2011年10月15日土曜日

偉大なる、しゅららぼん

偉大なる、しゅららぼん
万城目 学著
集英社




日出涼介は、「力」を持つ日出一族の一員。
慣習に従って、高校入学を機に本家から高校へ通う。
本家は江戸時代から現存するお城だった。
そして、しゅららぼん・・・。

私の大好きな万城目作品。
パターンは「かのこちゃん-」を除いて同じなのかもしれない。
主人公の男が、自分の意志に反して、騒動に巻き込まれていく・・・
でも、全くワンパターンではない。
なぜなら、読者がどんなに想像しても内容は決してわからないから。
誰が「ホルモー」がゲームの名前ってわかった?
私は勝手に焼き肉関係と思っていた。
そして今度は「しゅららぼん」
全くわからん。

私の万城目作品の楽しみ方は、そのわからんまま読み進める。
事前情報なしに読み進める。
頭の中が???でいっぱいになってもそのまま読む。
その方がわかった時の衝撃が大きく、楽しめるから。
もしかしたら、わからなさに途中で読むの挫折してしまう人がいるかもしれない。
それくらい今回は???なまま話が進んでいく。

著者の力量に感嘆することがいくつかある。

一つは地理的なこと。
「プリセストヨトミ」の空堀商店街しかり、実在の地名・固有名詞がたくさん出てきて、しかも
とても詳細。
その中に著者の創造物が紛れ込んでいるのだが、架空と実在の垣根が
よくわからないほどに真実味がある。
だから、大坂の男の人を見ると、この人もお父さんから聞いてるのかな?と思っちゃう。
なので、奈良公園の鹿を見ると、この中に言葉をしゃべる鹿がいるかもと探しちゃう。。

また、知識の奥深さ。
ライトノベルのように軽く読めてしまう気軽さの中に、
硬軟取り混ぜた笑いがあちこちにちりばめられている。
浅学の私が気付かない笑いが、まだまだたくさんあるのかと思うともったいない気がする。。
特に苦手な歴史と地理方面。
今更ながら、勉強しとけばよかったと悔やまれる。
でも知識なくても十分楽しめる。

そして、なんといっても凄いのが想像力。創造力。
他の人には考えられないような荒唐無稽な、想定外の、おかしいストーリー展開。

そんなわけで、この本を一言で表すと、
青春、友情、淡い恋愛、エンターテイメント、スペクタクル・・・
アクション?オカルト?ミステリー?
やっぱり絞りきれない。

そして、次回作もまた期待してしまうのであった。

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