2012年5月31日木曜日

アホ大学のバカ学生 グローバル人材と就活迷子のあいだ

アホ大学のバカ学生  グローバル人材と就活迷子のあいだ
石渡嶺司・山内太地著
光文社新書

今の大学生、大学のカリキュラム、システムについて斬り込んだ一冊。



はじめ、過激なタイトルに少し不快感を覚えた。
それはきっと私が、「楽勝科目」を選んで履修し、試験前には必死でコピーをかき集めていた「バカ学生」だったからだろう。
「法学部です」と言うと、「一番前に『あ』が抜けてない?」と言われるような学生だった。
申し訳ない。
まえがきに、「大学や学生、就活を巡るドタバタぶりを知っていただき、くすりと笑っていただければ幸いである」と書かれているので、じゃあこちらもいちいち目くじらをたてずに、そういうスタンスで気軽にいこう、と読み始めた。
この本は、「バカ学生」のエピソードが延々と載っているわけではない。
確かに、ツイッターやFacebookにキセル乗車したことを書きこんだり、難関私立大学生が「5001-501」の引き算で悩んでいるなどいくつかの事例が載っている。
しかしそれだけではなく、少子化問題に悩む定員割れ大学の問題、就活事情、大学のカリキュラムなどなど、データと共に書かれていて読み応えがある。
少しずつ変わってきている大学教育のキーワードは、「初年次教育」、「定員割れ脱出」、「グローバル人材」、「特進クラス」、であると著者は言う。
なるほど、大学も改革されつつあるのだなと少し安心する。

著者はときに過激な表現を使うが、基本的には学生を応援し、教育改革に取り組んでいる大学の地道な努力を、評価している。
少人数制、ゼミ形式の講義、英語での講義など、これはいいなぁと思える制度は、他大学にもどんどん広まってほしい。
個人的には、大学とは教養を深め、専門分野を学ぶ場所だと思っている。
ただ、就職難ということもあり、「サラリーマン養成所」となってしまうのも仕方のないことだろう。
義務教育程度の学力が身についてない学生は、大学ではなく「基礎学力・常識養成所」のようなところで学んだ方が、本人や社会のためになるのではないか。
本当は、小・中学校や家庭において、必要最低限の学力・常識が身につけば一番いいのだが。

おっと、「バカ学生」だった私には、大学教育について意見を述べる資格がないんだった。
墓穴を掘る前に、これにて失礼。

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