2016年11月14日月曜日

飛田をめざす者: 「爆買い」襲来と一〇〇年の計

耳年増になってどうするんだろう!現場復帰した著書の飛田シリーズ第3弾。

杉坂圭介著
徳間書店



※飛田新地とは、大阪市西成区にある料亭という名の「ちょんの間」が160軒ほど集まる一帯を指す。
料亭では、ホステスさんと客が偶然にも恋愛関係になって遊ぶという、なんとも都合のいいシステム。
料金は飲食代という名目で、15分11000円~。

「飛田で生きる」「飛田の子」で料亭経営者・スカウトマンとして、飛田を見つめてきた著書の飛田シリーズ第3弾である。

女の子のスカウトマンをしていた著書は、仕事に行き詰まりを感じ実家に戻っていたが、誘われて今度は共同管理者として再び飛田に戻ってきた。

国際化の波が飛田新地にも波及し、著書はインバウンドを取り込むべく奮闘する。
スマホの翻訳機能を使いながら交渉したり、元CAの「女の子」を雇い入れ、徐々に外国人客を増やしていく。
最近は中国人観光客のツアーにも組み込まれ、ハルカス・通天閣に行ったあと、女性は免税店、男性は飛田というコースがあるという。
禁止の写真撮影をしたり、女の子に対する乱暴などトラブルも増えてるらしいが。

「なんでこんなところで働いてるの?」
「真面目な子は、こんな仕事したらだめだ。」
「趣味と実益を兼ねてるんじゃないの?」
女の子に対し、終わったあとにそんなことを言う客も多いのだそう。
著書は、「お世話になっておきながら感謝せず、その仕事を否定し、アホな上から目線で説教を始める男の不愉快な言葉に、女の子たちは傷ついている」という。
男性客は、そんな野暮なこと言わずにとっとと終わらせて(早いのが一番喜ばれる)、「いい人でよかった」と思わせるようにしたら一生懸命サービスしてくれるというから、参考にしてみたらどうだろう。

女の子が稼ぐコツは、
・微笑むこと、姿勢をよくすること、大きい声を出すこと。
・自信をもって、全身でお客様に笑顔を振り向ける。
・技術よりも客の心をつかめ。
ふむふむ。
なるほど。
って、無駄に耳年増になってしまうが、いつか役に立つだろうか。

飛田新地のことを知らなかった頃が懐かしい。
あの頃は、
そんなところがあるのか!
違法じゃないのか!
男はそんなんで満足するのか!
と初めて知る実態に驚いてばかりだった。
今は、読みやすい文章に惹きつけられ、サクサクと読み進めてしまったが、これでいいのだろうかと暗澹たる思いが残るのである。

それにしても、男は全て含めて15分で本当に満足するのだろうか?
虚しさだけが残る気がするのは私が女だからなのか?
いくら読んでもそこだけは全く理解できないのである。
そういうところに通う男性は、そこら辺のおばちゃんたちにご奉仕して、あんなところやこんなところを舐めまわすことができるのか、一度想像してみて欲しい。

※本書で驚いたこと

・杖をついたおばあさんの「女の子」がいまだに現役で、根強い固定客がついている。

・飛田新地は生活圏内から隔離された場所にあるが、松島新地(大阪市西区)は街中に溶け込んでいて、お店とお店の間に普通の家やマンションが建っているという。
獲物を狙う女の子が微笑む店の前を、学校帰りの小学生や買い物中の主婦、そして品定めするギラギラ男性が通るカオス‼

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