2012年4月22日日曜日

江戸の庶民のかしこい暮らし術

江戸の庶民のかしこい暮らし術
淡野史良著
河出書房新社
現代社会にも通じる江戸の暮らし術。貧乏だって、粋で陽気な江戸っ子。私も見習わなくっちゃ!

江戸の暮らしぶりを楽しく解説した本。
「博学ビジュアル版」というだけあって、B5サイズのカラー印刷で写真、図、挿絵がふんだんに使われており、大変わかりやすく楽しい本だった。

究極のエコ生活である江戸の暮らし。
灰は肥料に、流れたろうそくのロウもかき集めてつや出しなどに使い、抜け毛すらかき集めてカツラにする。
リサイクルの仕組みがきちんと根づいていたのである。
私は花粉症なので、ティッシュでいっぱいになったゴミ箱を見て罪悪感にかられる。

屎尿も肥料にと高値で取引されていたが、品質にはランクがあったという。
山手の武家屋敷の屎尿は「きんばん」というブランドで、一方小伝馬町の牢屋の屎尿が一番ランクが低かったらしい。
食べるものでそんなに違う物なのだろうか。

職業も様々。今では考えられないような職業もたくさんあり楽しみながら読んだ。
耳垢取りの名人もいて繁盛していたという。やってもらいたいような怖いような気持ちになる。
一番気になったのは、「屁負い比丘尼(へおいびくに)」という耳がよくなければ勤まらなかった職業。
立派な家柄の奥方や娘に付き添って雑用をこなすのだが、中でも一番重要な仕事は、奥方や娘が放屁をしたときに、自分がしたことにするのが役目だった。反射神経と演技力も必要な難しい職業かもしれない。

身寄りのない老人は大家を中心にみんなで面倒をみる。
心温まる話と思ったら、実は長屋から餓死者が出ると町奉行からお咎めを受けるという理由もあるらしい。

「宵越しの金は持たない」江戸っ子は、ぎりぎりの収入でも「金は心を満たすために使うもの」と見栄を張ったり、なけなしの金を富くじのビッグな夢に馳せてみたり、憎めないおかしさがある。

楽しみながら江戸の町を勉強できるいい本だった。

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