永田カビ著
イースト・プレス
キャバクラもホストクラブも、風俗関係も行ったことのないウブな私は、レズ風俗というものがあることすら知りませんでした。
そこでこの題名に惹かれて、興味本位で読み始めたのですが……
本書は、pixiv(イラストや漫画を中心としたSNS)で話題になったものを書籍化したものです。
28歳。
独身女性。
社会人経験なし。
誰かと付き合った経験、性体験なし。
そんなカビさんが、レズ風俗に行った体験を語るコミックエッセイです。
高校卒業後、大学を半年で中退し、アルバイトをしながら自傷行為や摂食障害を繰り返していたカビさん。
親との関係に悩みながら、母親とベタベタしたいという欲求を持っていました。
そして「誰でもいいから抱きしめてほしい」と痛烈に思い始め、レズビアン風俗に行こうと決意するのです。
読んでいるとこちらまでカビさんの苦しみが伝わってきます。
ご本人は、読者が想像つかないくらいもっともっと苦しんでいるのでしょう。
でも、風俗に行く決意をしたカビさんは、「行くからには」と身だしなみを整え始めます。
それによって、心も前向きになっていくのです。
これだけ苦しむ姿をみていると、レズ風俗にたどり着いたのもなんとなく頷ける気がします。
抱きしめられたい。
人のぬくもりがほしい。
そう考えたとき、周りに誰もいなくて風俗が頭に浮かぶ。
でも、男のゴツゴツした毛深い肉体より、母性を感じる柔らかな女の肌の方がいいかもしれない。
直接的に性を感じてしまう男より女の方が、敷居が低い。
そう考えたのではないでしょうか。
とはいっても、風俗は風俗。
2時間19000円也で、あんなことやこんなことも当たり前のようにするのです。
カビさんがあんなことやこんなことを本心から望んでいたのかはわかりません。
持ち時間いっぱい、裸でハグしてもらえば、幸せホルモン・オキシトシンが大量に出て、多幸感を感じ満足したのではないかと個人的には思うのですが。
その後カビさんは、体験を公開することによって自身の内面を見つめ、前に向かって歩き始めていきます。
それでもまだまだ危うさを醸し出しているカビさん。
こうして世の中に名前が出ると、叩く輩はたくさんいます。
だからエゴサーチなどしないで、人に流されず、自分の足で自分の道を歩んでほしいと思います。
他人の優しさは励みにはなっても、本人しか苦しみから抜け出すすべを持たないのだから。
本書によって、共感し救われる方もたくさんいると思います。。
カビさんが心やすらかに暮らせますようにと願わずにはいられません。
0 件のコメント:
コメントを投稿
閲覧ありがとうございます。コメントしてくださったらうれしいです。