2016年10月14日金曜日

希望荘

自分がこんなに根に持つタイプだとは(>_<)

宮部みゆき著
小学館



「誰か」「名もなき毒」「ぺテロの葬列」に続く、杉村三郎シリーズの第4弾。

今回は、杉村三郎が離婚後探偵事務所を立ち上げ、4つの事件を解決する短編連作集となっている。

探偵が事件を解決する物語なら、別に杉村三郎じゃなくても新たなシリーズ立ち上げたらいいんじゃないの?

4作目まできてから探偵事務所を立ち上げるって、ご都合主義のような気がするけど?

確かに杉村は「事件を引き寄せる」力があると周りから言われている。
でも、ほとんどの人が生涯一度も遭遇しないような大事件に何度も巻き込まれるとは、ちょっと不自然過ぎやしませんか?

と、グチグチこぼしてしまったのには訳がある。
私は、前作「ぺテロの葬列」で杉村三郎が離婚したことに、納得していないのだ。

本書はいつものように、暗く陰湿でやりきれないような事件を、気弱で優しい杉村三郎が解決するという内容で、読みごたえがあった。

でも、大金持ちのお嬢様と結婚して相手方に取り込まれても変わらない自然体な態度、
しなっても丈夫な細い柳の枝のような、
気弱だけどやる時はやる男・杉村三郎のキャラクターが好きだったのだ。
今多コンツェルンの入り婿状態という設定が面白かったのだ。

それなのになぜ私に相談もなしに離婚してしまったのか?
こんな愛妻家のいい男がいるのに、なぜ浮気なんかするかなぁ。

もしかしたら、ヨリを戻すか?とちょっと期待していたが、本書を読んだ限り可能性は低いだろう。

あー!
自分がこんなにねちっこい、根に持つタイプだとは思わなかった(>_<)
それだけ杉村三郎に愛着が湧いていたんだな。

「事件は凄惨だが、杉村三郎や取り巻く人々があたたかく、やりきれない思いを癒してくれる」という、このシリーズ最大の魅力は、本書でも健在だった。
だから次回作も読むだろう、ほんのちょっと元サヤに戻ることを期待しながら。

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