2013年10月27日日曜日

のたうつ者

挟土秀平著
毎日新聞社

「土は人を裏切らない。そうオレは信じている。」なんてかっこいい方なのだろう。惚れてまうやろ!



この表紙の男性をみて欲しい。
鋭い目つき、精悍な横顔、この表紙の写真だけで女性なら誰しも惚れてしまうに違いない。(私だけ?)
本書は、この素敵な男性・左官の挟土秀平(はさどしゅうへい)さんの自伝である。

メディアにも登場する有名な方らしいのだが、この本を読むまで全く存じ上げなかった。
こんな素敵な方を知らなかったなんて、私は今までどこを見ていたんだろう。

挟土秀平さん、1962年生まれ。
矢沢永吉をこよなく愛する男。
岐阜県高山市で左官業を営む家に生まれ、「しゃかんになりたい」と幼稚園の頃から夢見てきた彼は、高校卒業後あえて遠く離れた熊本での厳しい修行の道を選び、技能五輪左官部門で優勝する。(高卒での優勝は初めて)

その後あちこちで修行したあと、飛騨随一の左官会社「挟土組」に、二代目跡取りとして入社する。
父親が社長のその会社で、実力がありながらなぜか不当な待遇を受け、艱難辛苦しながら孤立していく。
その中で「土」に出会い、苦悩の日々を過ごしながらも研究を重ねていき、「職人社秀平組」を立ち上げ独立するのである。
そして、「NEWS23」のセット、「泥の円空」など数々の挑戦的で独創的な作品を生み出していく。

研究ノートの写真が掲載されているのだが、これがまぁ丁寧な文字でびっしりと書かれていて、仕事に対して真剣に取り組んでいるのがよくわかる。
研究熱心な姿勢に加えて、努力を重ねた上で彼の作品が成り立っているのだなと感動する。

本書に掲載されている作品の写真だけでも迫力が伝わって来るのだから、実物はもっとすごいんだろうなぁ。
一度この目で見てみたい。

芸術的な作品や大きな仕事ばかりしている方なのかと思ったのだが、「個人宅の一部屋でも、風呂のタイル張りでも、どんな仕事でも引き受ける」のだそうだ。
狭いマンション暮らしの我が家では、いくら見渡してみても頼めそうな箇所はないのが悲しいのだが。

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