2016年10月27日木曜日

つづきの図書館

王様!若い娘じゃなくたって、突然裸で出てきたら驚きますよ!
  
柏葉幸子著
講談社



桃さんは、内気で不器用な40過ぎの女性。
わけあって、生まれ故郷の図書館に司書として勤め始めました。
その図書館で、「はだかの王様」の本から出てきた王様と出会いました。
王様は、自分の本を何度も借りた少女のその後、つまりその子の「つづき」が知りたいと言うのです。
最初はびっくりしていた桃さんですが、王様と協力して「つづき」を探っていきます。
その後、おおかみやあまのじゃく、幽霊までもが、自分の本を読んだ子どもたちの「つづき」が知りたいと桃さんに頼んでくるのです。
しかも、桃さんの家に居座りながら!

登場人物たちがとても魅力的ですぐに夢中になりました。

だってね、王様なんか 「その歳だ。今までに不思議なことの1つや2つ、驚いたことの3つや4つ、なかったとは言わせん。わしを見たぐらいで、若い娘でもあるまいに、悲鳴などあげんでくれ。」 なんて言うんですよ!
ビミョーなお年頃の桃さんに向かって。
しかも、自分は裸なのに威張った王様口調で。

あまのじゃくも桃さんのことを 「おにばばぁ!」 と言ったり、小さな男の子ですから落ち着きなく飛び回ったり……
本の中から出てきたみんなが桃さんを困らせます。
だけどみんな桃さんが大好きで、桃さんも彼らのあしらい方に慣れていきます。
そのやり取りもクスクス笑っちゃうほど面白いのです。
内気だった桃さんも、みんなと接しているうちに心が溶けてきて、大胆なことまでしてしまいます!

突然やって来たお別れは、寂しくてホロっと涙が出ました。
でも、だんだんとピースがはまっていき、最後は拍手したくなるのです。

楽しくて面白くて、ちょっぴりせつない物語。
大好きな、大切な一冊になりました。

  ※ちなみに私が子どもの頃、一番ぼろぼろになるまで繰り返し読んだのは、素敵な物語……と言いたいところだけど、「からだのヒミツ」でした。
ヒトちゃん、私のつづき知りたがってるかな?
 

0 件のコメント:

コメントを投稿

閲覧ありがとうございます。コメントしてくださったらうれしいです。