2011年10月2日日曜日

本朝金瓶梅 お伊勢篇

本朝金瓶梅 お伊勢篇
林 真理子著
文藝春秋



西門屋慶左衛門といえば、無類の女好きで江戸では有名でございます。そんな慶左衛門と女たちの繰り広げる、あんなことこんなことの第二巻でございます。




顔はよし、金はあり、立派な陰茎をお持ちの慶左衛門。
妻子のいるお屋敷に、妾のおきんを一緒に住まわせているというのですから、
江戸の庶民の興味を引き付けてしまうのは仕方のないことでございましょう。

その妾おきんが、亭主を殺してまで、慶左衛門をたらしこんだという噂ですから、
江戸一の性悪女といわれています。

そんなおきんに勝るとも劣らない性悪のお六という、亭主も孫もいるような女が
慶左衛門に近寄ってきたのでございます。

そんな時、なんと慶左衛門の一物が萎えてしまったのですからさあ大変。
今助六との呼び名の高い慶左衛門の股間にいえいえ、沽券にかかわることでございます。
四国の赤蛇が効くとのうわさを聞き、はるばる四国まで、おきん、お六、慶左衛門の3人で
三月も旅をするというのでございます。
江戸の庶民ばかりでなく、私も興味津々で読みすすめたのでございます。

「~ございます。」の話し言葉で書かれていて読みやすいことこの上ないのでございます。
その上、登場人物が皆揃いも揃って、好きもの揃い。
陰間・安女郎・・・いろんな人が次から次へと出てくるのでございますから、
読者を飽きさせることはございません。

女たちも、したたか揃いで決して慶左衛門だけにいい目を見させているわけではございません。

光源氏と言えばプレイボーイの代名詞とも言えるお方でございますが、
あの方は、一度まぐわった女は後々まで面倒を見てやったそうでございます。
ところが、慶左衛門はそこまで下半身いやいや、肝の据わった御仁ではないのでございます。
いたすことばかり考えていて、女の身の上話は大嫌い。
単なる好きものの俗人ではございませんか。

そんな慶左衛門と彼を取り巻く性悪女たちがこの本の最大の魅力でございます。
クスッと笑えるエピソード満載のこのシリーズ。
今回は最後この先どうなるの?というところで終っているのでございます。
読者をじらすとはさすが慶左衛門でございます。

まだまだ慶左衛門の色の旅は終わりそうもないのでございます。

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