2012年9月4日火曜日

イラン人は面白すぎる!

イラン人は面白すぎる!
エマミ・シュン・サラミ著
光文社新書

イラン生まれの著者が、悪いイメージを払拭すべく、イスラム教やイランとイラン人について楽しく語った一冊。



アジアで暮らし始めた当初、イスラム教徒との付き合いは難しいと感じていた。
子供にぬいぐるみをプレゼントしようとして、これは偶像崇拝禁止に抵触するのだろうかと悩んだ。
豚肉を調理したことのある調理器具で調理したものは、たとえ豚肉が入っていなくても食べられないと言われ、家に招待しても飲み物だけにとどめた。
ただ、もっと仲良くなればプレゼントは何がいい?と聞けばいいのだし、食事はお言葉に甘えて相手の家でご馳走になったり、イスラム教徒用のレストランに行けばいいと気楽に考えられるようになった。

付き合いのあったイスラム教徒は皆さんとてもいい人だったのだが、イスラムというとどうしても「原理主義者」「過激派」といった悪いイメージ浮かんでしまう。
日本人イコールオウム真理教と思われてしまうのと同じなのだが。

本書は、吉本興業所属の漫才コンビ「デスペラード」として活躍するイラン生まれの著者が、そんな悪いイメージを払拭すべく、イスラム教やイランとイラン人について、楽しく語った本である。

わかりやすい説明の中に、時折ネタなのかと思えるような話が出てくる。

・月収30万円以上のカリスマ物乞いがいる。
・「勉強したから100点取れると思ったのに、半分アラーが持ち去ったから50点になった」という子供のように、アラーを言い訳に使いまくる。
・断食中はイランで放送されていた「アンパンマン」の顔にモザイクがかかっていた。
・王族のクラスメイトが登校するとき、フタコブラクダに乗ってやってきたらみんな羨ましがった。
・「中国人は白黒のサッカーボールを見るとパンダを思い出すから、蹴るなんて行為はできないはず」という様な毒のある記事が毎日のように新聞に載っている。

などなど、芸人だけあって「ほんまかいな」と思うのだが、読み進めるうちにイランに対するイメージが変わってくる。

楽しい話ばかりではなく、イランの抱えているマイナス面も書かれている。
階級社会で貧富の差が激しい、レイプの被害女性が姦通罪で死刑判決を受けた・・・
厳しい現実も、祖国を離れ日本で暮らしている著者は冷静に分析している。

特にカダフィについてや「なぜ中東に他国の意思が介在しなくてはいけないのか?」という意見は、日本の報道ばかり耳に入れていた身にとって、目を覚ましてくれるような話だった。

イランとイラクを混同したり、スンニ派とシーア派の違いがよくわからないような方でも(私のことだ!)入門書として楽しく読める本である。

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