしからぬ風貌と物腰で、唯一の取り柄が聞き上手。
あるきっかけで知り合った女子大生 に、事件の謎を相談して解決してもらう。
・・・と見せかけて、 は家に帰り 静おばあちゃん に謎を解いてもらっていた。
静おばあちゃん は大正生まれで、日本で20人目の女性裁判官だった・・・
本書は、そんな静おばあちゃんが活躍する5話が収録された連作短編集である。

お嬢様刑事が執事に謎を解いてもらう「謎解きはディナーのあとで」を彷彿させるが、事件はそれよりずっと大きい。
ヤクザと警察の癒着、カルト宗教の教祖の死亡、国賓である某国大統領の暗殺と社会的にも重い内容で、「おまかせ」なんて気軽にいえるような事件じゃない。

そんな物語を恋愛問題や、おばあちゃんの孫に対するお小言など軽妙な会話で和らげている。
軽いタッチで読みやすいのだが、おばあちゃんのセリフは本質をついていてドキッとする。
宗教や社会問題、法律、過去の事件についての話はこちらも神妙に傾聴してしまうほどだ。

今まで中山七里さんの小説は、音楽を題材としたミステリーしか読んでいなかったが、こういうタッチの小説もいいなぁと思った。

でも、大統領の暗殺事件の解決を警察が民間人である女子大生に頼むって!
それにはちょとびっくりした。

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