2012年11月25日日曜日

回廊封鎖

回廊封鎖
佐々木譲著
集英社

サラ金に追い詰められて人生が破綻した者たちが、経営破綻した消費者金融の従業員たちに報復!長編警察小説。



貸金業対策法が改正され、大量の過払い利息返還訴訟を受けて6年前に破綻した消費者金融・紅鶴
かつて 紅鶴 に勤めていた者たちが次々と殺害された。
警視庁捜査一課の警部補・久保田紅鶴 の過去を調べる。
社長一族は蓄財と資産隠しのためにいくつもの子会社を設立させていた。
その中でも何千億もの金が香港に住む長男の 紅林伸夫 に流れていた。
経営破綻とはつまり偽装解散であった。
そんな中、愛人と噂される香港女優の映画祭参加のため 紅林伸夫 も久しぶりに帰国することになった。
一方、かつての顧客・追い詰められて人生が破綻した者たちが集まって私的報復を考えていた。
果たして 紅林伸夫 の運命は・・・?

借りた者、貸した者。
返せない者、追い立てる者。
消費者金融により人生が破綻してしまったのは、借りた者だけではない。
貸した側もまた人生を狂わされる。
法的には何のお咎めもなく平然と暮らしている経営者の一族に、私的制裁を。
本書は武富士事件を彷彿させる、そんな警察長編小説だ。

個人的には、お金を借りると早く返さなくちゃと精神的に追い詰められる感じがするので、借金はしない。
そのため、理由があったとしてもお金を借りて返せなくなり、貸した人に復讐を企む人々には共感できなかった。
しかし、過酷な取立て、蓄財や資産隠し、偽造解散をし、莫大な資産を保有している者にはもっと肩入れできない。

それでも彼らの復讐計画はどうなるのかと気になり、ページをめくる手が止まらなかった。
特に後半部分は、緊迫の連続でハラハラさせられる。
そして、想像できなかった意外な展開へ・・・

はぁ、やっぱり借金はしない方がいいな。

※「警官の血」のような重厚さがあったらもっとよかったなと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿

閲覧ありがとうございます。コメントしてくださったらうれしいです。