2013年1月15日火曜日

ありがとう、さようなら

ありがとう、さようなら
瀬尾まいこ著
メディアファクトリー

中学校の先生の日常エッセイ。
 
 


本書は、作家の瀬尾まいこさん(Wikipedia )が、中学校の教師をしながら日常を綴ったエッセイである。

中学生の頃は、先生に勝手にあだ名をつけたり、根拠もない噂話に花を咲かせたりと好き勝手していた覚えがある。
今の中学生も同じだろう。

瀬尾先生の学校でも
「最近太ったんじゃないか」
「その色の組み合わせはダメだ」と生徒たちはチェックが厳しい。
化粧をすれば「彼氏ができた」
しなければ「捨てられた」と噂される。
「結婚はしないのか」と実の母親以上に口うるさく心配してくれる、余計なお世話の生徒たち。
多感な年頃のため「感じる」「やる」「いく」という言葉に敏感に反応する。
遠い昔の中学時代を思い出し、ニヤニヤしてしまうようなエピソードが満載だった。

しかし、そんな生意気盛りの憎まれ口をたたく生徒たちを瀬尾先生は温かい眼差しで包んでいる。
教師の仕事は想像していた以上に楽しい。
辞めてやるって思うことも度々あるけど、それ以上の感動がちゃんとある。
と言い切る瀬尾先生は、同僚の先生と死ぬ気で働く「働きマン部」を結成したり、日々生徒たちに懸命に向き合っている。

そんな先生だから、生徒たちに好かれるのだろう。
「僕は先生のことを愛しています。今度のテストで100点取るので結婚してください」と突然公開プロポーズされたり、お誕生日にクラス全員からのメッセージ入り手作りお守りをもらったり。
中学生は正直だから、大好きな先生にしかそんなことはしないだろう。

修学旅行で「ホテルの部屋の鍵は持って出ること」「忘れ物はしないように」と注意しまくりながら、自分が部屋から締め出され、忘れ物をしてしまうというお茶目な瀬尾先生。
読み進めるうちに、私もそんな瀬尾先生が大好きになってしまった。

こちらのサイトで瀬尾まいこさんの書評はよく見かけるので気になってはいたが、実は一度も小説を読んだことがない。
これを機会に読んで見たいと思うような、温かみ溢れるエッセイだった。

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