2012年5月6日日曜日

江戸商売図絵

江戸商売図絵
三谷一馬著
中公文庫


江戸の商売を絵・川柳と共に、詳しく解説した本。時代考証を必要とする方にはバイブルであろう。 必要としない私にとってもバイブルである。




著者(1912-2005)は、東京美術学校日本画科卒の江戸風俗研究家・日本画家。

この本は、数え切れないほど多様な江戸の庶民の生業を、黄表紙等を参考にわかりやすい絵と川柳と共に解説した職業図鑑のような本である。
昭和38年の初版から、体裁・装丁・出版社が変わりながらも、画家、演劇関係者、人形制作者・・・様々な方が参考資料として愛用しているというのも肯ける。

江戸の職業の特徴は、細分化されていたことである。
例えば、枝豆なら枝豆のみを売るなど、商いなら単品売り、職人なら分業が基本だったようである。
そのため職は多岐に亘り、今でもある職業から「鏡研ぎ」(金属製の鏡は曇るので研ぎ師に磨かせた)のように必要なくなったものまで数多く掲載されている。

100円ショップならぬ「十九文見世」(19文均一の店)なんて、行ってみたくてたまらない。
雨が続くと「快晴祈祷」を声に出しながら歩くだけでお金をもらうとは、なかなかのアイディアマンか詐欺師なのか。

よくわからない職業もたくさんある。
例えば、竹箒を持って「庄助しょ、掃除しょ」などと言いながらお金をもらう物乞いの一種。
実際に掃除をするわけではなく、形だけだったという。
掃除をしてくれるわけでもなく、ふざけたようなセリフの人になぜお金をあげるのだろう?
それが人情なのか?

江戸の町に惹かれてしまう。本を読めば読むほど惹かれてしまう。
きっと私の前世は、江戸の団子屋で評判の看板娘だったのだろう。(含願望)
この本も、図書館で借りたのだが、手元に置いてずっと眺めていたい。
こういうのを運命の出会いというのかもしれない。 

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