2012年4月3日火曜日

消失グラデーション

消失グラデーション
長沢樹著
角川書店

高校のバスケ部を舞台にした青春ミステリ。横溝正史ミステリ大賞受賞作。 素直な方にお勧めする一冊。


グラデーション---物事の段階的、時間的における変化。
舞台は私立藤野学院高校。
学校では、外部からの侵入者・通称「ヒカル君」による連続窃盗事件が発生したため、防犯カメラを設置して、セキュリティーを強化していた。
主人公の男子バスケ部所属、椎名。
女子バスケ部のエースでモデルの仕事もしている網川。
放送部員の樋口。
青春ド真ん中の高校生たちが織りなす、爽やかではない青春ミステリ。
第31回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

選考委員の一人である北村薫氏が「先入観なしでページをめくってほしい。」と述べている。
私もその意見に同意するので、ここでは詳細を述べることは控えようと思う。

著者はライトノベルも書いているそうで、文体は軽く読みやすかった。
しかし、テーマは重く、さわやかな印象はない。
傷つきやすく、それでいて自尊心の強い、高校生たちが悩み成長していく様子が書かれていた。


明らかにされる状況が受け入れられるか否かにより、評価がはっきり分かれる作品だと思う。
先入観なしに素直に受け止められる人にとっては、大賞受賞にふさわしい本なのだろう。
読後感も悪くない。
でも、私は素直でない、ひねくれ者なのであった。

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