2011年10月13日木曜日

盆踊り 乱交の民俗学


盆踊り 乱交の民俗学
下川 耿史著

夏の風物詩・盆踊り。それが乱交の場だったなんて。古代日本から、現代まで膨大な資料を読み解き、丹念に探った一冊。



最近の盆踊りは、揃いの浴衣を着た貫禄あるお姉さま方が踊るのみで、その他の人が踊っているのを見たことがない。
小さい頃は私も夢中になって踊った記憶があるのだが、今は踊りたくても入りづらい雰囲気があり、見るだけで我慢している。
もう少し貫禄が出てきたら、揃いの浴衣の仲間に入れてもらいたい。
今の子供たちは踊った経験がないまま大人になるのだろうか?
それとも、他の地方では今でも盛んに踊っているのだろうか?

そんな夏の風物詩の一つである盆踊りが、実は乱交の場であったという題名にひかれ、この本を読んでみた。
著者は風俗史家で、「民俗学者ではない」と語っているが、非常に真面目で学問的な本だった。

万葉集の時代、人々は山などで歌を歌い、双方了解したら関係をもったという。
その後、歌の部分がなくなり、お堂などで若い者たちが一晩過ごす「雑魚寝」と形を変えて乱交は続いていく。
そして、宗教普及のための「踊り念仏」から、盆踊りへと変化していった。

明治に入り外国に混浴や乱交などを野蛮と指摘されてから、政府は躍起になって盆踊りも禁止にしたそう。
健全ならば禁止する必要がないのに禁止するとは、それが何より「風紀の乱れ」を証明しているのではないだろうか。

それとともに、交通・情報の発展により、よそ者の見物人が出てきたところから、当事者たちも次第にテンションダウンしていった。

こうして現代では盆踊りは踊るだけで乱交はなくなったはず・・・
と思っていたら、最後に仰天の文章が。

ある地域では、「有名な民俗行事で現在でも乱交が盛んと複数の人から聞いた。」とある。
なにぃ!嘘かまことか存じませんが、それは是非とも見に行かなくてはっ!

しかし実際、現代の盆踊りで乱交が許されていたとしても、どれだけの人数が参加するのだろう。
恥・貞操・羞恥心・・・近代の教育を受けてきた私たちは一部の愛好家を除き、なかなか踏み込めないのでは?

昔の人の性はおおらかだったの一言では済まない、学校では学習しない深い歴史を教えてくれた本だった。

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