2013年1月5日土曜日

お江戸八百八町三百六十五日

お江戸八百八町三百六十五日
山田順子著
実業之日本社

時代考証家が書いた気楽に読める江戸本。時代劇の撮影秘話も書かれていて一味違った面白さがある。



 

お正月といえばお雑煮だが、各家庭によってこれほど味付けや具に違いがある料理もないだろう。
我が家は醤油味の汁に、肉は入れず野菜と母がついた四角い餅を入れたものが定番だ。
江戸の庶民も醤油味の汁に切り餅と具は小松菜だけだったというから、我が家とほとんど変わらない。
それに対して、将軍や大名はウサギの入ったウサギ汁を食べたのだという。
その後ウサギが簡単には手に入らないので、同じ「一羽」と数える鶏肉を入れたのが東京のお雑煮に鶏肉が入るようになった始まりだという。

本書は、時代劇の時代考証を仕事としている著者が、江戸の四季折々の暮らしを「漫画サンデー」に連載したものに、加筆修正したものである。
「JIN-仁-」など著者が担当した時代劇の撮影秘話も書かれているため、ほかの江戸本とは一味違った面白さがある。

撮影現場では、エキストラの扱いが大変で、
「江戸の町は左側通行!」
「横に広がって歩かない!」
「手は振らない!」
と大声で注意しまくっているという。
その理由を聞くとなるほどと思うのだが、ドラマや映画を観ている人の中でどれほどの人がそのことに気づくのだろうか。
それでもやっぱり現代劇とは違った細かい苦労が必要なのだろう。
次に時代劇を観たときにはそういった点もチェックしてみようと思う。

また、銀行もクレジットカードもない時代に旅に出た時の支払いはどうしていたのだろうか?
大金を持ち歩いていたのだろうか?とずっと疑問に思っていたのだが、本書を読んで納得した。
飛脚問屋にお金や荷物を預け、旅先で必要に応じて受け取るシステムがあったのだという。

その他、
・甘酒は夏の暑気払いに飲んでいた。
・「花魁」は「おいらの姉さん」が語源である。
など、知らなかった江戸情報が満載の気楽に読める本だった。

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