2013年3月24日日曜日

いつまでもショパン

いつまでもショパン
中山七里著
宝島社

ショパンを文字で堪能する。



「さよならドビュッシー」「おやすみラフマニノフ」 に次ぐ音楽ミステリーの第3弾。
父は検事正、自身は司法試験トップ合格するも現在は音大講師をしている天才的ピアニスト・岬洋介が探偵役を務めるシリーズである。
(登場人物が重なっているだけで別のストーリーのため、本書を最初に読んでも全く問題がない。)

このシリーズの最大の魅力は、臨場感あふれるピアノ演奏である。
曲を知らなくても、知識なんかなくても音楽を堪能できるのだ。
(もちろん知っているに越したことはないが。)

例えば、疾走感を表すのに、「緩やかに走る」「滑走するように走る」「闇雲に走る」…
と豊かな表現力で読者を音楽の世界に誘ってくれる。
しかも今回はイケメンピアニストの 岬洋介 がショパンコンクールに出場する!
コンクールで弾く彼の本気の演奏に聞き惚れる、いや読み惚れることができるのだから
ファンにとっては聞き逃す、いや読み逃すことができない。
全身全霊を込めた岬の演奏は、期待を裏切らない素晴らしさだ。

代々ショパンエリートであり優勝することが必然と言われているヤン、盲目の天才・榊場・・・
決勝に残った8名の演奏はどれも感動的で、最後は誰が優勝してもおかしくないなと思いながら聴き比べていた、いや読み比べていた。
そして最後には大きな感動が待っていた!

あっ、そういえばこれはミステリーだった。

コンクールが行われるワルシャワではテロが勃発し、通称「ピアニスト」と呼ばれる世界的テロリストが潜伏しているとの噂があった。
厳戒態勢のコンクール会場で手の指10本が全て切り取られた遺体が見つかった。
「ピアニスト」の仕業なのか?「ピアニスト」とは何者なのか?

というあらすじだが犯人探しより、ショパンコンクールの行方が気になる一冊だった。

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