2012年5月15日火曜日

瞳の中の大河

瞳の中の大河
沢村凛著
角川文庫
壮大な歴史ファンタジー。手を出さないジャンルだったが、食わず嫌いであった!!



この本は「歴史大河ファンタジー」だという。
普段だったら読みたい本が山もりの私は、手を出さないジャンルだ。
それが、他の方の書評を読ませていただいて、熱い気持ちが伝わってきたので興味を持って読み始めた。
普段から本を読まれている方が、いつになく熱くなるということは、間違いのない本だと私は考えるのである。
そして、やっぱりそれは正しかったのであった。

ファンタジー【fantasy】 1 空想。幻想。2 幻想曲。3 幻想的なテーマを扱った文学などの作品。
( 大辞泉より)

「ハリー・ポッター」は全巻買って何度か再読しているのだが、それ以外は大人になってからほとんど読んだことがない。
だからなのか、私はファンタジーというジャンルを勘違いしていたようだ。
魔法・子供向け、という間違った先入観を持っていた。
この本は魔法も出てこない、子供向けでは決してない、深く、壮大な物語だったのである。

複雑な生い立ちの男は、軍人になり国の平和を守る。
男は、信念を持って正義を貫いていく。
女は野賊として囚われ、ひどい目に遭わされる。
それでも女は、理想の社会を目指し叛乱軍の一味として戦う。
二人は同じ理想を追いながらも、敵同士であった。

親と子の話、正義の話、軍隊の話、階級の話、そんなたくさんの話が絡まり合ってうねりとなり、
やがて大河となって行く。
これは、架空の国の話かもしれない。
しかし、国の歴史が今まさに作られていくその場に立ち会っているような臨場感があり、
そして、男の評伝を読んでいるようであり、
これからも続くであろうこの国の発展を夢見るような物語であった。

この本は、私を土埃舞う山岳地帯に連れて行ってくれた。
読み終わった後も、余韻に浸っていられる。
まさしく「大河」と呼ぶにふさわしい、そんないい本であった。

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