2012年9月9日日曜日

傍聞き

傍聞き
長岡弘樹著
双葉文庫

「人を助ける」のが使命----そんな職業の主人公たちが登場する読み応えのある短編集。



本書には、更生施設の施設長、消防署員、刑事、救急隊員をそれぞれ主人公にした短編が4つ収録されている。

それらの職業は共通して、「人を助ける」という難しい使命を負っている。
彼らが苦悩しながらも、懸命に使命を全うしようとする姿に心を打たれるミステリーである。

特に表題にもなっている「傍聞き」は、シングルマザーである主人公の刑事が、子育てやお礼参りに悩む心情が細やかに書かれていて、日本推理作家協会賞短編部門を受賞したのもうなずける秀作だった。

読み応えのある作品だなと思いながら読み進めたら、3作目で「ん?」とデジャブを感じた。
この物語確かに読んだことある、やりきれない結末を覚えている・・・?

そう、かつて図書館で借りて読んでいたのだった。
それを書店に行った時にすっかり忘れて、購入してしまった。

よかった、私が忘れっぽい性格で。
二度も楽しめたのだから。
しかも1、2作目は読んでいる最中も全く思い出せず、初めての作品として読めたのだから。

こういうことはよくある、いやよくあった。
片っ端からどんどん読んでいると何を読んだか忘れてしまうのだ。
だから、読んだ本を記録する為に書評を書き始めた。
読み終わり考えながら書くという行為によって、脳に定着することを願って。

しかし、たまにはすっかり忘れて再読し、新鮮に感動するのもいいなと感じた。

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