2013年8月27日火曜日

英国一家、日本を食べる

マイケル・ブース著
亜紀書房
 
英国人一家の日本「食」珍道中。
 
 


毎日どんなものを食べているのだろうか?
改めて考えてみると、答えに窮する。
カロリー過多なことは確かなのだが。
自分ではなかなかわからない、日本人の食を外側から見つめ分析してくれる本が、
この「英国一家、日本を食べる」だ。

日本料理は脂肪もなけりゃ味わいもない。
何でもかんでも醤油に突っ込むだけ。
そう思っていたイギリス人ジャーナリストが、世界中の日本料理愛好家のバイブル「Japanese Cooking:A Simple Art」(辻静雄著)という本に出会い心を奪われ、
日本へ行って食べ物を調査し学ぼうと決意する。
こうして著者は、妻と6歳4歳の息子二人を伴って、東京・北海道・京都・大坂・福岡と移動しながら日本に3ヶ月滞在することになった。

一家は、ラーメン・天ぷら・寿司・流しそうめん…と異文化体験をしながら食べまくっていく。
著者は、ル・コルドン・ブルーで1年間勉強し、三つ星レストランでの修行経験もあるというだけあって、さすがに味の分析は鋭い。

日本人は食品の見た目を気にするとよく言われるが、著者もスーパーに並んだ果物や野菜の完璧な姿に慄く。
昆布漁を見学した際に、乾かした高級昆布を真っ直ぐにするため、蒸気を当てシワ伸ばし機を使って手作業できれいにするのを見て驚く。
それは驚くだろうな。
日本人の私でも、そこまでしていたとは知らなかったし、そこまで見た目にこだわるのかとびっくりしたのだから。

また、モチモチ・サクサクなど、日本人は食べ物の舌触りや食感を味と同じように重視するという指摘は、ああ、そうかもと新たな発見だった。

その他、裸にオムツみたいな物を着けて戦う、太った人たちの稽古場(相撲部屋)で把瑠都と勝負したり、ビストロSMAPの撮影現場を見学したりと、日本人でもなかなかできない体験をしていく。
そしてなんとあの究極の料理屋「壬生」に行き、その美味しさに喜びで体が震えてしまったというではないか!
なんと羨ましい!
私はきっと一生そんな体験できないだろうな。

様々な経験を積んだにもかかわらず、息子たちが一番気に入った場所は、ドッグカフェだったというのは、ちょっと複雑な気分だ。

パリと比べて、「犬のフンが落ちていない」「誰もチップを要求しない」・・・などと日本の素晴らしいところを発見してくれるたびに、褒めてくれてありがとう!うんうん、そうでしょう!と嬉しくなる。

イギリス人の著者に、日本の食の歴史や日本のいいところを教えてもらい、大変勉強になった。

日本人の食卓は欧米化され日々変化しているが、決して和食がなくなることはないだろう。
伝統的な日本食はやっぱりいいなぁと思う。
でも、洋食や洋菓子も捨てがたいんだなぁ。

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