2013年12月27日金曜日

ブルー・ゾーン

篠宮龍三著
オープンエンド

もっと深く、もっと美しく。日本でただ一人のプロフリーダイバー・篠宮龍三さんの挑戦。




私は、高所恐怖症でちょっとした吊り橋も怖くて渡れません。
高いところだけでなく、スキューバダイビングなど海に潜るのも怖いので経験したことはありません。
美しい海の中の映像を見ると、綺麗だなぁ、いいなぁと思うものの、潜っている時にハプニングがあったらと考えるだけで、ブルブル震えてしまうのです。

フリーダイビングという言葉を初めて聞いたのは、女優の高樹沙耶さん(現在は大麻合法化活動家で益戸育江さんですが)がフリーダイビングの日本新記録を樹立したという記事を読んだ時でした。
そんなに長く息を止めていられるのかと驚いたことを覚えています。

この「ブルーゾーン」は、日本で初めてプロになったフリーダイバー・篠宮龍三さんが、あまりメジャーではないスポーツ・フリーダイビングの魅力を語った一冊です。

フリーダイビングは、機材を一切使わず、一息でどれだけ潜れるかを競うスポーツで、フィンや重りを付けるものなど、8種目あるそうです。

そして、かつて素潜りの限界は50mと考えられ、その後100mまで可能かも知れないと予測されていたのが、今では種目によっては200m以上潜ることができるのだそうです。
そこにはブルーしかない。上も下も左も右も、全てが同じブルーに包まれる深海。自分の心臓の鼓動のみが聞こえる世界。
そう聞くとどれだけ美しい世界なのだろうかと興味がわいてきます。

でも、サッカーボールを海中に沈めると水圧の影響で、水深10mあたりで形が歪み始め、50mを超えると潰れてきて、80mにもなると原型をとどめないほどぺちゃんこに縮んでしまう・・・ということは、肺も潰れちゃう!と素人の私は考えてしまいます。
そうならないために呼吸法などのトレーニングをするそうですが。
顔を水につけると、「潜水反射」が起きて心臓の鼓動がスローダウンする。
さらに潜ると、体内の血液が手足の末端から生命維持にかかわる脳や肺、心臓に集まってくる「ブラッドシフト」という現象が起こる。
人間はそうやって体を守るようにできているらしいのですが、「じゃあ、潜ってみようかな♪」という気には残念ながらなれません。

前に、潜水をして「ブラックアウト」(酸欠によって意識を失うこと)状態になった人を
TVで見たことがあるのです。
一時的に意識を失うだけで大抵は助かるそうですが、恐ろしいことに変わりはありません。
ただ、篠宮さんは恐怖心を感じたことはないとおっしゃいます。
日々のトレーニングに裏付けされた肉体と、海の怖さを十分知っているからこその言葉だと思いました。

本書を読んで、著者の飽くなきチャレンジ精神と海への敬愛はとても素晴らしいと感じました。
実際やってみたいとは思いませんが、大会が放送される際には海の美しさとともに、選手たちの潜りの美しさも見てみたいと思ったのでした。

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