2012年10月14日日曜日

珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を

珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を
岡崎琢磨著
宝島社

良いコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、そして恋のように甘い。━━━シャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリゴール




古都・京都。
街並みの背後にひっそり佇む「純喫茶タレーラン」
こじんまりした木造平屋の、隠れ家的喫茶店。
ある日、主人公のアオヤマさんは、そこで理想のコーヒーに出会った。
バリスタは美星という若い女性であった。
美星はおいしいコーヒーを淹れながら、身近に起こる謎めいた事件を見事に解き明かしていく・・・
そんな連作短編集。


私は毎日コーヒーを飲むが味にはこだわらない、というか味がわからない。
豆の違いも全くわからないし、家で一人で飲むときはインスタントで十分だ。
それでもやっぱり読書のお供にコーヒーが欲しくなるし、レストランでは食後にコーヒーを注文する。

コーヒーは好きだがなんの知識も持たない私に、コーヒーの魅力をたっぷり教えてくれるのがこの「珈琲店タレーランの事件簿」だ。

可愛らしい表紙から、気軽に楽しめるラノベのような本だと思って読み始めると驚く。

内容的には、日常の謎解きであり殺人事件も起こらない。
だが、主人公もバリスタ・美星も20代前半という設定のわりに、言葉遣いや言い回しに軽々しさがなく、推理場面も頭を使う。
えっ!と驚くどんでん返しの連続も含めて、なかなか本格的だ。
なぜか親父ギャグを連発するバリスタ・美星も、過去に色々あったせいか男に都合のいい可愛い女というわけでもない。
全編を通して、コーヒーの香りが立ち上る落ち着いた雰囲気のミステリーだ。

読んでいる時も読み終わったあとも、やっぱり美味しいコーヒーを飲みたくなる一冊であった。

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