2013年3月27日水曜日

さよなら、韓流

さよなら、韓流
北原みのり著
河出書房新社

「冬ソナ」から10年。韓流にハマった女の記録。

 



私の周りにも韓流にハマっている友人がいる。
彼女たちに「すごくいいから観て」と言ってDVDを押し付けられることもあった。
でも、時間がないからといって丁重にお断りしている。
だってハマったら怖いではないか!

彼女たちは韓流のどこに魅力を感じているのだろうか。
本書は「毒婦。」の著者が韓流にハマった記録である。
また、自称「モテない無名のオカマ」の少年アヤちゃん、牧野江里さん、上野千鶴子さんらとの対談も掲載されている。

「宮廷女官チャングムの誓い」を見て韓流に「落ちて」しまったという著者によると、
韓流の男は「エロ」であり、女が自分の欲望をストレートに出せる対象なのだという。
魅力は「端正な顔立ち」「男らしい肉体美」「優しい言葉」「エンターテインメントの質が高い」などらしい。

「端正な顔立ち」や「優しい言葉」はともかく、「肉体美」はその通りだと思う。
日本人の男性アイドルは、薄い胸板と細面の青白い顔でどうしてあんなに中性的なんだろうと思っていた。
見ていると好きとかカッコいいとかより、「体にいいものいっぱい食べて運動しようよ」と大きなお世話を口にしたくなってしまう。
(私の好みは、インパルス堤下や中山きんに君のようなタイプなので)

「少女漫画の中にしかいない人が実写で出てきた」という言葉はなるほどと思った。
友人も同じようなことを言っていたのだ。
実在するバーチャルなアイドルという感じなのだろうか。

韓流の聖地・新大久保では、「老若女女」がK-POPで身体を揺らし、
イケメンにハグやハンドマッサージをしてもらって満足するのだという。
男に比べてどれだけ単純で安全な遊びだろうか。
しかも女性ホルモンが活性化し、語り合う友人が増え…といいことづくめのように書かれている。
(家族よりも韓流を優先し、今日はファンミ、週末は韓国にと飛び回っている方もいると思うのだが。)

かわいそうに思ったのが、韓流男を好きな日本人男性ファンだ。
お目当て以外の男がイヤでしょうがなく、自分たちの世界を邪魔する日本の男は、完全無視されるか白い目でみられるという。
同じファンなんだからもう少し優しい目で見てあげてほしい。

ただこの韓流を取り巻く空気は、急速に変わりつつあるという。
フジテレビ前のデモや領土問題も関係あるのか、著者のもとには「9cmがいいのか」「非国民」などの罵りの言葉が送られ、叩かれているらしい。
そこには「韓国男にハマる日本人の女」と「それを許したくない日本の男」という単純な構図ではない、深い溝がありそうだ。

前のめりに熱く語られ、「はぁ、そうなんですか…」と思う場面が何度もあったが、知らない世界の話なので興味深く一気読みした。
ただ、これだけ韓国男の魅力について熱く語られると、なおさら韓流のDVDを観るのが怖くなってくる。
ハマったら読書の時間もなくなってしまいそうだし。

これから彼女たちはどこへ向かって行くのだろうか。

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