2011年12月15日木曜日

平安文学でわかる恋の法則

平安文学でわかる恋の法則
高木 和子著
ちくまプリマー新書


「平安文学に見える、恋や人生についての、物語や和歌の法則」の本。高校生の古文学習の入門書としても最適。というが、古文が苦手な大人の私にも最適。



平安貴族の恋の駆け引きなんて、聞いただけで想像が膨らみ憧れてしまう。
ところが私は歴史アレルギーに加えて、古典の文法嫌い。
源氏物語の世界も大好きだけど、もちろん読むのは現代語。
でもこの本は、そんな私でも読めそうと思い購入してみた。

「はじめに」で、大学で「源氏物語」を研究している著者でさえ、
高校の古文の授業のつまらなさをおっしゃっている。
著者 すらかつ 苦手。いわんや わたしをや。

著者は1964年生まれで関西学院大学文学部教授。
そんな方が苦手なわけないのだが。

でも、この中に原文は少ししか出てこない。
もちろん、品詞分解も必要ないので安心する。
試験もついてないので気楽に読めた。

著者によると、昔は著作権なんてないので、 みんな人気のあるお話をパクっていたそうである。
そのため、教科書に載っているような有名な場面を読みこなせば、試験でも「あっ、これどこかで見たことある文章だ」となるらしい。
「好みの女をさらって逃げて最後に死ぬ」などいくつかのパターンについて、その背景と共に説明してくれている。

「社会制度や風習の全く異なる千年前の世界に、現代の常識を無自覚に持ち込む」と、
とんちんかんな解釈になってしまう。
古文の内容を理解するためには、その「背景」が重要なのだろう。
その上、現代の事象に置き換えて説明してくれるので、当時のことがよくわかり、
古文を勉強する手助けになると思う。
もっとも、私ははなから古文を勉強するのはあきらめて、
平安時代の恋愛事情や雰囲気を知りたくて読んでいたのだが。

例えば、最初に恋文を送るとき、いきなり「好きだ。君しか見えない。」と書いても、
もらった方はよく知らない相手からの直接的な文面に面食らうことだろう。
だから、はじめは「桜の咲く頃君を見かけ、桜のように美しい君に感動した。」
くらいにしときなさい。
返事をする方も、いきなり「オッケー!」なんて返事をせず、
乳母やお手伝いさんに相談して代筆してもらいなさい。
などと、実践的に解説してくれている。

これを読めば古文の成績がアップする・・・とまでは言えないが、古文を読む手助けにはなる。
なにより古文を読むことが楽しくなりそう。

タイムマシンがあったら、高校時代古文に苦しんでいた私にこの本を手渡してあげたい。
そんな気分になる本だった。

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