2012年10月25日木曜日

秋期限定栗きんとん事件  上・下

秋期限定栗きんとん事件  上・下
米澤穂信著
東京創元社

「小市民」を目指す高校生、小鳩くんと小佐内さん。果たして平穏無事に暮らせるのか?「春期」「夏期」に次ぐ第3弾。








(上下巻合わせて)

高校生の 小鳩くん小佐内さん
二人はよくつるんでいるが、付き合っているわけではない。
互いに助け合っているだけだ。
小鳩くん は、生まれつき余計なことに口を挟んでしまう性格のため、トラブルを引き起こしてしまう。
小佐内さん は、小柄で大人しそうな見かけと裏腹に「復讐」を愛し「狼」のような性格である。
その内面を隠すべく、二人はお互いに助け合いながら「小市民」として目立たぬように平穏に暮らすことを目標にしているのだが・・・
『春期限定いちごタルト事件』『夏期限定トロピカルパフェ事件』に次ぐ「小市民シリーズ」第3弾。

二人の高校入学から始まったこのシリーズ。
本書は、高校2年の2学期から高校3年の秋までの一年間が描かれている。
年頃の男女だから、「どうせ付き合い始めるんでしょ」という予想を裏切って、助け合いをやめたばかりか、お互い違う相手と付き合い始める。
それぞれデートを重ね、なかなか充実しているではないか!

しかものんきに恋愛している彼らを横目に、新たに登場した新聞部の 瓜野くん が、「放火事件」を追い始めた。
おいおい、二人が主人公のはずなのに。
事件が起きて二人が解決しないとダメじゃないの?
と、読者に衝撃を与え、話は一気に進む。
そして緊迫の下巻、予想外のラストへ・・・

今回スイーツの出番は少なかったが、巻を追うごとに面白くなってきた。
特に下巻は一気読み必須の、ハラハラドキドキで夢中になった。

二人の卒業まであと半年。
「冬期」がこれほど待ち遠しいとは「春期」を読んだときには思わなかったなぁ。

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シリーズ物は、1、2巻くらいまでは普通に楽しんで読んでいるのが、3巻くらいになると急に面白さが増し、のめり込んでしまう。
このシリーズもそうだし、「みをつくし」や「ビブリア古書堂」もそうだ。

読んでいるうちに愛着がわくからだろうか。
作者が慣れて来て、筆がのるのだろうか。
売れてきて、いい編集者がつくからだろうか。

どちらにしろ、1巻で合わないとやめてしまうのは勿体無いような気がしてきた。

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