2012年11月18日日曜日

マチルダはちいさな大天才

マチルダはちいさな大天才
ロアルド・ダール著
宮下嶺夫著
評論社

とにかく面白い。子供にかえって楽しみたい一冊。




マチルダは、3歳になる前に字が読めるようになり、4歳で村の図書館に一人で通うようになる。
子供向けの本を全部読んでしまうと、巨匠たちの文学作品を読みあさるほどの天才少女だ。
詐欺まがいの中古車販売業を営んでいる父と、ビンゴゲームに夢中で家にいない母は、マチルダに何の興味も示さない。
そんなマチルダは、5歳になり小学校へ入学した。
校長は暴君的モンスターの馬鹿でかい女だった。
女の子が自分の嫌いなお下げの髪型をしていたからという理由だけで、その子のお下げを掴んで振り回し、運動場のフェンスの向こうまで放り投げたり、尖ったガラスのかけらや釘が飛び出している狭い戸棚にお仕置きと称して閉じ込めたり、やりたい放題で誰も注意することができなかった。
しかし、担任教師のミス・ハニーは若い優しい先生で、マチルダの天才ぶりを見抜くと何とかこの子の才能を伸ばそうと努力してくれた。
不遇の天才少女が成長していく物語。

とにかくマチルダが愛らしくて、かわいい。
子供だからやられっぱなしというわけではなく、両親や校長に仕返ししようと企む。
小さいながらも早熟で聡明な女の子が、自力で困難に立ち向かっていくのだから、応援したくなるのは当然だ。

大人が読んだら、「児童虐待」「可哀想な少女」という言葉が頭をよぎるだろう。
しかし、子供はそう思わないらしい。
両親から不当な扱いを受け、仕返しをするマチルダに喝采を浴びせたり、
怖い校長をなんとかギャフンと言わせたいと考えたり、大人が思う以上にマチルダも読者の子供も強い。

極端すぎるほどのキャラクターたち、テンポよく進むストーリー、読者を引き込む魅力はさすがロアルド・ダールだなと思う。

この本を読むのに、教育的観点、大人の上から目線の解説、そんなものはいらない。
子供と同じように物語に入り込み、楽しみたい一冊である。

↓ こちらの表紙もあるようです。


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