2013年8月24日土曜日

いるの いないの

京極夏彦作
町田尚子絵
東雅夫編
岩崎書店

巷で話題のこの怪談絵本。
怖い、怖いと評判だが、怖いと言っても怪談、つまり作り話でしょ。
しかも絵本だから大丈夫だよ!と自分に言い聞かせながら読み始めた一人の夜。

とても古く、天井が高いおばあちゃんの家で暮らし始めた少年。
太い梁のずっと上の暗いところに何かいるのではないかと怯える少年に、
おばあちゃんは「見なければ怖くないよ」とやさしく笑いながら答える。
そう言われても気になってしまうのが人間だ。
「いるかもな、と思うと見ちゃう」のだ。

この本を侮っていた。
昼間の明るい時間に読むべきだった。
一人じゃない時に読めばよかった。
あの場面が目に焼き付いて離れないじゃないか!

しかし、読み終わりしばらくすると笑いがこみ上げてくるのだ。
怖がる自分がおかしくて。
作・絵・企画の上手さに。

これは大勢で楽しみながら読む本だ。
例えば教室でキャーキャー言いながら。
例えば家族で楽しみながら。
ただし、小さい子はトラウマになりそうなのでやめておいた方がいいだろう。

怖いポイントは「和」だと思う。
かつて女友達と夏限定のお化け屋敷に入ったことがある。
深く考えずに入場したのだが、古い日本家屋を模したその中は、
押入れから、キャー!
暗い廊下の先に、キャー!
そのまま途中で動けなくなり、「後がつかえてますので進んでください」との放送が入り、
強制退場させられた。
そこらの遊園地にあるお化け屋敷なら笑いながら進める私の、
ちょっとしたことなら動じない年齢になった私の、黒歴史である。

洋モノより和モノの方が絶対怖い。
日本人にとって想像しやすいからだろうか。
お風呂場でシャンプーしながら目をつむり、ふと後ろに気配を感じてしまう時、
そこにいるのはやっぱり「和」の何かだろう。

怖くて楽しめるこの怪談絵本。
でもあのページが頭にこびりついてしまった・・・

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