2012年9月11日火曜日

ハーバード白熱日本史教室

ハーバード白熱日本史教室
北川智子著
新潮新書

ハーバード大学で日本史を教え、学生から高評価を受けている著者。彼女はどのようにして今の地位を築いたのだろうか。



1980年生まれの著者は、九州の高校を卒業後、カナダの大学で数学と生命科学を専攻した。
そこで、日本史の教授のアシスタントをしたことから、ハーバードの短期講座「ザ・サムライ」を受講し、サムライのかっこよさを強調する講義に違和感を覚える。
そして「日本はサムライが全てなのか、なぜ女が出てこないのか」と疑問に思い、プリンストン大学の博士課程で日本史を専攻する。
歴史の博士号は通常取得に5年以上かかるところ、3年で取得したという。
その後、この若さでハーバード大学で教えることとなった。

本書には、著者が日本史を教えるまでの経緯や、ハーバードの「先生の通知表」、実際の授業内容などが書かれている。

履修者1年目16人、2年目104人、3年目251人という驚異的な伸びを示す著者の日本史講座。
学生のように見られる小柄な若い女性が、周到な準備をし、絵を描かせたり、盆踊りを踊ったり、ラジオ番組や映像を作らせweb上に公開するといった授業で、学生たちから圧倒的な支持を受ける。
そして、「先生の通知表」で高評価を受け、「ベストドレッサー賞」や「思い出に残る教授賞」も受賞するのだ。

この本を読んだ知人が、「自慢ばかりで鼻に付く」と言っていたのだが、私はそうは思わない。
自己主張しなければ生きていけない海外で、日本人がここまで高評価を受けるのは、オリンピックで金メダルを取ったように喜ばしいことに思えるのだ。
女性・若い・アジア人種・英語が母国語ではないといったハンデがあるにもかかわらず、日本人が天下のハーバードで高評価を受けるのは、手放しで嬉しい。

そして、やがて世界を背負って立つ若者たちが日本史を勉強することによって、日本や日本人に少しでも興味を持つことは、将来の日本にとっても良い影響があると思う。

こんな誇れる日本人がもっと増えたらいいなと願いながら、著者のさらなるご活躍をお祈りしたい。

※余談だが、ハーバード大学の、講座ごとに学部生18人あたり1人のアシスタントがつくなど、優秀な学生をより優秀に育て上げるシステムにも驚く。
「これは新しい!面白そうだ!その挑戦受けてたとう!」という彼らの好奇心をくすぐるようなカリキュラムが人気だという。
楽勝科目ばかりを選んで履修していた自分がとても恥ずかしい。

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