2012年9月15日土曜日

贖罪の奏鳴曲

贖罪の奏鳴曲
中山七里著
講談社

音楽ミステリーだけじゃない。法廷事件物もすごかった。



過去に殺人を犯し、医療少年院に入っていた弁護士・御子柴。
依頼人に法外な請求をするなど評判はよくない。
そんな彼が国選弁護人として、小さな製材所の事件を担当することになる。
元社長の父親が事故で脳挫傷を負い、入院中に人工呼吸器が止まり死亡した。
保険金目当てではないかと、母親が疑われた事件だ。
果たして弁護士の御子柴は・・・?

ゆすりで生計を立てているフリーライターの死体を、御子柴弁護士が遺棄するという驚きのシーンから始まるこの物語。
過去に罪を犯した御子柴弁護士は、果たして生まれ変わったのか、それとも悪人のままなのか・・・?『刑務所で死ぬということ』を読んだばかりの私には、とても興味深いテーマだった。
「心にナイフをしのばせて」や「少年Aこの子を産んで・・・」 の事件を彷彿させるような、「贖罪」について考えさせられる内容なのだ。

著者の作品は過去に「さよならドビュッシー」「おやすみラフマニノフ」の2作を読んだのみだった。
その2作で演奏者たちを題材にしたミステリーの音楽シーンに魅せられていたが、法廷事件ものの本作も大変読み応えがあり面白かった。

特に、中盤辺りに書かれていたた圧巻のピアノ演奏描写からは、ラストまで一気読み。
そして、どんでん返しの連続で最後には驚きの結末が待っていた。

視点が御子柴弁護士サイドと警察サイドの交互に置かれ、過去やいくつかの事件が重なり、様々な要素が入り組んだエンターテインメント作品となっていて、読み応えのある作品だった。

著者の本をもっと読みたくなってしまう一冊だった。

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