2012年5月2日水曜日

まほろ駅前多田便利軒

まほろ駅前多田便利軒
三浦しをん著
文春文庫
直木賞受賞作。映画化もされたこの作品。でもまだ読んでいなかった!!



まほろ駅のそばで便利屋を営む多田は、仕事先で偶然高校の同級生だった行天に会う。
行天は高校時代「痛い」と一言発しただけで、後は声すら出さない変わった生徒だった。
そんな行天が、多田の事務所兼自宅に転がり込むことになった。
チワワを預かり、小学生を塾へ迎えに行ったり、家の模様替えを手伝ったり、便利屋には様々な依頼が舞い込んでくる。
高校時代は友人ですらなかった二人が同居し、一緒に仕事をする。
そんな二人には、心に傷を負った過去があった。

そういえば三浦しをんさんの本は、「風が強く吹いている」と「ふむふむ-おしえて、お仕事」 しか読んだことがなかったなぁと本屋さんで見かけて購入した。
この本は、題名は知っていたが詳しいことは知らず読み始めた。
そしてすぐに気がつく。これは、わが心のふるさと「町田」を舞台にした小説だ!
俄然読むスピードが上がる。「町田」を思い浮かべながら。

多田と行天、男二人のでこぼこコンビが面白おかしく便利屋稼業・・・という単純なストーリーにはならないところが三浦しおんさんなのだろう。
掛け合い漫才のような会話の中に、遠慮と距離感がちらちら見えて、この二人はそれぞれ過去に何かあったのだなぁと予感させる。

そして結末にはほろりときた。いやぁ、そのほろりも温かい人情にほろりほろりとは違う。何か重たい、ずしんとくるほろりだったのである。

恵まれない境遇の人に、うわべだけで励ましたり、優しい言葉をかけるのは簡単だけれど、しおんさんはもう一歩踏み込んで、「その境遇は変わらない。だったら、自分で幸せをつかむんだよ」と応援してくれてるような気がする。

これからもっと著者の本を読みたくなった。

1 件のコメント:

  1. これって映画化されてるんですね。今度レンタルして観ます。

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