2012年1月19日木曜日

共感覚者の驚くべき日常 形を味わう人、色を聴く人

共感覚者の驚くべき日常 形を味わう人、色を聴く人
リチャード・E・シトーウィック著
山下篤子訳

物を食べると味を感じるのと同時に指先に形を感じる。音を聴くと色が見える。10万人に1人という共感覚者について神経科学者が迫る探求の書。



味にさわる、音を見る・・・。
音楽関係の本で、音楽を聴くと色が見える人がいると読んだことがあって気になっていた。
私自身も音楽を聴いて情景が浮かんでくることがあるが、そんな事とは全く違う共感覚者。
その不思議な彼らに迫った本。
著者は米国の神経科医師。
原著は少し古く、共感覚者は10万人に1人と書いてあるが、現在はもっと多いと考えられているらしい。

題名から「共感覚者の日常」の症例が並ぶ本と思っていたらそうではなかった。
著者がどうして共感覚について興味を持ち、彼らに出会い、どういう過程を経て研究していったか
といったことを生い立ちから語っている。
そして、クライマックスの脳血流検査へ・・・。

共感覚とは、一つの感覚が別の感覚を(本人の意思に関係なく)喚起することをいう。
例えば、ニオイを嗅ぐと色が見える・音を聴くとそれに従って決まった動作をする…などである。
もっと具体的には、物を食べた時に味と共に
10あまりの円柱が自分の前にあるのを感じる。目には見えないが、触覚では実在する。フォークを入れると円柱の冷たくて滑らかな表面に手をあてた上下させている感じがする。ミント味を口の中で転がすときは円柱の一つに手をのばして、裏側の局面をこすっている。略表面は冷たくてすがすがしく、一種セクシーである。
というような感じを持つことである。

ニオイを嗅いだ事のない人にニオイのことを口で説明するのが困難なように、共感覚のこともなかなか理解できない。それを専門用語で説明するので、読み進めるのに時間がかかった。

視覚、聴覚、味覚、触覚、臭覚に加え運動。
それらが2つ(まれに3つ以上)混じり合う感覚。

うーん。興味深く面白かったがやはり理解しがたい。
共感覚は、実際は私たちが誰でも持っている正常な脳機能なのだが、その働きが意識にのぼる人が一握りしかいないらしいので、私にも全く関係のない話ではないのだが。

後半に脳に関するエッセイ(意識・AIなど)がついていて、内容は違うが『単純な脳、複雑な「私」』(池谷裕二著)のようで興味深かった。

願わくば、私のような素人にももっと面白くすらすら読めるような「共感覚者」についての本があればと思った。

1 件のコメント:

  1. 個人的には共感覚者がいることが信じられません。興味を引く本ですが、はにぃさんが書評したように素人の私では理解できないかもしれませんね。

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