2012年9月22日土曜日

証拠調査士は見た! ~すぐ隣にいる悪辣非道な面々

証拠調査士は見た! ~すぐ隣にいる悪辣非道な面々
平塚俊樹著
宝島社

私には関係ないと言い切れないトラブルの数々。





「証拠調査士」とはあまり聞かない職業だが、海外ではメジャーなのだという。
警察は事件の証拠がないと動けない。
弁護士は法律のアドバイスをするのみで、証拠を集めない。
探偵は証拠集めもするが、裁判では採用できない証拠も多い。

そのため
証拠調査士は単に頼まれた証拠を集めるのではなく、依頼主が裁判や揉め事の交渉でうまくいくような集め方をします。証拠を集めて弁護士や警察などを動かし、トラブルを解決に導くのです。

本書は、証拠調査士・危機管理専門コンサルタントである著者が、トラブルの実例と対処法を解説している本である。

・会社を経営している資産家の夫とその妻を狙う「別れさせ屋」の悪徳弁護士。
「地球上で一番悪いのは、ヤクザでも詐欺師でもない。間違いなく悪徳弁護士である。」と著者は言い切る。

資産がなくてもうかうかしていられない。
・巨額横領事件の犯人が勝手に作った、身に覚えのない借金を返済する羽目になった男性。
・マンションの欠陥を指摘した人に、次々襲いかかる大手企業の嫌がらせ。
・やめさせたい社員を、会社とグルで排除する産業医。
特にオリンパスの内部告発者に対する産業医の対応は、笑ってしまうほど悪質だ。

もっと身近なところでは、「一流デパートで傷モノを売られた」「母が宗教団体に貯金を騙し取られた」「ネットで購入した商品が届かない」「海外から見に覚えのない多額の請求が」・・・
いつ誰が巻き込まれてもおかしくないようなトラブルに背筋が凍る。

著者は、「犯罪者は弱者を狙うため、狙われないように強くなりましょう」とアドバイスする。
女性には女性の、背が低い人には低いなりの、各人に合致した強さを身につけることが必要だという。
そして一番重要なのは「人と人とのつながり」と聞いて、怖い話ばかりの中その言葉になんだか少しホッとした。

※事件の性質上、一部を除き匿名で書かれているのは仕方がないだろうが、「ある企業で」「ある男性が」「詳細は明かせないが」と延々と言われると、眉に唾したくなってしまうのが残念である。

0 件のコメント:

コメントを投稿

閲覧ありがとうございます。コメントしてくださったらうれしいです。