2013年1月27日日曜日

シフォン・リボン・シフォン

シフォン・リボン・シフォン
近藤史恵著
朝日新聞出版

贅沢で華やかなランジェリー。田舎町に高級ランジェリーショップがオープンした。
 




胸にコンプレックスを持つ女は多い。
小さいなら大きくなりたい、大きいなら小ぶりがよかった、ちょうど良くても形に不満がある。
なんてわがままなんだろう。

だけど女はちょっとしたことでその日一日ウキウキと過ごすことができる。
化粧のノリがよかった、お気に入りの物を見つけた、新しい下着を着けた・・・
男もそうなのだろうか。

「シフォン・リボン・シフォン」(近藤史恵著・朝日新聞社出版)

川巻町の商店街。
年々寂れてきてシャッター通りと化している。
そこに新しく「シフォン・リボン・シフォン」というランジェリーショップがオープンした。
フランス製などの高級輸入品が中心で、レースがふんだんに使われていたりシルク製だったり、まるで布でできた宝石のような下着。
田舎の寂れた商店街には不釣合いな店だ。

本書は、そのランジェリーショップを中心とした4話が収められた連作短編集である。

第一話:母の介護を一人で引き受けている、大きい胸がコンプレックスの佐菜子32歳。
第二話:親の代からの米穀店を継ぎ、30歳の息子を心配する父親・中森。
第三話:乳がんを患ったランジェリーショップのオーナー。
第四話:かつて旧家だったことを誇りに思う老女。

本の帯には「摩訶不思議」「ほのぼの」と書かれている。
華やかで贅沢な高級下着に癒される女性たち---そんなファンタジーチックな温かいお話なのかと思い読み始めたが、私にはとても「ほのぼの」とは感じられなかった。
刺々しい親のセリフが頻繁に出てきて、親子の難しい関係や重たい問題が登場人物の心に重くのしかかっているからだ。
すぐに解決できるような問題ではないが、それぞれ心に折り合いをつけて暗く沈んだ気持ちがが少しづつ癒されていく。
そのため、読後感はそれほど悪くない。

子供は親に自分を理解して欲しい、認めて欲しいと思っている。
親は、たとえ相手がいい年をした大人であってもいつまでも「自分の子供」と思い続ける。
いくつになっても親子関係は難しいなぁ。


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