伊東 乾著
角川学芸出版
東京大学物理学科同大学院出身で、指揮者・作曲家として活躍中の異色の経歴の才能あふれる著者が、「ルワンダの虐殺の裁判」「裁判員制度」などについて独特の感性で解説した本。
最初、音を科学的な実証から述べた本だと勝手に思い込み読み始めてしまいました。
そしたら全然違う。
世界史の話がたくさん。(日本史も)歴史に拒否反応を起こしていた私には、苦痛な部分もたくさんありました。
でも、音楽家の立場から述べた、再現された長崎奉行所の「お白州」での、場所によって声の響き方など、興味ぶかい話もたくさん。
そういう話のみをまとめてくれたらいいのに。
また、著者の大学時代の友人に、地下鉄サリン事件の実行犯(死刑確定済み)がいるという。
死刑廃止論者の著者と、彼との交流も書かれている。
友人が死刑判決を受けたらどう思うんだろうと考えさせられた。
でも、そんな友達きっといないし。
この本のジャンルはなんだろう?
著者の色々な分野の考えをまとめた随筆?
フィールドワークを実況中継するノンフィクション?
世界史の解説本?
ご自分の知識の披露?
ご自分の偏った考えの押し付け?
結局よくわからないまま読み終えてしまったが、あまり読者を意識せずに、書いた本のように感じられた。
ただ、「オウム真理教の犯罪を、前代未聞の悪事のように言うこと。あるいはその原因を、浅原彰晃こと松本智津夫ただ一人に押し付けること。 これほど愚かしいことはないと僕は思うようになった。」という文章はいただけないのでは?
オウム真理教擁護の発言をしているのではないことはわかったが、どう考えても私には前代未聞の悪事のように思えるし、多数の被害者が現実にいるわけだから、誤解を招いてしまうと思う。
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