2013年1月22日火曜日

武士道シックスティーン

武士道シックスティーン
誉田哲也著
文藝春秋

ビバ青春!剣道が大好きな女子高生2人。私はそんな2人が大好きだ!
 

中学に入学して剣道部に入部した。
なんだか格好良く思えたからというのは表向きの理由で、本音はカッコいいS先輩がいたからだ。
夏は蒸し暑い中、臭い防具をもっと臭くしながら稽古した。
冬は凍えるような寒さの中、裸足で寒稽古に参加した。
「武士道」とは程遠い根性なしだったけれど、楽しかったな。

本書は、高校の剣道部を舞台にした女の子二人の成長物語である。
一人は、
幼い頃から剣道を始め、全国大会で準優勝。
昼休みには片手で「握り飯」を食べながら、愛読書である宮本武蔵の「五輪書」を読みふける。
食べ終わると、鉄アレイを握りながらまた「五輪書」。
「剣道は斬るか斬られるかだ。勝つためには手段は選ばない」という磯山香織。

もう一人は、
小さい頃から日本舞踊をやっていて、中学から剣道を始める。
おっとりした性格ながら、独特の足さばきで相手を翻弄する。
勝ち負けにはこだわらず、「重要なのは、自分の成長・上達」というマイペースな西荻早苗。

そんな2人が全国レベルの強豪校東松学園高校で一緒になる。
中学生の時に大会で早苗に負けてしまった香織は、悔しい気持ちを抱え続けているが、一方の早苗はそんな事をすっかり忘れている。

対照的な2人のちぐはぐな感じがなんとも言えず面白い。
互いに切磋琢磨するお約束のストーリーだが、どんどん引き込まれてしまう。
こういった本には珍しく、チャラチャラした恋愛が絡まない。
なんてったって「武士道」ですから。

ときには回り道をしてでも、たとえ立ち止まってでも、見つけなきゃならない答えってものが、ある。
嗚呼、不器用な青春。
そうなの、そうなの。
今になったらわかるけど、当時は色々と回り道してたな。
遠い昔を思い出しながら、そして好きなことに打ち込めることの羨ましさを感じながら、本書を堪能した。

続編もあるというが、こんな終わり方でこの先どう続くのか、2人はどうなるのだろうかと気になって仕方がない。

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