2016年10月27日木曜日

月は無慈悲な夜の女王

月が地球から独立を宣言した!!SFに挑戦第2弾

ロバートA・ハインライン
早川書房

 

池澤春菜さんの書評集「乙女の読書道」を読んで、今まであまり読んでいなかったSFに挑戦してみようと思ったのです。
春菜さんが初心者におすすめとおっしゃる「夏への扉」を読んでみて、こういう話なら大丈夫、次に何を読もうかなと手にとったのがこの「月は無慈悲な夜の女王」でした。
「夏の扉」と同じくハイラインの作であり、ヒューゴー賞受賞の傑作ということで間違いなく面白いだろうと思ったのです。

現物を見て驚きました。
679ページの分厚さ、文庫本にして1200円超です。
しかも、翻訳物にはつきもの登場人物一覧表がついていないのです。
SF初心者なのにこんな大作を読めるだろうか?と不安になりつつも、まぁ途中で挫折してもいいやと開き直って読み始めました。

2075年、地球政府の圧政に苦しんでいる月の住人たちが独立を宣言し、地球に立ち向かっていく・・・というお話です。

主人公はコンピューターの技術者であるマニーです。
彼は、なんでもできる強いヒーローというわけではなく、飄々とした感じの人物です。
行政府の記録に「政治色がなく、あまり聡明でない」と書かれていたほどです。
そんなマニーですが、自意識を持った巨大コンピューターの「マイク」と出会い、成り行き上先頭に立って地球に対抗することになったのです。

コンピューターの「マイク」がいつ人間たちを裏切るのだろうかとドキドキしながら一気に読んでしまいました。
(結果的には私の予想は大幅に外れてしまいましたが。)

ストーリーは地球VS月という単純な構図なのでわかりやすく、登場人物も一度にたくさん出てくるのではなく徐々に増えていきますし、「マニー」「ワイオ」など短い名前が多いので、登場人物一覧がなくても大丈夫でした。(→これ私にとっては結構重要なのです。)

1965年に発表されたものだそうですが、現在より未来である2075年の設定だからでしょうか、今読んでも全く違和感がありません。
ただし、訳は1976年のものですからさすがに古く感じる箇所もあり、例えばコンピューターとするところが「計算機」となっていたりします。

SFに手を出さなかった理由を私なりに考えてみると、
・その独特な世界観に入り込むまでは、あまり面白さを感じられない。
・理系の難しい話が出てくる。
ということかもしれません。

読んでいけば自然とその世界観に入り込めるし、理系の話は「ふんふん、そうなんだ。」と気軽に読み流していけばいいと気がつきました。
これだけの長編を面白く読めたことから、次も古典を中心に少しずつSFに挑戦していきたいと思います。

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