2013年8月9日金曜日

性欲の研究: エロティック・アジア

井上章一編
平凡社

いたって真面目な本です、念のため。



関西性欲研究会。
普段おおっぴらには使えない性的な言葉を真面目に研究して堂々と言いたい・・・
そんな目的で発足されたという。
メンバーは大学教授などの肩書きをもついわゆる「先生」と呼ばれる立場の方々で、
そんな先生方が真面目に日本・韓国・中国における性の歴史を語っている論文集である。
「性欲の研究」という題名は研究会の名前からつけたのか、本書では直接的に性欲について言及しているわけではない。

【内容】
・対談
 フランス文学者・鹿島茂氏×井上章一氏
 東洋と西洋の違いについて、中世・江戸時代まで遡って考察していく。

 日中比較文学者・劉建輝氏×井上章一氏
 ソープランドの歴史を振り返りながら上海の風俗事情を探っていく。

・論文
「整形美人と新儒教精神」
 韓国が整形大国になった歴史的背景と今日の実態について。
「ハルビン紀行の日本人」
 ハルビンの舞台で踊る裸のロシア娘を、日本の男たちがどう受け止めたのか。
「中国の女装の美少年『相公(シャンコン)』と近代日本」
「日中おまた事情」
 日本と中国における理想の男性器について

・コラム
クレヨンしんちゃんから「幼児の性」について考察する。
仏教の女犯について

ねっ、真面目でしょ!
でもこう見えてもいたいけな乙女(自称)のため、ここには恥ずかしくて載せられないようなタイトルのものもいくつかあるのだが。

その他
・岸信介のシンボルがいかに大きかったか直接本人に尋ねた大宅壮一氏の猥談好き
・国際的に有名な「世界のクマシロ(神代)」監督
など初めて知る話もたくさんあり、この世界はなんと深いのだろうかと感心しきりだった。

また、現代のニューハーフ業界では、完全去勢した「無し、無し」の「娘」より、睾丸は摘出したがペニスは残している「有り、無し」の「娘」の方が人気があり、商業的価値が高いのだそう。
理由には触れていなかったので、なぜなのだろうかと疑問が残ってしまった。

生活していく上で、知らなくても全く困らない知識がギュッと詰まった興味深い本書。
こんなことを真面目に研究するなんて、なんて面白そうな研究会なんだろう。
会員になりたい・・・でも、こんな錚々たるメンバーの中には入れまい。
補欠会員、いや雑用係補佐ではどうでしょうか、井上さん。

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